MIM-23とは、アメリカ合衆国で開発された地対空ミサイルシステム(SAM)である。
概要
1950年代に従来の高射砲に代わって地上部隊が航空支援を受けられない場合に自前で防空戦闘を行う為に開発が行われアメリカ陸軍、海兵隊だけでなく同盟国に輸出・ライセンス生産による配備が行われた。
アメリカ軍では2002年までに運用を終了、他の運用国でも順次新型SAMに更新されつつあるが原型開発から70年近く経った2020年代でも改良され現役を続けている。
なお、愛称は『ホーク(Hawk)』がつけられているがこれは英語の鷹ではなく『Homing All Way Killer=
全行程誘導弾(意訳)』の略称である。
基本構成
このシステムを特徴づけているのが『3発のミサイルが剥き出しで装着された発射機』だがこれだけでは敵目標を攻撃出来る訳ではない。
まず、目標を探知するレーダーが必要である。本システムでは高高度・中高度を監視する『パルスレーダー』、低高度を監視する『連続波捕捉レーダー』、目標との距離を精密に図る『測距レーダー』、そしてミサイルを誘導する『イルミネーター』の4つのレーダーが組み込まれ、各種レーダーの情報を集約する装置が存在する。
そして発射機が全弾を撃ち尽くすと同じ配置で装着された専用パレットからミサイルを搬送し発射機へ装填する装軌式の自走運搬車、6基の発射機を1度に操作する制御装置が前述のレーダー群の情報を元に目標へ射撃を行う。因みに装填用の自走運搬車を除くこれらの動力源は発電機で賄われる。
これらの運搬車を除く各種装置は基本的にトラックによる牽引式=自走できないため迅速な移動に欠け、装置が多いことから多数の人員を必要とする反面、各種装置は牽引式野砲かキャンピングトレーラー程度の規模しかない事から空輸が比較的容易で牽引車を現地で用意するRO-RO輸送が可能であった。
これは同盟国との間に大洋が存在するアメリカにとって迅速な輸送が可能な事は大きなメリットであった。
なお、ミサイル自体の性能は最高速度マッハ2.4(固体ロケット)、射程は当初25㎞だった。
配備後
配備されたMIM-23は実戦部隊での運用を元に1970年代から段階的に改良が実施された。
まず、レーダーや制御装置に使われていた半導体は真空管から集積回路に変更された結果、レーダーや制御装置の統合・性能向上に繋がり、ミサイルも射程50㎞にまで延伸された。
だがMIM-104の配備や冷戦終結に伴う対空戦闘需要の減少がアメリカ軍におけるMIM-23の存在を浮いたものにし陸軍では1994年、海兵隊では2002年に運用終了となった。
しかし同盟国、特に対空戦闘の潜在的需要が大きいアジア、中東圏では21世紀に入ってから新型へ更新が始まりつつも独自に改修を行うことで配備が続けられている。
関連動画
関連コミュニティ・チャンネル
関連項目
- ミサイル/SAM
- アメリカ合衆国/アメリカ軍/米国面
- 陸上自衛隊/ドイツ連邦軍/イタリア軍/中華民国国軍/韓国軍(海外ユーザー)
- MIM-104/FIM-92(アメリカにおける後継機)
- 03式中距離地対空誘導弾/天弓(台湾)(海外における後継機)
- AGM-114(愛称が用途の略称繋がり)
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