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アドマイヤベガ 単語


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アドマイヤベガ

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ベガの二冠達成から6年!

またもその息子が輝く一等星に!

アドマイヤベガ!!

1999年 日本ダービー フジテレビ三宅正治の実況より

アドマイヤベガとは、1996年産の日本の競走馬・種牡馬である。
1999年のクラシック三強を皐月賞馬テイエムオペラオー・菊花賞馬ナリタトップロードとともに形成したダービー馬。 

主な勝ち鞍
1998年:ラジオたんぱ杯3歳ステークス(GIII)
1999年:東京優駿(GI)、京都新聞杯(GII)

曖昧さ回避 この記事では実在の競走馬について記述しています。
この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては
「アドマイヤベガ(ウマ娘)」を参照してください。

血統背景

父サンデーサイレンス、母ベガ、母父トニービンというピッカピカの良血馬。父のサンデーは言わずもがな。母ベガも牝馬二冠に輝いた「一等星」あるいは「西の一等星」の異名を取った名馬で、全弟のアドマイヤボスも重賞を勝ち、半弟のアドマイヤドンはダートの首領として長きに渡り君臨。姪っ子のハープスターも桜花賞馬。掛け値無しに超一流の血統である。

しかし、このアドマイヤベガには全弟…いや全兄?とにかく兄弟になり得た馬がいた。しかし、「双子は大成しない」ということで、ベガの胎内で片方は潰された。そういう経緯で生まれたのがベガの初仔である彼なのだ。残酷かもしれないが、双子で生まれて大成できたかどうかはわからない。下手すると、身体が小さすぎて競走馬にもなれずに二頭とも淘汰されたかもしれない。名も知らぬ彼の兄弟の犠牲は無駄ではなかったと信じたい。

ちなみに、母のベガは牝馬でありながら「流星に変なほくろがあって三白眼」「恐竜みたい」と脚がひん曲がってたこともあり見かけの評価は牝馬なのに底辺だった母とは違い、息子である彼は眉目秀麗なイケメンという評価が下されていた。カーチャン涙目。ただし左前脚の内曲がりっぷりはそっくりだった。

オーナーはアドマイヤ冠号で有名で、リアルウイポプレイヤーこと金子真人氏と派手な金遣いで有名だった関口房朗氏とキンコンカンとして纏めて呼ばれることもあった当時新興有力馬主であった3人のうちの1人、近藤利一氏。この馬の母ベガに惚れ込み、桜花賞前に吉田勝己氏に「この馬売ってくれ!」と談判したが流石に通らず、「じゃあ子供は売ってくれ!頼むで!」と願い出てこちらは通ったらしく、本馬と全弟アドマイヤボス(セントライト記念)、半弟アドマイヤドン(G I級7勝)までの3頭は近藤氏の持ち馬である。

余談になるが、馬主として弟子筋?にあたり勝負服もそっくりな佐々木主浩氏にも尾なしの牝馬・ハルーワスウィートを巡ってちょっと似たような話があるあたり、似たもの同士だったのかなぁと思ったり。

一等星は再び輝く

当時近藤氏の主力厩舎で、同世代の有力馬アドマイヤコジーンも管理していた栗東の橋田満厩舎に入る。デビューは1998年11月の京都・芝1600m、鞍上は武豊。武は2年前にノーザンファームで当歳のアドマイヤベガにあっていたが、そのときから「乗れたらいいな」と思っていたそうで、母ベガとの縁もあり思い入れのある馬だった。武は「ダービーを見据えるなら、新馬戦でも逃げるレースはしたくなかった」とレースでは後方で力をためさせ、最後の直線だけで先行馬をぶっこ抜き、最後は完全に流してフィニッシュした。単勝1.7倍の人気に応えて快勝、……かと思われたが、直線で壁になっている馬を避けて抜け出した際に内に斜行してフロンタルアタックの進路を妨害してしまっており1位入線の4着降着、武豊は6日間の騎乗停止処分となってしまった[1]。ちなみにこの騎乗停止の影響は広範に渡り、エリザベス女王杯のエアグルーヴやジャパンカップのスペシャルウィークも乗り替わりとなった。そして二頭とも負けた[2]

こうして新馬勝ちは逃してしまったのだが、次走は未勝利戦ではなく当初の計画通りに500万条件戦のエリカ賞へ格上挑戦することになった。エリカ賞では少頭数ということもあり直線入口で早め先頭に立たされてしまったが、猛追する強豪スリリングサンデーの強烈な末脚をクビ差しのぎきって優勝した。3戦目はラジオたんぱ杯三歳ステークスで、藤沢和雄が馬主を転がして買ってきた超良血シリーズ東の大器・○外の超良血[3]マチカネキンノホシを下し重賞初制覇。新馬戦は幻だったんや!

そして迎えたクラシックシーズン、弥生賞から始動。単勝1.5倍の1番人気に支持され、いつものように上がり最速で突っ込んだのだが、2番人気ナリタトップロードを捉えられず1馬身差の2着。皐月賞では鞍上が武豊と渡辺薫彦では差がありすぎる!と思われたのか、きさらぎ賞と弥生賞を連勝してきたナリタトップロードを抑えて1番人気に支持され、巻き返しが期待された。しかし肝心のレースの方は直線に入るところまではトップロードと同じ通過順で上がってきたが、体調不良でボロボロだったとのことでいつもの伸びがなく6着に完敗。
勝ったのはオグリキャップ後に用意された制度・クラシック追加登録で滑り込んできたテイエムオペラオーであった。しかもアドマイヤベガが見せるはずだった凄まじいキレでの一刀両断という勝ち方であった。テイエムオペラオーの調教師は外ぶんまわしはやめろ竜二って言ってたらしいけど。

捲土重来を期し、体調を整えて臨んだダービーでは弥生賞・皐月賞と連敗したナリタトップロードに僅差で1番人気を譲り、アドマイヤベガは2番人気。皐月賞馬テイエムオペラオーは3番人気であった。

レースでは好スタートを切ったがペースが緩みそうにないと見るや道中では敢えて抑えて先頭から20馬身以上ほど後方を追走。他方、皐月賞馬のテイエムオペラオーは和田がダービーのプレッシャーに潰されたか皐月賞での並外れた力に慢心したのか早くも3コーナー過ぎから強気に仕掛けて先頭をうかがい、すかさずナリタトップロードが食らいつき、直線入口ではダービーの後半区間レコードが更新される展開となった。この時点で武豊は「ヨシッ!前2頭は完全に潰れた」と勝利を確信したらしい。そしてラスト1ハロン、坂を登り切ったあたりで仕掛けが早すぎたオペラオーの伸びが鈍化、トップロードが先頭に躍り出る。渡辺の夢叶うか!? ……と思わせたところに外から上がり34.4の脚でアドマイヤベガが強襲、ナリタトップロードをクビ差かわしてアドマイヤベガがゴール板を先頭で駆け抜けた。仕掛けが早すぎた和田と和田の仕掛けに敏感に反応しすぎた渡辺に対し、ダンスインザダークで功を焦って見事にしてやられたこともあった武豊が経験の差を見せつける結果となった。とはいえ、直線半ばをすぎてもテイエムとナリタの2頭が武豊の想定を超えてねばっていたため「エッ!?嘘でしょ」と実際はかなり焦っていたとのこと。勝ち時計2:25.3はダービーレコードタイだった。

その後、秋初戦ではトップロードを一蹴し、迎えた菊花賞では1番人気に支持された。しかしレースはスローペースの団子に巻き込まれて進路を切り開くことができず中団外目に固定されたまま余分な実走距離を走らされ、最終コーナーで最内を突こうとするも進路が塞がり一転して大外に持ち出すという更なるロスにも見舞われ、末脚不発の6着に敗退した。その後は休養して翌年の宝塚記念を目標に調整されたが、なかなか体調が戻らず悪戦苦闘する間に春は過ぎ夏となり、秋こそはとオールカマーでの復帰を目指して調整を続行したが2000年7月31日に繋靭帯炎を発症してしまい、即日引退が決定した。もし無事だったなら、その切れ味で覇王となったオペラオーの対抗馬になれていただろう存在であり非常にもったいない引退であった。勝てたかどうかは別にしても、直線の長い府中であれば彼に向く展開にはなる可能性はまあまああったのではないか。

競走生活引退後

競走馬を引退後は種牡馬となったが、ファーストクロップのデビューである2004年に胃破裂で死去してしまった。享年8歳。

しかし産駒はストーミーカフェ・キストゥヘヴンのようにスピードと早熟性を持つもの、ブルーメンブラット・プレミアムボックスのように本領発揮までに時間はかかるが安定して長く活躍する短距離馬、サンライズベガ・アドマイヤフジのように息長く中距離で活躍するタイプ、テイエムドラゴン・メルシーモンサンのようなハードラーまで多彩な個性を輩出しており、早世が惜しまれた。彼のニッチには似たような血統構成のハーツクライが入り、見事成功を収めたためなおのこと惜しかった…。

気性・性格

アドマイヤベガは、気性難だったことでも知られる。

2023年6月24に配信された『宝塚記念LIVE予想会exit』(カンテレ競馬)に、元調教師の橋田満が出演。1998年の宝塚記念を獲ったサイレンススズカの思い出エピソードを中心に、トークが進められた。「サイレンススズカは大人しく、穏やかな馬だった」という話の流れで、司会の岡安譲アナウンサーが『逆に橋田厩舎で一番手のかかった馬は?』聞いたところ、橋田調教師は「アドマイヤベガ」と即答した。その直後に続けて「アレはちょっと...」「アレはちょっとねぇ、恐ろしい馬でしたよ」としみじみと呟くほどであった。

具体的なエピソードとして橋田調教師は、「アドマイヤベガは体がすごく柔らかい」「馬は体が柔らかいといろんな動きができる」と前置きし、「(アドマイヤベガの傍にいると)とんでもないところに口が来たり足が来たりするんですよ」と語った。一般的に「体が柔らかい馬」を人が制するのは難しく、それに重ねて馬の性格がワガママであった場合、ことあるごとに嫌がって暴れたり反抗したりする。その2つを兼ね備えていたのがアドマイヤベガだったという。橋田元調教師は「(アドマイヤベガの)ご機嫌の悪いときは怖いものでしたよ」と笑いながら振り返った。

血統表

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss
ベガ
1990 鹿毛
FNo.9-f
*トニービン
1983 鹿毛
*カンパラ Kalamoun
State Pension
Severn Bridge Hornbeam
Priddy Fair
*アンティックヴァリュー
1979 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Moonscape Tom Fool
Brazen
競走馬の4代血統表

クロス:Almahmoud 4×5(9.38%)

血統構成的にはベガがアイリッシュダンスと似通っているので前述の通りハーツクライと似ている(SSにトニービン×ND系)。脚が曲がってるあたりもハーツクライ的……いや逆か。
それだけに古馬になったアドマイヤベガのifは見てみたかったかもしれない。

主な産駒

2002年生まれ

  • アドマイヤフジ (牡 母 *アドマイヤラピス 母父 Be My Guest)
    • 主な勝ち鞍 2006年日経新春杯(GII)、2008・2009年中山金杯(GIII)
  • ストーミーカフェ (騸 母 *グリーティングス 母父 Rainbow Quest)
    • 主な勝ち鞍 2004年札幌2歳ステークス(GIII)、2005年共同通信杯(GIII)
  • テイエムドラゴン (牡 母 ヤエシラオキ 母父 マルゼンスキー)
    • 主な勝ち鞍 2005年中山大障害(J・GI)、2005・07年京都ハイジャンプ(J・GII)、2006年阪神スプリングジャンプ(J・GII)
    • 2005年JRA賞最優秀障害馬

2003年生まれ

  • キストゥヘヴン (牝 母 ロングバージン 母父 *ノーザンテースト)
    • 主な勝ち鞍 2006年桜花賞(GI)、2006年フラワーカップ(GIII)、2008年京成杯オータムハンデキャップ(GIII)、2009年中山牝馬ステークス(GIII)
    • タイムトゥヘヴン(2022年ダービー卿チャレンジトロフィー)の母
  • ニホンピロレガーロ (牡 母 ニホンピロポリーナ 母父 ニホンピロウイナー)
    • 主な勝ち鞍 2010年小倉記念(GIII)
  • ブルーメンブラット (牝 母 *マイワイルドフラワー 母父 Topsider)
    • 主な勝ち鞍 2008年マイルチャンピオンシップ(GI)、2008年府中牝馬ステークス(GIII)
    • シュトラウス(2023年東京スポーツ杯2歳ステークス)の母
  • プレミアムボックス (牡 母 チャッターボックス 母父 *ターゴワイス)
    • 主な勝ち鞍 2008年オーシャンステークス(JpnIII)、2009年CBC賞(GIII)、2009年京阪杯(GIII)

2004年生まれ

  • アルナスライン (牡 母 *エラティス 母父 El Gran Senor)
    • 主な勝ち鞍 2009年日経賞(GII)
  • ギルティストライク (騸 母 *シェープアップ 母父 Kingmambo)
    • 主な勝ち鞍 2010年東京ジャンプステークス(J・GIII)
  • サンライズベガ (牡 母 オーパスワン 母父 Theatrical)
    • 主な勝ち鞍 2011年小倉大賞典(GIII)
  • トーワベガ (牡 母 トーワディステニー 母父 ウインザーノット)
    • 主な勝ち鞍 2009年阪神スプリングジャンプ(J・GII)

2005年生まれ

  • オースミスパーク (牡 母 シルクスパークル 母父 *フォーティナイナー)
    • 主な勝ち鞍 2010年小倉大賞典(GIII)
  • メルシーモンサン (牡 母 カネショウダイヤ 母父 *ダイヤモンドショール)
    • 主な勝ち鞍 2010年中山グランドジャンプ(J・GI)

関連動画

関連コミュニティ

関連項目

  • 競馬 / JRA
  • 競走馬の一覧
  • 1999年クラシック世代
    • テイエムオペラオー
    • ナリタトップロード
    • ラスカルスズカ
  • 兄弟
    • アドマイヤボス - 全弟
    • アドマイヤドン - 半弟
  • サンデーサイレンス - 父

脚注

  1. *武豊はその前の週にサイレンススズカを事故で失っており、そのショックがあったとも言われる。
  2. *特にスペシャルウィークは岡部幸雄を持ってしてもまっすぐ走りきれずモタれる有様で、当時の武の腕の冴えを雄弁に語る出来事であった。
  3. *父シアトルスルー、母アリスベルは米二冠馬アリシバの全妹。
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