アンビグラムとは、見方を変えることで複数の読み・解釈ができるようにデザインされた文字アートである。
…などと言葉で説明してもわかりにくいので例を挙げる。
この画像にはカタカナで「ダイヒャッカ」と書かれているが、画像を上下逆さまにひっくり返してもそのまま「ダイヒャッカ」と読むことができる。言い換えれば、全体が点対称の図形でありながら、意味を持つ文字列として認識できるようになっている。
このように、ひっくり返すなどして視点を変えても読めるようにデザインされた文字、またその手法を「アンビグラム」と呼ぶ。
上の例では同じ読みになるが、別の読み方に変化するパターンも多い。180度回転ではなく90度回転であったり、回転ではなく鏡のように反転させるものであったり、もしくは回転・反転等せずに同じ角度から複数の読み方に解釈できるものもアンビグラムに含まれる。
代表的な4タイプを挙げる。
概要にも例として挙げた、その名の通り回転させても読むことができるタイプで、多くは180度ひっくり返すもの。アンビグラムがメディアなどで紹介される際「逆さ文字」などと呼ばれることがあるように、アンビグラム作品の多くが回転型である。
180度ひっくり返すパターンほどメジャーではないが90度だけ回転させて読むパターンも少なくない。まれに45度や60度といった作品もある。
その名の通り、鏡のように左右(もしくは上下)に反転させても読むことができるタイプ。
文字のストロークの間にある空白(地)もまた文字として読むことができるタイプ。
図と地のどちら側を文字として認識するかによって読み方が変化する。
回転させたり反転させたりすることなく、同じ角度から複数の読みに解釈できるタイプ。
複数の文字が寄り集まって別の文字を構成するものを「寄せ字」と呼ぶ。
特に、「漢字のパーツが仮名でできており全部繋げて読むと別の単語や文章が浮き上がってくるタイプの文字アート」は、「ことば漢字」「めっせー字」とも呼ばれる。
似たトリックを利用しているためこれらもアンビグラム作品として発表されることもままあるが、本来はアンビグラムとはまた別のジャンルである。
ただし、構成するパーツが一直線上に綺麗に並んでいる場合はアンビグラムと呼ぶ向きがある(これに関しても意見が割れ、明確な分類が難しい)。特に回転等の必要がない場合は上述した「振動型」のアンビグラムとして分類できる。
『ダ・ヴィンチ・コード』でも有名なダン・ブラウンによるサスペンス小説。アンビグラムが作中に多く登場し、この作品を機にアンビグラムが世間的に有名になったとされる。原著では表紙タイトルの「Angels & Demons」も回転型アンビグラムになっている。
作中に登場するアンビグラムはグラフィックデザイナーのジョン・ラングドンによりデザインされたものであるが、ダン・ブラウンの小説に共通して登場する主人公の名前「ラングドン」は彼から取られている。
上の静画の左側が作中に登場するアンビグラムの一つ。(右側はそれにインスパイアされ漢字化した二次創作)
青山剛昌による推理漫画。作中に謎解き要素としてアンビグラムやその類似トリックが登場する。中でも阿笠博士が少年探偵団に対して出題したなぞなぞ暗号「マルムシニテント」の回が特に有名。
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https://twitter.com/anime_ytv/status/1033163804295626752
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2018年版のポスターにアンビグラムが採用された。「挑戦」「最強」と書かれたポスターを逆さまにするとそれぞれ「勝利」「戦場」となる。
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2020新ユニフォームのサインオフ部分に本コンセプトである「日本晴れ」の文字が書かれているが、逆さまにするとそれぞれ「侍魂」(男子)「撫子魂」(女子)と読むことができる。
セ・パ交流戦で恒例となっているロッテの挑発ポスターの2018年版のテーマがアンビグラムで、セ軍6球団ごとに1種類ずつ作成された。
一見、相手球団を賛美するかのようなポジティブな漢字2字が書かれているだけのように見えるが、ポスターを逆さまにすると各球団への挑発ワードが浮かび上がる。
正確に言うと、ただシンメトリカルなデザインであるだけで「ひっくり返しても読める」というコンセプトでデザインされたものではなかったり、もしくはそもそも偶然の産物であったりするものもあるが、日常で見かけるそれっぽい例を参考として以下に挙げる。
日清食品のロゴ。上下逆さまにしても、アルファベット部分をそのまま「NISSIN」と読むことができる。
グラフィカルに文字を変形させるまでもなく自然な状態ですでに点対称な文字列ではあるが、日本で生活する人たちにとっておそらく最も有名で生活に溶け込んでいる回転型アンビグラムと言える。
さらに回文(左から読んでも右から読んでも同じ)の要素も併せ持っている。
点対称っぽくなるように特に「J」と「R」の文字が意図的にデザインされていることがわかるが、よく見るとそれぞれの曲線部が微妙に異なり、回転させるとやや不自然になる。
上下逆さまにすると「NO17(ナンバー17)」と読むことができる。
だからどうしたと思うかもしれないが、他社による類似商品の防止を目的としてライオンはこの「NO17」という文字列も同時に商標登録している。ただし、たまたまロゴをひっくり返してみたらそう読めたというだけの偶然の産物であり、アンビグラムとして意図的にデザインされたものではないとされる。そもそもナンバー17ってなんだよ。
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最終更新:2024/12/18(水) 19:00
最終更新:2024/12/18(水) 19:00
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