ホーホケキョ となりの山田くん 単語

ホーホケキョトナリノヤマダクン

1.6千文字の記事

ホーホケキョ となりの山田くんとは、1999年開されたスタジオジブリ制作アニメ映画である。

監督高畑勲

概要

1991年より『朝日新聞刊にて連載されたいしいひさいち4コマ漫画作品『ののちゃん』をアニメ映画化ものである。スタジオジブリ映画としては4コマ漫画映画化は初。内容は「ののちゃん」の4コマ漫画の内容を繋ぎ合わせたもので、「家族」を描いたテーマの作品を模索していた高畑監督に留まり、制作が行われた。

原作4コマ漫画であるが、高畑のこだわりから104分の作品で作画17万枚に及び、2013年に同じ高畑作品の「かぐや姫の物語」(50万枚)が開されるまでジブリ作品で一番多くの作画が使用された作品である。(参考までに宮崎駿監督の「もののけ姫」が14.5万枚。「千と千尋の神隠し」が11万枚)。

また、スタジオジブリ配給先は通常東宝系であるが、「となりの山田くん」に限り松竹配給を行なっている。これは徳間書店社長東宝側とケンカして東宝配給として開できなくなり、代わりに松竹系で開せざるを得なくなった事情がある。なお、ジブリの次回作である「千と千尋の神隠し」以降は再び東宝配給に戻っている。

評価

作画数の多さから製作費が「もののけ姫」に匹敵する20億から23億円(情報によりばらつきあり)だったのに対し、行収入は15.6億円、配給収入がもののけ姫」(114億円)の15分の1の8億円弱と行的に失敗に終わる。原因として原作の「ののちゃん」はジブリイメージがつきにくかったこと、また配給先の松竹広告戦略を見誤ったことが挙げられる。特に後者松竹系の映画館が西日本にあまりなかったことに加え、ジブリ作品ということで意気込んだ松竹が大規模映画館で上映したものの客入りが悪く、席が立っていることを雑誌に書かれるという悪循環に陥った。松竹は自社社員を動員し、取材に来たメディアに対しチケットを配布して提記事を書いてもらう戦略をとったが効果はなく、某週刊誌に「となりの山田くんより、うちの山田君(山田洋次監督)を使えば良かったのに」と書かれる有様であった。

この失敗はスタジオジブリの経営が一時期危ぶまれる事態になったが、翌年の「千と千尋の神隠し」の大ヒットによって経営を立て直し、また「となりの山田くん」もその後のビデオDVDブルーレイ含む)売上によって黒字転換している。

金曜ロードSHOW!での放送も2000年に1回のみ放送され、この時の視聴率が9.9%の一桁(2000年代前半にジブリ作品が視聴率一桁だったのは非常に稀)だったもあり2020年まで20年にわたり放送されていない。2018年4月高畑勲が逝去した時も追悼として「火垂るの墓」とかぐや姫の物語」が放送され、放送回数が後発の「かぐや姫の物語」(2回)を下回っていることから、高畑勲作品としてもスタジオジブリとしても黒歴史化を印づけてしまっている状況である。

しかしプロデューサー鈴木敏夫はこの失敗は想定していたと述べ、さらに「もののけ姫」の成功によって過大なプレッシャーがかかったためあえて「となりの山田くん」で行成績を落とした結果、「千と千尋の神隠し」の大ヒットにつながったと述べている。また、高畑勲アニメ映画監督をやめることも考えたが、当時の日本テレビ社長であった氏家一郎がこの作品を気に入り、たとえ今回赤字でも高畑勲の作品を見たいとジブリ関係者に伝えたことからアニメ映画監督を続け、14年後の「かぐや姫の物語」が誕生するきっかけになった。

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