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天然痘ウイルスとは、ポックスウイルス科に属するDNAウイルスの一種である。
ここでは他のポックスウイルス科のウイルスについても解説する。
煉瓦状の形をした大型のDNAウイルスである。別名、バリオラウイルス。
人間(ヒト)のみに感染するウイルスであり、天然痘の原因となる。天然痘を発症すると高熱・頭痛・筋肉痛といったインフルエンザに似た症状の他、全身の皮膚や内臓に特徴的な発疹ができる。致死率が30%以上にもなるとても怖い病気で、死亡しなくても顔面に痘痕が残ったり失明などの後遺症が残る可能性があることから恐れられていた。
また、非常に感染力が強いウイルスであり、接触感染だけでなく飛沫感染や空気感染によって人から人に伝染する。ただし、一度天然痘に罹ると終生免疫ができるため、二度と天然痘を発症しないという特徴もあった。
1796年にエドワード・ジェンナー(イギリスの医学者)によって天然痘ワクチン(種痘)が開発され、天然痘の予防方法が確立された。1958年には世界保健機関(WHO)によって世界天然痘根絶計画が開始され、感染者周辺に種痘を実施し集団免疫を作ることで封じ込める作戦を行った。そして1977年を最後に天然痘患者の発生はみられなくなり、天然痘ウイルスは自然界からは根絶されたのである(しかし、1978年にイギリスのバーミンガム大学の研究室の事故により天然痘による死亡者が出てしまっている)。
これは種痘の成果もあるが、「天然痘ウイルスが他の動物に感染しないウイルスだったこと」や「天然痘ウイルスがDNAウイルスであり、変異しにくいウイルスだったこと」も理由とされている。
現在ではアメリカ合衆国とロシア連邦にある一部の研究所にのみ天然痘ウイルスが保管されている。
天然痘ウイルスは感染力・病原性ともに非常に高く、(天然痘ワクチンはあるが)治療薬も存在しないため、きわめて危険なウイルスである。そのため日本の感染症法では(エボラウイルスやマールブルグウイルス等と並び)最も危険な一種病原体等に指定されている。原則として(日本国が認めた一部の研究施設を除き)天然痘ウイルスの所持は禁止されている。
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最終更新:2025/12/21(日) 19:00
最終更新:2025/12/21(日) 18:00
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