悪役令嬢とは、悪役の令嬢。古くから様々な物語に登場する、キャラクター類型の一種である。
また近年では、「悪役令嬢」的な立場にあるキャラクターを主役に据えた自作小説などがインターネット上の小説投稿サイトに非常に数多く投稿されており、そのうち複数の作品は商業化もされている。これらは「悪役令嬢もの」などと呼ばれ、一種の作品類型となっている。
「悪役令嬢」という存在を、「物語の中で敵役をつとめる」「ある程度高い身分の」「若い女性」と定義するならば、かなり古くさかのぼることができる。例えば、「新約聖書」に登場するヘロデ王の義理の娘(いわゆる「サロメ」)や、童話「シンデレラ」で主役のシンデレラをいじめる継姉などもこの定義に入れられないこともない。
小説作品にも、悪役令嬢と言える立ち位置のキャラクターは時折登場してきた。例えば19世紀の児童文学などで「寄宿学校で主人公の少女をいじめる富裕な家の娘」や「わがまま放題のねじ曲がった性格に育ってしまった令嬢」が登場する作品がある。そういった児童文学を参考としてか、少女漫画などではかなり初期から悪役令嬢的なキャラクターは散見される。
さらに少女漫画に限らず様々なジャンルの漫画・小説・アニメ・ゲームなどにおいて「悪役の令嬢」は散発的に登場していく。それに伴い、徐々に「典型的な悪役令嬢ってこういうのだよねー」という漠然としたイメージも醸成されていった。
そして、ぼんやりとしたイメージが共有されている「典型的な悪役の令嬢」を大げさに戯画化(パロディ)したようなキャラクターを主役に据える作品なども登場した。主人公をいじめる敵役であった「悪役令嬢」を、逆に主人公としてスポットライトを浴びる立場としているわけだが、もちろん嫌われるような悪役そのもののキャラクターをそのまま主人公としているわけではなく、読者が好感を持てる魅力あるキャラクターとして描いている。
例えば、1991年にジュニア向け小説レーベル「学研レモン文庫」から刊行された森奈津子の小説作品『お嬢さまとお呼び!』と、その一連のシリーズ作品の主人公「綾小路麗花」は典型的な悪役の令嬢である。
また、2008年の第3回小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門に投稿され優秀賞を受賞した『悪役令嬢ヴィクトリア ~花洗う雨の紅茶屋~』も悪役令嬢を主役としていた。同作は2009年にルルル文庫から出版され第3巻まで出版されているが、これが「悪役令嬢」という言葉をタイトルに冠した最初の商業作品のようである。この言葉を広めたのは本作がきっかけとなったのかもしれない。少なくとも「悪役令嬢」という言葉が本作以前に広く使われていた形跡はない。
小説投稿サイト「小説家になろう」において、2013年頃から「悪役令嬢」を主役に据えた作品の投稿が増え始めたようだ。
同サイトに投稿される自主創作小説作品には、それ以前から「異世界転生」ものが非常に多いという特徴があった(異世界転生ものについては「異世界」や「異世界転生」の記事も参照されたい)。そのためか、同サイトに投稿される「悪役令嬢もの」には、「異世界転生もの」の要素を取り入れた作品が特に多いようだ。
この2つの物語類型を組み合わせると「少女漫画/乙女ゲームの世界に転生したが、転生先は元の少女漫画/乙女ゲームにおいて悪役令嬢として扱われていたキャラクターだった。悪役として破滅する未来をどう回避するか……」といった形式の話となる。同サイトの全期間累計ランキングで長期間2位(女性視点作品の中では1位)に位置していた人気作品『謙虚、堅実をモットーに生きております!』も、ストーリーの大枠はまさにこういった形式の、「異世界転生もの」+「悪役令嬢もの」である。ただし、現実の乙女ゲームで悪役令嬢が登場するものはほとんど存在しない。乙女ゲームは女性を悪く描くことを避ける傾向にあるため、悪役には男性や人外、もしくはジェネレーションギャップのある上の世代が配置されている。
その『謙虚、堅実をモットーに生きております!』や、その他の商業化されたいくつかの作品に刺激されてか、「小説家になろう」やその他の小説投稿サイトへの「悪役令嬢もの」の投稿が行われ続けている。
2020年現在において「悪役令嬢もの」は多くの派生ジャンルを生み出しており、例えば悪役令嬢が王子役のキャラクターに婚約破棄(断罪)される場面を起点に話を広げる「婚約破棄もの」などは派生の中で大きな盛り上がりを見せている。
基本的に女性向け作品において盛り上がりを見せているジャンルだが、男性向け作品においても「悪役令嬢もの」の要素を取り込む作品は散見されており、「小説家になろう」等の場においては男女を問わず広く知られた概念となっている。
「ニコニコ静画 (マンガ)」には「悪役令嬢もの」の漫画も少なくない。「悪役令嬢もの」のネット小説が商業化された後に漫画化されたものが、ウェブ漫画サイトと「ニコニコ静画 (マンガ)」のコラボ企画として複数連載されているためである。
「ニコニコ静画 (マンガ)」内を「悪役令嬢」でタグ検索すると該当作品を探すこともできる。ただし「ニコニコ静画 (マンガ)」の仕様上、「連載回中、一回のみでも「悪役令嬢」タグが付いている回があれば検索にヒットしてしまう」という難点には注意。つまりこのタグ検索でヒットした作品でも、連載全体として「悪役令嬢もの」であるとは限らない。
少女漫画・乙女ゲーム風異世界を舞台にしていても、悪役令嬢要素が希薄な作品は除外しています(「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」など)。
掲示板
1074 ななしのよっしん
2025/03/05(水) 08:33:18 ID: rADjUTbTNo
悪役令嬢転生おじさんは善性が過ぎて癒される
悪役令嬢の中の人はいずれアニメ化するんだろうけどあれコミカライズが良すぎてなあ
1075 ななしのよっしん
2025/03/06(木) 01:18:20 ID: 5F+1KfHax6
>>1073
正規ヒロインが敗北して拷問にかけられる場面とかから開始とか?
『いきなり破滅エンド!』とか誤解招きそうなタイトルで、正規ヒロイン(精神崩壊済み)を前にして高笑いする悪役令嬢。
だが、前世の記憶(プレイヤー視点)覚醒で、己の行いがどれだけひどいものかを悟って彼女は改心、正規ヒロインへの贖罪を始める・・・みたいな感じ。
1076 ななしのよっしん
2025/03/12(水) 14:13:41 ID: 8AYnw7vpba
最大手のなろうがR-18禁止で姉妹サイトに棲み分けしてるから、展開のために原作がインモラルな作品だったとかこのキャラがヤンデレで監禁エンドもあったとかの言及はあっても、あんまり直接的なのは掲載サイトも書籍化レーベルもそっち系になって表に出てきにくいのはあると思う
提供: pico_seq
提供: rosko
提供: ねねっち
提供: hi-lite
提供: 名無し
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最終更新:2025/03/23(日) 03:00
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