悪役令嬢転生おじさんとは、上山道郎による漫画作品である。『月刊ヤングキングアワーズGH』にて、2020年5月号より連載中。2024年8月現在、既刊7巻。
概要
公務員として真面目に働く日々を送っていた屯田林憲三郎(52歳)は、ある日、交通事故に遭ってしまう。気が付くと、娘がプレイしていた学園モノの乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」(略称ラブビー)に登場する悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌ(15歳)に転生してしまっていた。
見た目は若き令嬢グレイス、中身は公務員のおっさんが、自身の人生で培ってきた知識と経験を活用しつつ、時には(主にヒロインのアンナに対して)親目線になったり、時には“令嬢”として事態の収拾を図ったりしながら、乙女ゲームの世界で生きていく異世界転生コメディ漫画である。
作者は、『怪奇警察サイポリス』『機獣新世紀ZOIDS』『ツマヌダ格闘街』などで知られる上山道郎。『サイポリス』『ゾイド』辺りは1990年代の『コロコロコミック』を読んでいた世代ならだいたい知っている(かもしれない)名前である。
詳しくはこちらを参照 → 上山道郎
連載までの経緯
元々は、上山が2019年11月20日にTwitter上にて投稿した単発漫画が始まりである。
当時、上山は『ツマヌダ格闘街』の連載終了後、続けて2作品を連載するもいずれもヒットに繋がらず、2~3巻で打ち切られているという状況であった。
こうしたことから上山は危機感を覚え、漫画界のトレンドを学ぶべく当時流行していた「異世界転生もの」を片っ端から読み漁るようになったという。色々と読み進めていくうちに「悪役令嬢もの」にハマり、今度は自分が読んでみたい悪役令嬢漫画を描きたくなった、というのが投稿のきっかけである[1]。
こうして投稿された「悪役令嬢転生おじさん」は自ら「人生最大のバズり」と言うほど大きな反響を呼び、Twitterやpixiv上で新作が投稿されるようになり、商業連載の現在に至っている。
余談・その他
登場人物
- 屯田林憲三郎(とんだばやし けんざぶろう)
- CV:井上和彦
- バーコードハゲが光るいかにもらしい中年男性。
温厚な性格。アニメや特撮ヒーローものが好きなオタク気質も併せ持つ。ゲームの方面も一応手を出しているが乙女ゲームは未プレイである。
- 交通事故がきっかけで乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」のキャラクター、グレイスに転生(後述するように彼本人は死んでいないため転生よりも憑依に近い)。
長年培ってきた"社会人スキル"と自身の言動を優雅なものに自動変換する《優雅変換(エレガンス・チート)》
(アニメではエレガントになっている。ただし任意でのオフは不可)を駆使して貴族令嬢として異世界生活を送る。
- 現実世界では死んでおらず、外傷が無く脳波にも異常がないのに寝たきりになっている。
- 宴会などでは銀河鉄道999を歌っているもよう。
- グレイス・オーヴェルヌ
- CV:M・A・O
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」に登場する悪役令嬢。
本来は矜持から自他に対し厳しい性格だったが憲三郎が主導してからは一転して優しい性格に。
アンナを始めとして周囲に親目線の発言や助言により期せずして彼女たちの好感度上げることに。
- ビーストはエンシェントドラゴンで何故か火と水の属性を持っている。本来のグレイスのビーストと属性は不明。名前はオリオン(命名は日菜子)。属性の切り替えは現実世界(日菜子が手動)で行う。声は金澤まいが担当している。
- OPのとあるシーンのグレイスは本人である。ヒントは黒白、カラーのグレイスは憲三郎。EDのグレイスは憲三郎の可能性が高い。
- アンナ・ドール
- CV:関根明良
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の主人公。平民出身。
貴族しか入学できないとされる王立魔法学園に猛勉強の末、首席合格を果たしたほどの努力家。
しっかり者に見える反面ドジっ娘でよく転ぶ。また涙脆い一面もある。
- グレイス=憲三郎に肯定された事で心酔し、ダジャレ以外の言動を「流石グレイス様」の一言で好感度が上がるようになってしまった。現在の好感度は不明。
- 入学してから食い過ぎで太ってしまったがランニングしたり先輩達と一緒に特訓する事で痩せることは出来たが今度は筋肉が付いてスカートがきつくなったもよう。
- 作中ではすっかりグレイスの取り巻き(と言うよりもはや忠臣)といった感じだが、主人公としての素質は健在。学習能力や理解力に優れており(日菜子曰く『主人公補正』)、グレイスが解く様子やオリオンにより分解したときの構造を見たことで、ルービックキューブをあっさり全面揃えてしまうほど。
- 人当たりもよく素直だが、同時に悪意に対する芯の強さも併せ持つ。モブ令嬢3人娘(本来のグレイスの取り巻きであるジョーヌ、ヴィオレ、マロン)からの風評に対しては、両親からの教えと、なによりグレイスへの忠誠心で突っぱねている。
- グレイスを通じて交流している憲三郎自身も高く評価しており、「誰からも愛される主人公」「(悪役令嬢として)辛く当たらなければならないことが心苦しい」との談。「マジカル学園ラブ&ビースト」を何周もプレイしている日菜子ももちろん気に入っており、モブ令嬢3人娘からグレイス=憲三郎への事実無根の告げ口に対して「そんな子じゃない」と激怒したり、先述のモブ令嬢3人娘とアンナのやり取りに憲三郎共々涙するなどしている。
- ビーストは風属性のペガサス、名前はシリウス。
- ヴィルジール・ヴィエルジ
- CV:石川界人
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の舞台となる王国の第一王子にして攻略対象の一人。
グレイスの婚約者。学園の生徒会長を務めている。
一見誰にでも優しく人当たりのいい人格者だが、その実、王国にとって有益か否かで値踏みしてしまう。
- グレイス=憲三郎が有用過ぎるため好感度がやたら高くなってしまい、ルートフラグが立っている。
- ビーストは風属性のグリフォン、名前はスピカ。
- オーギュスト・リオン
- CV:鈴木崚汰
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の攻略対象の一人。
学園の生徒会のメンバーで保安部長を務めている。
魔法で身体を強化する格闘術を得意とする。
- 虫にも慈愛を向けるグレイス=憲三郎に好感度が爆上がりしてしまいルートフラグが立っている。
- ビーストは火属性のガルーダ、名前はレグルス。
- リシャール・ヴェルソー
- CV:梅原裕一郎
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の攻略対象の一人。
学園の生徒副会長。伝家の剣術を継承している。
普段無口な理由は口を開くとダジャレがとめどなく飛び出すため。アニメ版では原作にないダジャレが大量に追加されている。(だいたい脚本家のせい)
- グレイス=憲三郎のダジャレには敵わず敗けを認める(この事がグレイスが生徒会最強という噂に繋がってしまった)。
- ビーストは水属性のシーサーペント、名前はサダルメリク。
- ピエール・ジェモー
- CV:永塚拓馬
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の攻略対象の一人。
学園の生徒会書記。ヴィルジールに幼少から付き従う従者。
身の回りの世話やスケジュールを管理をこなす有能だが融通が利かず、これにヴィルジールは時々彼の前から姿を晦ます。
- ビーストは水属性のガーゴイル、名前はポルックス。
- ランベール・バランス
- CV:山下誠一郎
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の攻略対象の一人。
学園の生徒会会計。頭脳明晰で成績優秀。ちょろい。
生まれが辺境の没落貴族の三男ということもあり似た境遇のアンナにライバル心を抱いている。
- 今のところアンナの婿に一番近いところにいる
- ビーストは土属性のスフィンクス、名前はズベン・エル・ゲヌビ。
- リュカ・ヴィエルジ
- CV:古賀葵
- 乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の攻略対象の一人。
ヴィルジールの弟にして王国の第二王子。生徒会書記。
性格は明るく、笑顔を絶やさない人気者だがトラブルメーカーの一面もある小悪魔系男子。
- ビーストは(アニメ12話時点では)不明
- レオポルド・オーヴェルヌ
- CV:大塚明夫
- グレイスの父親。王国の財務大臣。
生まれは田舎貴族の次男坊だがその能力をグレイスの母に買われて養子として婿入りした。
それは財務大臣になった現在でもコンプレックスとなっている。
- ジョゼット
- CV:篠原侑
- オーヴェルヌ家に仕える見習いメイドの獣人の少女。
ミスが多く以前のグレイスにこっぴどく叱られていた。
グレイス=憲三郎になってから急に優しく接してくるので困惑している。
- フランセット・メルキュール
- CV:桑原由気
- 学園の1年生。演劇部のメンバーで演劇の知識は部内で随一。
本来のゲームシナリオにおける友人キャラ。情報提供役でもあったがグレイス=憲三郎がアンナと仲良くなってしまったため本来の出番を奪われている。
- アニメでの初登場時は変な妄想をして鼻血を大量に出していた。
- カメラ(魔道具)を所持している(このカメラは学園の物である可能性はある。本来のゲームではスクリーンショット機能)。アンナは知らないみたいだがヴィルジール達は特に反応していない事からカメラの存在は知っている様子。
- ヴィルジール達の演劇の衣装を見てメガネが割れたり、宇宙に旅立ったり(※あくまで演出)している。
- 生徒会を『箱推し』していると言ったり、ヴィルジールやピエールの女装を見てどこかへ『課金』しようとするなど、言動が現実世界の重度のオタクのそれであったことから、彼女も転生者ではないかと疑う声もあるとか。ただしグレイス=憲三郎からは特に言及される描写はない。
- ジャクリーヌ・オーヴェルヌ
- CV:井上喜久子
- グレイスの母親。アニメの10話時点では名前と回想のみの登場で声無しだがEDにはそれっぽい人物はいたりする。
- 最終話にてようやく顔と声が明らかになった。ただ、CV担当の井上がナレーションや「マジカル学園ラブ&ビースト」のシステムボイスも担当しており、オーヴェルヌ家のメイドの回想にあった台詞が全カットされていたことから、CVを予測していた人もそれなりに居た。
- 今のグレイスの事を何か知っているようだが詳細は不明。ただし、作者の上山からは「物語の鍵を握る人物」であることは明言されている。
- オードリー・ドール(オードリー・ドール)
- CV:早水リサ
- パン屋を夫と共に営んでいるアンナの母親。名前はアニメ版では未公開だが、原作8巻にて判明している。
- グレイスへの反応や魔法への理解の深さから貴族と関わりのある人であることは確定的だが本人は(嘘であることはジョゼットにすらバレバレだが)否定している上にグレイス(憲三郎)が(この時代にあるかわからんが)個人情報の観点から聞くのを躊躇っている為今のところ真相は不明。
- ちなみにOPにもEDにも姿を見せていない(はず)。
- レオポルドと知り合いのようだがやはり詳細は不明。
- 屯田林日菜子(とんだばやし ひなこ)
- CV:黒沢ともよ
- 憲三郎の娘で20歳。まさにこの両親にしてこの子ありという典型的な血統書付きのオタクでもある。
- 状況についても驚愕こそしたがあっさりと順応する。
- オタクの方向は主にゲームに向いているようで作中では乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」をリビングでプレイしていた。
- 屯田林美津子(とんだばやし みつこ)
- CV:本田貴子
- 憲三郎の妻。オタク。オタクの方向は異世界ものに向いている。アニメでは様々な異世界転生モノのタイトルを早口で語っている。
- 状況についてもあっさりと順応。具体的には日菜子の説明を聞いてすぐに「なるほど、わかったわ」の発言が出るほど。
- イケメンの女装は好物らしい。
テレビアニメ
2025年1月よりTBS系列『スーパーアニメイズムTURBO』にて放送開始。先述のZOIDSはタカラトミーのゾイドを元にしたコミカライズ作品なので、上山作品としてのアニメ化はデビュー35年目にして初となる。
現実世界での憲三郎の様子を中心としてアニメオリジナルシーンも追加されており、機獣新世紀ZOIDSを始めとする上山の旧作品ネタも多く仕込まれている。
本放送時は上山自身がX(Twitter)で実況するのも恒例で、たまに裏話もポストされていた。
スタッフ
アニメーション制作は『忍たま乱太郎』の亜細亜堂。
監督は『百合星人ナオコサン』の主格で、最近だと『リコリス・リコイル』4話で絵コンテ、作画監督を手掛けた竹内哲也。
シリーズ構成を『チ。-地球の運動について-』の入江信吾が担当する。
放送局・配信サイト
他、各種VODサイトにて順次配信開始。
主題歌
配信リスト
※配信日は『悪役令嬢転生おじさん
』(チャンネル)の配信日
関連静画
ニコニコ漫画では2話目まで公開されている。
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
- *『悪役令嬢転生おじさん 1』 あとがきまんが
- *『悪役令嬢転生おじさん 2』 キャラクター設定 裏話
- *『悪役令嬢転生おじさん 2』 巻頭コメント。