SCP-2616-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『雪中送炭』。これは実際に存在する四字熟語で、困窮する人に救いの手を差し伸べることを指す。
SCP-2616-JP | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Safe |
収容場所 | 赤石山脈(南アルプス)小河内岳の山頂まで100mの位置 |
著者 | BenjaminChong |
作成日 | 2020年8月7日 |
タグ | 嘘コン20 外部エントロピー 建造物 死体 |
リンク | SCP-2616-JP |
SCPテンプレート |
長野県と静岡県の県境にある、赤石山脈、またの名を南アルプスは小河内岳の山頂まで100mの位置に存在する避難用の2階建ての木造の山小屋である。自治体の記録上このような山小屋があることは記されておらず、建造年月は不明、かつ管理者も不在。設備は木組みの床とテーブルと石造りの暖炉しか存在せず、電化されていないため暖を取るには前述の暖炉を使用することになる。このためか、薪の束ひとつとバーナー、火かき棒が置かれている。
このSCP-2616-JPの異常性は入口周辺の積雪が2cm以上あり、積雪した地面を監視する人がいないこと、そして任意の燃料 (前述の薪である必要はない) を暖炉に入れて点火することで発現する。
この暖炉に焚べたものは、それがなんであれ完全燃焼し、酸素供給が不十分である場合においても燃焼産物として二酸化炭素のみを排出する。また、暖炉がもえている間、SCP-2616-JP内部は常に適温に保たれる。そして燃料が燃え尽きると、外からノックの音がする。なんだろうと思って戸をあけると、燃やしたものと全く同じものが新品の状態で出現する。薪なら束ねられ、エタノールやガソリンは適切な容器に入れられた状態で設置される。足跡は積雪していない地面まで続いているが、その先の足跡は消失しており追跡はできない。
とまあ、不思議ではあるものの、遭難者が逃げ込むには理想的な山小屋であることは間違いなく、加えて同登山ルート上に他の山小屋が存在しないので、財団は珍しくこの山小屋の隠蔽措置を取っていない。一応、冬季に該当する登山ルートは閉鎖しているが、他の登山ルートから流れ着いた遭難者のためにSCP-2616-JPそのものは通常開放されている。また、異常性に干渉しかねないため防犯カメラも設置されていない。かわりに財団がすぐ救助に向かえるように遭難信号発信機を設置している。
2014年2月、財団は2人の遭難者を救助した。財団は遭難者にインタビューを実施した。この日は大雪警報が発令されており、登山にはどうにも向いていなかったが、2人は大学の登山サークルに所属しており、上級生にあたる森川氏が、下級生の山村氏を誘い、『山村氏を鍛える』という目的で登山を敢行した模様。
だが森川氏はともかく、初心者の山村氏に真冬の山はきつかったようで、森川氏が山小屋を発見しなければ2人とも死んでいただろうと、山村氏が体を鍛えていないことを非難する。しかしインタビュアーは、初心者であまり鍛えていなかった山村氏より、森川氏のほうが顔色が悪いことを気にしていた。それについて問うと、森川氏は「あの山小屋はおかしい」と、SCP-2616-JPの異常性について言及した。薪を燃やし終えたらノックがして、他の登山者かと思い戸を開くと、燃やしたはずの薪と木目の位置1つ狂いのない薪がそこに置かれていた。そして燃やし終えるたびにそれは続いたという。
インタビュアーは不思議なこともあるものだと相槌をうち、今度は山村氏に話を振る。すると山村氏は山小屋に入ると寝ていてノックにも気付かなかったと主張した。更に、突如寒くなって目を開いたら小屋の入口に横たわっているのに気付いたと。
それについて再び森川氏が口を開く。いわく、暖炉の換気が悪くなって一酸化炭素が出てしまったから山村氏を運び出したことを話し、「せいぜい感謝しろよ」と愚痴ると、山村氏は森川氏に「はい!命の恩人です!先輩!」と元気よく答えた。
財団は、森川氏の発言に「SCP-2616-JPの異常性とは離れた内容がある」として、解放後の両名の動向を確認している。
本オブジェクトは「嘘のコンテスト」の空想虚構賞を獲得した作品である。……あなたは、このオブジェクトの中に隠された『嘘』に気づけただろうか?
財団はなぜ、森川氏の発言を訝しんだのか?それは、このSCP-2616-JPの特性上、何を燃やしたとしても完全燃焼するため、一酸化炭素など出るはずがないからである。そして、山村氏が山小屋の入口に現れたこと。燃やしたものが再出現する位置は――
ここまで言えばもはや語るまでもなかろうが、森川氏は山村氏を燃やしたのだ。そもそも真冬、大雪警報の山に初心者を連れて登ることが普通では考えられない。登山慣れした森川氏ならなおさらその危険性は認知していたはずである。おそらく、山村氏を何らかの理由で殺害せんとした森川氏が「遭難して自分だけひとり命からがら助かった」という筋書きを作るために山村氏を誘い出したのだろう。しかし、森川氏の計画は、本来なら存在しないはずの山小屋のために変更を余儀なくされる。そこで、森川氏は山村氏を暖炉で燃やすことを決めた。
しかしここでSCP-2616-JPの異常性により、山小屋の外に新品の山村氏が出現してしまう。これに恐怖を覚えた森川氏は以後恐慌状態に陥り、青ざめていたわけである。
しかし、殺そうとした相手に命の恩人だと全力で感謝された森川氏の心情はいかばかりだろうか。
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最終更新:2024/05/18(土) 09:00
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