Class800とは、イギリスの高速鉄道車両である。愛称は「はっちゃん(8ちゃん)」
変態紳士の国イギリスは日本の新幹線に触発され傑作鉄道車両HSTを開発、1975年より運用開始。古い車両を大切に末永く使いましょう計画で使い続けてきたが、車両の老朽化に加え環境対策・バリアフリー化への法規制に対応できなくなってきた。そのためHSTを代替する次世代高速車両の開発が急務となってきた。そこでClass395にて堅実な評価を受けた日立製作所に白羽の矢が当たりディーゼルでも架線でも走ることができるバイモード(デュアルモード)鉄道が開発された。それがClass800である。
イギリス国鉄の分割民営化後、規模の小さくなった民営鉄道会社に新型車両を独自に発注する体力がないためイギリス運輸省が日立よりまとめて大量購入しそれを各鉄道会社へ貸与するという形式が取られている。そのため車体色は購入時白色一色で構成され、それが貸与された鉄道会社ごとにラッピングでカスタマイズするという方式が取られる。
製造工場は日立製作所 笠岡工場、日立製作所 ニュートン・エイク工場、日立レールイタリア ピストイア工場(イタリアの独自高速鉄道の技術があるが経営に問題のあったアンサルドブレダ社を日立がM&A)の3箇所。ただしClass395が車両をすべて笠岡工場で完成品にした状態で納入された事に対し、Class800は車体を笠岡工場(ピストイア工場)でつくりイギリスへ輸送。ニュートン・エイク工場にて欧州製のエンジンや動力装置を積むという方式が取られている。ディーゼルエンジンはドイツの船舶向けディーゼルエンジンに定評のあるMTU社製(ただしロールスロイスの傘下)鉄道用ディーゼルエンジン「12V 1600シリーズ」21リッターV12ターボディーゼル・発電機・ラジェーターを一体にしたパワーパックをClass800のために新規開発した。
車両構造は日立製作所のA-Trainシリーズを採用している。AT300とも呼称される
基本構成は
・5両編成(2M3T:TMMMT:DPTS+MS+MS+MC+DPTF 315人)
・9両編成(5M4T:TMMTMTMMT:DPTS+MS+MS+TS+MS+TS+MC+MF+DPTF 627人)
の2種類。
それぞれディーゼル・電気バイモードのclass800、電化区間専用のclass801の4種編成を基本ラインナップとしている。日立によれば中間車を増やすことにより12両編成まで対応できるとしている。
5両編成は増結運用(5両+5両)が可能で、これは9両編成とほぼ同じ乗客数である。ただし両編成に車掌+添乗員が必要であるため、9両を運用したほうが効率が良い
なおイギリスの駅は短いため5両+9両、9両+9両の運用は想定されてない。ソフト的には6両+6両での運用はできるらしい。ただし6両編成での運用の予定はいまのところない
見ての通り先頭車は無動力で中間車を動力車としている。これは日本の700系以降の新幹線と同じく先頭の無動力車の車輪で濡れてるレール上の水を掻き出して中間動力車の粘着力を確保するという方式である。
ただしイギリスの鉄道の法規上、事故が起きた際に先頭車の浮き上がりを防ぐため「先頭車は重くなくてはならない」というものがあるため、パンタグラフ・変圧器・制御器を前後の先頭車にぶん投げ集約し重量を稼いでいる(約50トン/両)。ただそのおかげ動力車/無動力車/ディーゼルエンジンの有無と設計が複雑になりがちな中間車のシステムを単純化させることができるというメリットがある。
中間車はclass800もclass801もほぼ同構造でディーゼルエンジンユニットの有無の違いぐらしかない。ただしこのディーゼルエンジンユニット(発電機・ラジェーター付きパワーパック)の重量がバカにならなく。ディーゼルエンジン付きの動力車重量が約50トン/両。ディーゼルエンジン無しの動力車重量が約40トン/両である。無動力車は当然もっと軽い
2020年現在、Class800を運用するのは主にグレート・ウェスタン本線を経営するグレート・ウェスタン鉄道(GWR)、イースト・コースト本線(東海岸路線)を経営するロンドン・ノース・イースタン鉄道(LNER)であり。
Class800は最初GWRに2017年に導入されスッタモンダがあったが安定した運行が確認された後、日本で言う東海道新幹線・東海道線にあたるイギリスの大動脈LNERへ2018の予定がスッタモンダで2019年に導入された。LNERのClass800はAZUMA(アズマ)と名付けられ、イギリス「東」海岸路線・「東の国」日本の車両という意味が込められている
他に小さい鉄道会社では2019年からハルトレインズとトランスペナイン・エクスプレスで運用されている。今後HSTやインターシティー225の代替として運用会社は続々増えていく予定
っつーか旧式車両や問題児をだましだまし使ってきた各鉄道会社のあいつぐ注文に製造が間に合わなくなり、当初想定した日本とイギリスの工場での製造だけでは間に合わず、M&Aしたイタリアの高速鉄道会社である旧アンサルドブレダの工場まで動員して増産されている。
*1 イギリスの鉄道は上下左右分離方式で細切れに民営化し、線路保有会社・車両所有会社・運行会社が別々であるため運行会社は車両を借りて線路の通行料を払って運行している。線路の通行料は車両重量で課金されるため車両の重量は増やしたくないという事情がある。Class800はディーゼルエンジン+制御装置という走行装置ユニット動力分散方式で積んでいるためものすごく重い
2021年4月発売予定のKATO製Nゲージ
GWRのダークグリーンタイプと、NLER AZUMAの白地に赤ラインの2種
HORNBY Hitachi class800 (GWR 5cars)
日立評論 英国IEP(都市間高速鉄道計画)向け高速車両Class 800/801の開発
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最終更新:2025/01/09(木) 06:00
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