SCP-587-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
[編集済]沖の██島に不定期に出現する、身元不明で全裸の男性・もしくは女性の遺体。1年に1度不定期に島内で発見されるが、この出現の瞬間を目撃した事例はなく、記録にも成功していない。現時点で確認されたSCP-587-JPは2桁にも及んでいるが、すべての遺体において個人の特定はできていない。同時に複数体出現する事例もあり、その場合は近親者であるかのような特徴を示している。
不穏なことにSCP-587-JPは、病死でも事故死でも自殺でもなく、必ず明らかな他殺の痕跡を残している。代わりにその死因はバラエティに富んでおり、刺殺・撲殺・絞殺・轢殺・斬殺・そして溺殺と様々な殺され方を示している。これにもかかわらず、凶器の種類・素材・あるいは犯人特定などの証拠は一切示されていない。それどころか、素手による溺殺死体の頭部痕跡から採取された指紋は、殺された(であろう)SCP-587-JP本人の指紋と同一であった(遺体の両腕に抵抗の痕跡があったことから自殺の可能性は否定されている。)。
SCP-587-JPは、以下に示す外部事例-587に関する調査によって、19██年に異常性が発現したことが判明している。
このオブジェクトのオブジェクトクラスはSafeに指定されている。しかしかつてはEuclidだったようだ。これは、この外部事例-587が行われるまでの間、とある疑いがかかっていたからである。
SCP-587-JP指定区域の島民にインタビューを行った博士(島民には警察であると振る舞っている)は、島民のひとり、臼山氏に「これは事後調査であり、記録はするが公開はしない。なんでそこまでしたのか聞きたいだけであり、裁判等で活用するようなものではない」と伝え、事情を教えてくれるように促す。
臼山氏はポツポツ語りだした。とても暑い日のこと、崖の近くで顔が潰された若い女性の死体が発見された。島内に本土の人間が入ってきたという記録もなく、そのため島民の誰かであろうとなった。しかしこの島は小さく、島民は全員顔見知りという状況下。そんな中で、身内の殺人が起きたとなれば、島民たちは怯えるのは無理もなかった。
当時、亀山という家の娘が山菜採りに行った後帰ってこないということがあり、そのため「もしかしたら亀山さんとこの娘さんかもしれない」と皆が口々に言い出し、その婚約者だった若い男は、普段から仲が悪い別の男が犯人だなどと言い出した。そしてみんなその男が犯人かもしれないなと思っていた。しかし、結論から言えばその娘は貧血を起こして倒れていただけで、無事に救助された。――じゃあ、この死体は誰なんだ?島民たちはふたたび混乱した。
博士に「どうして隠蔽したのか」と問われ、臼山氏は、ゆっくり話す。島民たちはみな顔見知りで家族みたいなものであった。駐在さんも見て見ぬふりをしてくれた。何もない平和な島で、被害者の素性も知れぬ、そんな殺人事件。皆がこの事件を考えたくない。だから、考えないようにしよう。これはきっと夏に見た幻だと。遺体は船で遠くに運んで海に捨て、すべてを忘れようとした。しかし、次の年の春先に、今度は老爺の死体が発見される。これにより、前年の若い娘の死体も幻ではない現実だと認識した島民たちは狼狽しだす。死体も、殺人も、隠蔽も隠蔽への加担も全て現実だと。
先の若い娘の死体を隠蔽した以上、この事件も隠蔽されるべきであると島民たちは考えた。実際、関連があるかどうかなどわからないが、この事件が明るみになれば全島民が逮捕される。だからこの悪夢が終わることを信じ、同じことをした。しかし次の年の冬、今度は少女の死体が発見されてしまったのだ。これを発端として、田山という家の息子(臼山氏はじめ島民たちはタカ坊と呼ぶ)が「誰だかわからないが、人が次々と死んでいる、そんなのを放っておけない」という理由で、寄り合いで「事件を本土に知らせるがいいか」と相談してきた。タカ坊の決意は固かった。しかし島民はそんなことをされたらみんな逮捕される、そう思った。そこで、タカ坊と、タカ坊の唯一の肉親である父親の家に火を放って彼らを殺害した(母親がタカ坊を産んですぐ亡くなっているため、唯一の忘れ形見であるタカ坊を殺害すれば父親が黙っていないだろうという理由で父親もともに殺害した)。
しかし、ここにおいて明確にタカ坊とその父親を焼き殺したとなれば、駐在さんも流石に看過できず、島民に黙って本土に連絡を取ろうとした。今度は駐在さんも咄嗟に殺害されてしまった。そして互いに疑心暗鬼に陥った島民たちは、過去の取るに足らない些細なことをとりあげて、「あいつは密告者だ、裏切り者だ」と言い合った。そして最終的に、駐在さんからの連絡が途絶したことで本土から代わりの人間が送られてくるまでのわずかの間に、最終的に17人の島民が亡くなったのであった。
博士はこのインタビューを終えて、SCP-587-JPにはなんらかのミーム的効果を持つのではないか、と考えた。これが当初Euclidだった理由である。博士は、この島で、当時の島民とできるだけ同じ生活をDクラスに行わせ、SCP-587-JPが目に入る状況を作り、同じことが起きるかを実験してみた。しかし博士はその結果として、SCP-587-JPには何らミーム的効果は存在しないと結論付けざるを得なかった。Dクラスたちは平穏に生活を送っており、文化面・精神面に影響するものはないと判断されたのだ。本実験を以ってSCP-587-JPはEuclidからSafeに格下げとなったのだ。
これ程嬉しくないオブジェクトクラス格下げは、恐らく他に類を見ないだろう。 ──██博士
SCP-587-JP - SCP財団
,2022/06/17閲覧
――そう、島民たちの疑心暗鬼、それに伴う殺し合いを誘発したのは断じて、
SCP-587-JP
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最終更新:2025/12/06(土) 10:00
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