Why字路とは、アニメ『DYNAMIC CHORD』4話に登場した特徴的なY字路である。
「平成のチャー研」と言われるほど作画ミス等が多いアニメ『DYNAMIC CHORD』4話で、車で合宿に行く最中に登場した田舎道のY字路。
Yの字の道路の分岐に合わせてセンターラインも交差点の真ん中から2方向に分岐する、珍しい路面標示になっている。多くの視聴者が「なぜ(=why)このような描き方をしたのか?」と疑問に感じるものであったため、ニコニコで「Why字路」というコメントがついた。
これがネタにされる原因は、現実になかなか存在しないことに加え、「道路交通上、自動車にとって大変危険な構造をしている」ということも挙げられる。
まず、比較のため通常のY字路を例に示す。下手な絵でごめんなさい…。
上が2車線道路のY字路の例だが、Why字路には上記のような右折・左折を示す路面標示がない。
さらに、上記のような一時停止を示す標示までもWhy字路には一切ない。
一時停止の標示がない交差点の場合、基本的にはセンターラインがある道路が優先となり、そうでない側の車は停止しなければならない。上記の場合は右奥の道路が停止する側となる。
しかし、Why字路では全部の方向に中心からセンターラインが伸びてしまっており、どの道路が停止すべき側なのかドライバーが判断できない。右奥・左奥から来た場合、分岐があることにすら気づかない可能性もある。そのため、このままだと3方向から自動車が停止・減速せずに入ってきて事故になる可能性が高い。
なお、DVD・BD版ではこのY字路は修正されている。右奥に伸びる道路のセンターラインが消され、現実でもあり得る形のY字路になった。
Why字路のような道路は数か所存在が確認されている。
Why字路の特徴を以下に挙げる。
これに沿って、Twitter検索結果を参考にしながら、現実のWhy字路のような道路を見ていく。
実在するWhy字路としてよく言及されているのが台湾の高雄市、潮寮国小学校付近にあるY字路である(→ストリートビュー
)。オレンジ色のセンターラインから、左右に点線が分岐している。この点線はおそらく自動車の進行方向を誘導するためのものと思われる。
左側の道路には一時停止の標示、右側の道路には「車輛慢行(車両はゆっくり走って)」「慢」という標識があるため、事故を防ぐ仕組みは作られている。Why字路ほどには事故になりづらい交差点と思われる。
ただし、DYNAMIC CHORDの放送時である2016年にはこの点線は存在しなかったようだ(→ストリートビュー
)。
ほかにもいくつか「Why字路」とされる交差点がSNSで挙げられているが、下記を除いてほとんどが上記のような別の種類の線が分岐していたり、そもそも交差点の中央から線が分岐していないY字路となっている。
茨城県つくば市の産業総合技術研究所内の道路には、白い点線のセンターラインが分岐するY字路が存在する(→空中写真
)。左方向に一時停止がある。ただし私道であり、DYNAMIC CHORDのような誰でも通行可能な道路ではない。
神奈川県大井町の「めがね道」のY字路に2015年ごろまで、オレンジ色のセンターラインの分岐が存在した(→ストリートビュー
)。ただし、左側から来る道のほうに一時停止らしきものが存在している。2022年時点では直進方向にのみセンターラインが伸びており、分岐はなくなっている。
他にも、東京都板橋区板橋4丁目、板谷公園西には白い点線のセンターラインが公道で分岐する場所が存在する(→ストリートビュー
)。この場合は直進方向に一時停止がある。
横浜市にある首都高速の狩場JCTに同種のセンターラインが合流する場所が存在する(→ストリートビュー
)。ただし合流する側へ一方通行なので、DYNAMIC CHORDのように分岐する側を正面に見て進むことはできない。
熊本市東区に存在する、健軍交番南のY字路。十字路との複合形(“大”字路)である(→ストリートビュー
)。交差点の中央には十字線が存在し、十字路の交差点であることは瞬時に判断ができる。
ただし合流する2本の道路側から来る場合、特に合流やそれに伴う停止・徐行を示す看板はないため、注意を要する。実際「どっちが優先かわからない
」「接触しそうになった場面を見たことがある
」「反対車線を逆走している車を見たことがある
」という声もある。「危険性」という点ではWhy字路に迫っているかもしれない。
青森県と岩手県の境にある滝ノ沢峠にある、国道102号と国道454号の分岐(→ストリートビュー
)。2車線の道路が分岐しており、一時停止は存在しない。
ただし、分岐部に1車線分はセンターラインが描かれていない部分が存在するため、DYNAMIC CHORDのWhy字路のように中央から分岐するとは言えない外観になっている。また一時停止はないものの、直前に交差点の存在を示す案内標識(青看板)があるため、その看板を見落とさなければ分岐の存在はドライバーにも予想できる。
かなりWhy字路に近い条件を持つものが、北海道えりも町の東洋漁港に2014年時点で存在する(→ストリートビュー
)。おそらく交通量が少ないためか、一時停止も設定されていない。2023年時点では10年近く経っているためか、さすがにかすれて色落ちしてしまっているようだ。ただ、センターラインが奥まで伸びていないのが惜しいところである。逆になぜセンターラインを分岐させて途中まで伸ばしたのかが謎。
また、徳島県徳島市上八万町のセンチュリーヒルズ団地にも、非常にWhy字路に近いY字路が存在していた(→ストリートビュー
)。「Century Hills」と書かれた看板の前で分岐している。分岐右側のセンターラインがすぐに消えてしまうが、左側は比較的長く延びている。しかし2025年時点では既に修正
されており、左から来る車線の箇所のセンターラインは消されてしまい、Why字路度が下がってしまった。ただ逆に言えば、道路工事の人も何か違和感を覚えて修正するほどの分岐だったということかもしれない。
ほかにも、工事中の状況で一時的にWhy字路のようなセンターラインが出現することがあるようだ(参考
)。
もしWhy字路が日本の公道に実在した場合、当記事の掲示板で情報提供をお願いします。
ただし、仮にWhy字路が実在したとしても、「なんでわざわざ珍しい標示のセンターラインがあるY字路を描いたのか?」となってしまうため、結局DYNAMIC CHORDのあの道路が「Why字路」と呼ばれることには変わりないと思われる。
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最終更新:2025/12/05(金) 20:00
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