ボブ・ロスことロバート・ノーマン・ロス(Robert Norman "Bob" Ross, 1942-1995)は、「ボブの絵画教室」(原題: Joy of Painting)で有名なアメリカの画家である。もじゃもじゃアフロとおヒゲが素敵。
1942年フロリダ州オーランドー生まれ。17歳からアメリカ空軍に20年在籍し、軍務のかたわら職業画家としてのキャリアを積む中で独自の「ボブ・ロス画法」(後述)を開発する。ボブの絵に針葉樹林や雪山など、アラスカの風景をモチーフにしたものが多いのは、軍役期間の多くを過ごしたのがアラスカ州イールソン空軍基地であったためだという(ちなみに南国生まれの彼が人生初の雪を見たのもこの地である)。
米PBSテレビで番組を持っていたドイツ出身の画家ビル・アレグザンダー(William "Bill" Alexander, 1915-1997)に師事する中、いよいよアーティスト専業で身を立てる目処が立ったため、満を持して退役する。
1983年からPBSテレビで「ボブの絵画教室」に出演。その鮮やかかつ実践的な手際は勿論のこと、その風貌と温和な語り口から多くのファンを獲得し、1994年までの11年間続く長寿番組となった。その後世界各国で放映・DVD化され、現在にいたるまで各局で何度も再放送され続けている。
日本でもNHK-BSで1990年代前半に放送された。この日本語版は声をあてた石井隆夫の軽妙な演技も魅力の一つとなっている(余談だが、実際のボブ・ロスの声はもっと低い渋い声である)。1993年には来日もしたが、その2年後の1995年、リンパ腫により52歳の若さで帰らぬ人となった。
ボブ・ロス逝去後の2004年、朝日放送の「探偵!ナイトスクープ」で「ボブの絵画教室」が採り上げられ、日本では忘れられかけていたボブ・ロスの名を再び有名にした。これにより、日本でもDVD-BOXが発売されることになった。
「ボブ・ロス画法」(Bob Ross method)とは、その名の通りボブ・ロスが開発した、30分以内に1枚の油彩画を完成させることのできる描き方である。
元々は空軍時代、多忙な軍務の合間に高いモチベーションを維持しつつ、買い手の付くきちんとした作品を仕上げ続けるために編み出したものであった。それがハウツー本&ビデオや公認インストラクターによる絵画クラスおよび画材等関連商品など、画法関連の個人事業は年商1,500万ドル(1990年代前半当時のレートで約20億円)規模のビジネスとなった。晩年のインタヴューによれば、彼の収入は全てこのビジネスの収益により賄われ、一方で絵画(生涯で2.5~3万点ほど描いたといわれる)の売り上げは全額PBSテレビに寄付していたという。ちなみに彼の子供たちのひとりスティーヴンも公認インストラクターで、たびたび番組に出演した。
通常、油彩画を描くときは一度絵具を塗ったらそれが乾くまで待ってから塗り重ねるため、完成まで長い時間がかかる。これに対しボブ・ロス画法はあえて乾燥を待たない「ウェット=オン=ウェット(Wet-on-wet)」といわれる手法をメイン技法として取り入れ(※ウェット=オン=ウェット自体は15世紀ごろより油彩画で発達したが、描画の全過程に応用するやり方はビル・アレグザンダー直伝である)、さらに各プロセスを判りやすく単純化・段階化し、なおかつ思いがけない偶然を大事にすることで、短時間で確実に、そして何より楽しく絵を描き続けられるよう工夫がなされている。そんな彼の想いが番組の原題である「画を描くことの喜び」に現われているといえる。
2007年、「ボブの絵画教室」がニコニコ動画に投稿され、その語り口と魔法でも見ているかのような絵の仕上がりようから人気を博し、「ね、簡単でしょう?」の台詞とともに、前述のNHK-BSでの放映や「探偵!ナイトスクープ」を見ていない世代にも広まった。「ボブの絵画教室」の記事も参照。
アニメ『俗・さよなら絶望先生』の第七話Bパート「赤頭巾ちゃん、寝る。気をつけて」において、「ね?簡単でしょう?」といいながら泉こなたらしき絵を描くボブ・ロスっぽいおじさんのカットが挿入されたことも。
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最終更新:2024/12/01(日) 18:00
最終更新:2024/12/01(日) 17:00
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