キックボクシング(Kickboxing)とは、タイ王国の国技「ムエタイ」を基にしてつくられた日本発祥の格闘技である。
ボクシングのリングの上で、パンチやキックを用いて闘う格闘競技と考えてよい。世界中に様々なスタイルの競技があるので、ここでは代表的なスタイルを紹介している。
キックボクシングの歴史は第2次世界大戦直後まで遡ることが出来るが、ここでは1966年4月11日に開催された初のキックボクシング興行を起点する。初期は、沢村忠が一世を風靡し、日本でキックボクシングブームが沸き起こった。しかし、沢村の引退後、キックボクシングの人気は下火になり、アマチュア競技としての普及を怠ったことや団体の分裂が拍車をかけ、キックボクシングは完全に世間から忘れ去られていった。
その後、1993年にK-1が発足され、徐々に認知され始め、一般に知られるようになった。
日本でキックボクシングといえば、通常、「肘・膝・首相撲・ローキック有り、でもムエタイとは違う採点方式を採用している日本独自の格闘技」という認識が なされている。しかし一方では、キックボクシングという言葉は「リングの上でパンチとキックが使える格闘技」という意味で使用され、かなり広い概念を持っている。
熱心な日本のキックボクシングファンは、「キックボクシングはK-1やムエタイとは別物」と言う。しかし、後者の定義に沿えば、「K-1はキックボクサーの世界一決定戦」、ムエタイは「タイ式のキックボクシング」と表現しても差し支えなくなる(タイ人は嫌がるだろうが)。
「リングの上でパンチとキックが使える格闘技」という定義に沿えば、キックボクシングには様々なスタイルがある。
・日本式キックボクシング
ムエタイの技術を学んだ日本人が創始した格闘技。初期は、ムエタイとの差別化を図る為、投げ技や頭突きも認められていた。キックボクシングにはボクシングのようなメジャーなタイトルが存在しない為、軽量級・中量級において世界最高峰の実力を持つタイ人のムエタイ選手(特にラジャダムナンスタジアムとルンピニースタジアムの王者)に勝つことが目標とされるようになった。その為、今の日本の軽量級キックボクサーやキック関係者には、打倒ムエタイを目指すものも多い(というか、他に頂点が無い)。現在のルールは、ほぼムエタイと同じで、肘打ち・膝蹴り・首相撲を認めている。違いは、ラウンド間のインターバルがボクシングと同じ1分で、採点基準がムエタイとは違う。
・K-1
パンチ、キック、膝蹴り有り。バック・ハンド・ブロー(裏拳)も有り。ただし、肘打ちは禁止。首相撲や、相手を掴んでからの膝蹴りはかなり制限される(試合がつまらなくなるから)。K-1が開催される国によっては、顔面への膝蹴りも禁止される場合もある。
詳しくは→K-1で
・フルコンタクト(日本の極真空手のような直接打撃制とは違うスタイル)
アメリカで伝統派空手とテコンドーを基に作られたスタイル。最大の特徴は、「ローキック(下段蹴り)がない」ことが挙げられる。他には、膝蹴りもない。ローキックが無い故に足を蹴られる事に対するに対する耐性が無く、他競技との試合では脚を蹴られまくってKO負けを喫する選手が続出した。昔に比べれば人気はかなり下火だが、一応存続しており、一定の競技人口がいる。こうしたフルコンタクトの選手は総じてフットワークが軽く、ボクシング技術が高い。また、サイドキックやハイキック、後ろ回し蹴りなど派手な技を得意とする選手が多い。これらの技術が発達した理由には、ローキックは使えないが故に、他のスタイルとは違い、「パンチの強い選手は、ローキックで足を潰して動きを止める」というセオリーが使えない為と思われる。日本では。「ローキックの使えない格闘技なんて格闘技ではない」と考える人が多いことや、妥当ムエタイを目指す選手が多いことから、全く普及していない。
・ムエタイ
いわずと知れた数百年の歴史を持つタイ王国の国技。通常のパンチやキックに加え、肘打ち・膝蹴り・首相撲が認められ、洗練された技術がある。しかし、相手を足を引っ掛けて投げる行為(上半身で組み合って、相手のバランスを崩すのはOK)や、頭突きは認められていない。ラウンド間のインターバルは2分、国際ルールで1分30秒。これは、ムエタイの試合が賭けが行われ、ラウンド間に調整が行われるからである。近年は試合内容(芸術性)よりもギャンブルの要素が勝ってしまっている為、我々非タイ人には分かりにくい、つまらない試合内容になってしまっている。特に、延々首相撲で膝蹴りを見舞う状態が続くと欠伸が出そうになる。ただ、十数年前までは派手な技がバンバン繰り出され、KOが続出する面白い試合がたくさんあったらしい。
キックボクサーだったシーザー武士が創始した格闘技。通常のパンチやキックに加えて、投げ技や立った状態での関節技が使える。UWFというプロレス団体とも繋がりがあったため、ロングスパッツにレガースを着用するという独特のコスチュームが採用されている。K-1で活躍するアンディ・サワーは、当初、キックボクサーとして来日したが、後にシュートボクシングに転向した。打撃と投技というコンセプトは他の国にもあるようで、ルールの似ている中国の散打(散手)やロシアのドラッカと対抗戦を行ったこともある。
・散手(散打)
中国式キックボクシング。散手と書いて「サンショウ」と読む。散打の場合は「サンダ」で読み方が同じ。打撃系の競技でありながら、投げ技を許可しており、シュートボクシングと似ている。対抗戦を行ったこともある。アマチュアの場合は、ボディプロテクターを着用する。
・ラウェイ
ミャンマー(旧ビルマ)キックボクシング。グローブ無し、バンテージのみ。肘打ち、頭突き、投げ技、金的OK。日本でも何度か興行を行っている。
キックボクシングが抱える最大の問題点は団体の乱立である。日本では、1960年代から80年代前半にかけてキックボクシングが発達。しかし、初期の頃から野口プロモーション、ワールドキックボクシング、全日本キック、協同プロモーション、岡村プロモーションと分裂していた。こうしたプロの興行ありきの経営を続けたことや、それに伴う競技として根付かせることに無関心ださにより、ブームが過ぎ去った後に殆ど何も残らなかった。加えて、アマチュア部門に関心を示さなかったことがたたり、アマチュアスポーツとしての国際化の主導権までもが外国に握られてしまった。その後、1993年にK-1が登場するまでキックボクシングまで、分裂・独立を繰り返し、日本におけるキックボクシングはどん底をさまようことになった。
現在、存在する日本の国内団体は判明しているだけでも13もあり、その中には日本タイトルは9つある。これは、ランキングや王座を統一しているところや、王座を設けていないところもあるので多少王座の数は減っているとはいえ、ボクシングのように日本王座が一つしかない現状を考えれば、いかに異常な状況かお分かりいただけるだろうか。
世界王座についても、ボクシングのような主要団体やリング誌のような権威のある雑誌が存在しない。日本人が創始したWKBA、アメリカで設立されたWKAやISKA、国際スポーツ連盟(GAISF)公認となったイタリアに本部を構えるWAKO、タイ王国政府公認のWMCなどがあるが、いずれも知名度や影響力という点では、主要団体足りえない。日本では、タイの強豪ムエタイ戦士を倒すことや、ラジャダムナンスタジアムやルンピニースタジアムの王座を奪取することが世界王座代わりになると考える人間も多い。しかし、それではミドル級以上の選手はどうすればよいのかという問題点が残る。ラジャもルンピニーもスーパーウェルター級までしか王座を制定していない。結局、K-1で活躍するという道しか残されないのである。K-1という目標があるだけ、以前よりマシといえるかもしれない。
キックボクシングは、芸能界などと同様、暴力団との繋がりが指摘されている。近年では、2009年6月23日に、当時全日本キックボクシング連盟の代表だった金田敏男(59)と、指定暴力団住吉会系組幹部の井上潔(50)ら7人が、電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの容疑で逮捕されている。金田らは、2004年11月に、韓国人ホステス(33)と虚偽の婚姻届を東京都港区役所に提出したという。
それぞれのスタイルごとに、違った良さや特徴があることが伺える。あなたはどんなスタイルがお好みだろうか?
日本式キックボクシング
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最終更新:2024/05/05(日) 00:00
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