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ミスタープロスペクター

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ミスタープロスペクター(Mr. Prospector)とは、1970年生まれの競走馬、後に種牡馬。

ノーザンダンサー以来最も成功した種牡馬であり、おそらくこれからのサラブレッド血統の中でもっとも重要な父系となるであろうミスタープロスペクター系の元祖である。

概要

Raise a Native、母Gold Digger、母父Nashuaという血統。レイズアネイティヴはネイティヴダンサーの仔で最も成功した種牡馬。ゴールドディガーはステークス競走5勝にケンタッキーオークス2着の実力馬で、ナシュアはナスルーラ産駒の米二冠馬。血統背景はノーザンダンサーに似ている。母の名は「金採掘者」の意で、そこから「探鉱者」と名づけられた。

生まれる前年に無敗の二冠馬マジェスティックプリンスが出ていた父レイズアネイティヴと上記の実績を残した母の間に生まれたということでセリでは22万ドルという値段がつき、ウォーレン・クロールJr.調教師の管理馬となった。
ただ社台ファーム総帥だった吉田善哉氏が「ネズミみたいな馬だ」と言ったのも頷けてしまうほど馬体の見栄えは良くなく、写真で見る限りではなんだか色が斑な鹿毛で、首は短く胴も詰まり、サラブレッドらしい伸びやかさには乏しいと言わざるを得ないものだった。

競走成績

骨膜炎のためデビューは3歳2月になったが、ここでダート6ハロンにも関わらず12馬身差で圧勝するとそのまま3戦目の一般競走(6ハロン)を1:07.8のコースレコードで勝利するまで3連勝。前年に2歳にして年度代表馬に選ばれたセクレタリアトへの対抗株と思われたが続く8.5ハロンの一般競走で3着に敗れ、捲土重来を期したダービートライアルS(1マイル)では2着に敗退。レース後に右前脚の球節に剥離骨折が見つかってそのまま休養入りした上、セクレタリアトは休養中に引退してしまった。

4歳時は復帰戦となる6ハロンの一般競走を勝利したのを皮切りに一般競走・ハンデ戦で合計4勝したが、重賞ではカーターH(当時GII)でフォアゴーから2馬身1/4差の2着に敗れるなど3戦して2着2回・3着1回と勝ちきれず、ファイアークラッカーH(GIII)で2着に終わった後の調教中に種子骨を骨折して引退に追い込まれた。通算14戦7勝。

正直なところ、セリでの落札額や後の種牡馬としての活躍から見ると、重賞勝ちすら無い上に強豪馬との対戦もフォアゴーと一度当たったくらいの本馬は競走馬としては非常に地味であり、事実獲得賞金は11万2171ドルと落札額の半分ちょっとで終わった。6ハロン(≒1200m)戦で2度のレコードを記録しているが、7ハロン(≒1400m)でも距離が長いという感じの超短距離馬であった。同期生であったセクレタリアトの爪の先にも及ばない戦績と言わざるを得ない。

種牡馬として、父系祖先として

ところが、この馬が種牡馬入りすると化けるのだから、馬というのは本当に分からない。

馬主が所有していたフロリダ州の牧場で種牡馬入りすると、片鱗しか見せられなかった彼のスピードに惚れ込んだフロリダの馬産家が、フロリダが生んだ伝説的名馬ニードルズの半妹やケンタッキーオークス馬ネイティヴストリートなどの良血馬をこぞって連れて来た。
その甲斐もあって27頭の中から4頭のステークスウィナーが登場。特にイッツインジエアはエクリプス賞最優秀2歳牝馬を獲得する活躍を見せ、これによってミスタープロスペクターもフレッシュサイアーランキングで1位を獲得。これでミスタープロスペクターは一躍注目を浴び、2年目産駒もフロリダ州産が多数ながら北米2歳リーディングサイアーに輝くと、1980年には種付け料が当初の約5倍となる4万5000ドルに上がり、3年目産駒ミスワキがサラマンドル賞を勝ち2年目産駒に続いて欧州でも成果を挙げ評価を高めた。
1981年にはケンタッキー州の名門クレイボーンファームが買収し移籍。すると出るわ出るわ、大物産駒が次々と登場。1987・88年にはリーディングサイアーを獲得するのである。

大まかなところを上げるだけでもケンタッキーダービーを勝ったフサイチペガサス、ブリーダーズカップ・スプリントを勝ったガルチ、ムーラン・ド・ロンシャン賞を勝ったキングマンボ、メトロポリタンHとベルモントステークスを連闘で勝ったコンキスタドールシエロ、プリークネスステークスを勝ったタンクスプロスペクトなどがいる。シーキングザゴールド、マキャヴェリアン、ミスワキ、*マイニング、ゴーンウエスト、ウッドマンなんかはどこかで聞いたことがあるだろう。三冠競走でも子孫が幅を利かせまくっており、1982年から2023年までの42年間に42頭で49勝(うち三冠1回)もしている。

更に恐ろしいのが、産駒が次々と種牡馬として成功しているところである。キングマンボは日本で*エルコンドルパサーとキングカメハメハの父となっているし、シーキングザゴールドはドバイミレニアムを出し、マキャヴェリアンはストリートクライを出し、ガルチは*サンダーガルチを出し、ウッドマンは*ハンセルや*ヒシアケボノを出し、更に孫には……。

も~、書くのも難儀である。後継種牡馬は300頭を超えるのでそれもむべなるかな。英語版Wikipediaには米三冠競走を勝った馬だけを抽出した系統表があるくらいである。

アメリカはもとより日本でもキングカメハメハが2年連続でリーディングサイアーになるなど勢いを増している。とにかく種牡馬としては軽いスピードをよく伝えており、アメリカのダートと日本の短距離には抜群の適性を見せ、日本やヨーロッパの底力系の牝系に上手い事スピードを上乗せさせる和合性の高さもある。

ノーザンダンサー系との相性も良いので、ノーザンダンサーの血が行き渡ってしまった欧州ではまだ伸びしろがあるのではなかろうかと思うし、日本でもキングカメハメハ後継のルーラーシップ、ロードカナロア、ドゥラメンテらが良好な産駒成績を残しており、父系の発展が期待されている。

ミスタープロスペクターは1999年死亡。その年にも29歳だというのに種付けをこなしていたのだそうである。馬の29歳っていったら人間換算で95歳ぐらいに相当する高齢(諸説あり)なのだが……。なんというエロ爺っぷり。なんつうか、やっぱりそれくらい生命力がなければ大種牡馬にはなれないのだろうなぁ。

血統表

Raise a Native
1961 栗毛
Native Dancer
1950 芦毛
Polynesian Unbreakable
Black Polly
Geisha Discovery
Miyako
Raise You
1946 栗毛
Case Ace Teddy
Sweetheart
Lady Glory American Flag
Beloved
Gold Digger
1962 鹿毛
FNo.13-c
Nashua
1952 鹿毛
Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Segula Johnstown
Sekhmet
Sequence
1946 黒鹿毛
Count Fleet Reigh Count
Quickly
Miss Dogwood Bull Dog
Myrtlewood
競走馬の4代血統表

クロスTeddy 4×5(9.38%)

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関連項目

  • 競馬 / 海外競馬
  • 競走馬の一覧
  • ネイティヴダンサー
  • キングマンボ 1990 - キングカメハメハ 2001 - ロードカナロア 2008 (日本で主流のミスプロ系)

Mr. Prospector 1970
Fappiano 1977 →ファピアノの記事参照
|Stutz Blackhawk 1977
||*ケイエスミラクル 1988
Miswaki 1978
||*ブラックタイアフェアー 1986
|||Formal Gold 1993
||Urban Sea 1989
||マーベラスクラウン 1990
||Tertullian 1995
|||Guiliani 2011
||||Tunnes 2019
Conquistador Cielo 1979
||El Moxie 1986
|||Silent Witness 1999
||Marquetry 1987
|||*スクワートルスクワート 1998
||||ヨカヨカ 2018
||*ミシエロ 1990
|||エイシンチャンプ 2000
|Crafty Prospector 1979
||*アグネスデジタル 1997
|||ヤマニンキングリー 2005
|Naevus 1980
||*キンググローリアス 1986
|||ナムラコクオー 1991
|||ボールドエンペラー 1995
|*ダミスター 1982
||Celtic Swing 1992
|||Takeover Target 1999
||トロットスター 1996
Woodman 1983
||*ヘクタープロテクター 1988
|||Shiva 1995
||*ティンバーカントリー 1992
|||アドマイヤドン 1999
||||アドマイヤデウス 2011
|||チャームアスリープ 2003
||*ヒシアケボノ 1992
|*アフリート 1984
||プリモディーネ 1996
||スターリングローズ 1997
||バンブーエール 2003
|||キャッスルトップ 2018
|Gone West 1984
||Da Hoss 1992
||Elusive Quality 1993
|||Raven's Pass 2005
||||タワーオブロンドン 2015
||Zamindar 1994
|||Zarkava 2005
||Speightstown 1998
|||*モズスーパーフレア 2015
|||*フルフラット 2017
|||Shirl's Speight 2017
||*ケイムホーム 1999
|||インティ 2014
|Gulch 1984
||*イーグルカフェ 1997
|*ジェイドハンター 1984
||*アゼリ 1998
|*フォーティナイナー 1985 →フォーティナイナーの記事参照
Seeking the Gold 1985
||*シーキングザパール 1994
||*マイネルラヴ 1995
||Dubai Millennium 1996
|||Dubawi 2002
||||*マクフィ 2007
|||||Make Believe 2012
||||||Mishriff 2017
|||||テイエムケントオー 2019
||||Lord North 2016
||||Coroebus 2019
||||Modern Games 2019
||*ゴールドティアラ 1996
|*ジェイドロバリー 1987
||ヤマカツスズラン 1997
|Machiavellian 1987
||Street Cry 1998
|||Street Boss 2004
||||Anamoe 2018
|||*ストリートセンス 2004
||||ファッショニスタ 2014
|||Zenyatta 2004
|||*ニューイヤーズデイ 2011
||||Maximum Security 2016
|||Winx 2011
|||Pride of Dubai 2012
||||Dubai Honour 2018
||ハルーワスウィート 2001
|*スキャン 1988
||メイショウカイドウ 1999
Kingmambo 1990 →キングマンボの記事参照
|Our Emblem 1991
||*ウォーエンブレム 1999
|||ブラックエンブレム 2005
Smart Strike 1992
||Curlin 2004
|||*パレスマリス 2010
||||ジャンタルマンタル 2021
|||Keen Ice 2012
||||Rich Strike 2019
|||Cody's Wish 2018
Fusaichi Pegasus 1997

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