フォーマルゴールド(Formal Gold)とは、1993年生まれのアメリカの競走馬である。
GI10勝を挙げた同期の名馬・Skip Awayが古馬になってから複数回対戦した馬のうち、唯一同馬に勝ち越した実力馬。
父Black Tie Affair、母Ingoldsby、母父Screen Kingという血統。
父*ブラックタイアフェアーは1991年にブリーダーズカップ・クラシックなどGI2勝を含む重賞7勝を挙げエクリプス賞年度代表馬・最優秀古馬牡馬に選ばれた実力馬で、本馬の世代が初年度産駒。
母インゴールズビーは2戦1勝。近親にGI馬こそいないが、産駒10頭中7頭が勝ち上がっている堅実な繁殖牝馬。
母父スクリーンキングは重賞2勝を含む13戦5勝。
本馬は1歳9月のキーンランドセールで6万5000ドルで取引され、翌年7月のファシグティプトンセールで更に7万2000ドルで購買された。製鋼業者のジョン・マーフィーに落札され、ウィリアム・ペリー調教師の管理馬となった。
デビューは遅れて3歳6月となったが、ここでダート6ハロンで18馬身3/4ぶっちぎるという物凄い競馬を見せて楽勝し、ベイヤー指数(アメリカにおける標準的なスピード指数)では112というデビュー戦としては規格外の値を叩き出した。
参考までに書いておくとベイヤー指数は100で重賞級、120を超えれば十分トップホースの器である。実際本馬が出した数字は新馬のそれとしては2011年にMaclean's Music(故障のため1戦1勝で種牡馬入り)が114を出すまで破られることはなかった。
こんなレベルの馬が一般競走に出てきては圧勝続きも当然で、続く3戦は6馬身3/4・3馬身1/4・7馬身半差で3連勝した。いずれも単勝1倍台前半の支持を受けており、特に3戦目は単勝1.05倍という一本被りであった。
デビュー4連勝の後、余勢を駆ってペンシルベニアダービー(GIII・9ハロン)に出走し単勝2.1倍の1番人気に支持されたが出遅れが響き、一旦は交わしたDevil's Honorに差し返され3/4馬身差の2着。続くメドウランズカップH(GI・9ハロン)でも出遅れて重賞2勝・前々年BCクラシック3着などの実績馬Dramatic Goldの3/4馬身差2着に終わった。
シーズン最終戦として出走したブリーダーズカップ・クラシックでは9番人気タイであった。ここでも出遅れたが、最後は追い込んでAlphabet Soupの5着に入った。
4歳時は初戦としてドンH(GI・9ハロン)に出走した。ここでは前年に頭角を現しGI連勝中のSkip Awayが123ポンド(約55.8kg)のトップハンデながら単勝1.7倍の1番人気に推され、113ポンド(約51.3kg)の本馬が離れた2番人気となったが、蓋を開けるとジョー・ブラボ騎手が「調教同然」と言ったほど楽な逃げ切り勝ちを収めた。しかし、続くサンタアニタH(GI・10ハロン)とドバイワールドカップではいずれもハイペースで逃げたSiphonに脚を削がれ、それぞれSiphonの6着・Singspielの5着と敗退した。
休養を経て、5月末のマサチューセッツH(GIII・9ハロン)でSkip Awayと再戦した。しかし、先行した同馬を最後まで捕まえることが出来ず、アタマ差で競り負けて2着に終わった。続くブルックリンH(GII・9ハロン)は雨の中を1:46.21という好タイムで駆け抜け勝利したが、サバーバンH(GII・10ハロン)ではSkip Awayと同期のトラヴァーズS勝ち馬Will's Wayに後れを取り3着に終わった。
続くホイットニーH(GI・9ハロン)でもSkip AwayとWill's Wayとの再戦となった。ここでは三つ巴の様相を呈する中、本馬が逃げの手を打ったが、ただ1頭直線で追い詰めてきたWill's Wayにゴール前でハナ差競り負け2着に終わった。
3週間後のフィリップ・H.アイズリンH(GII・8.5ハロン)は本馬とSkip Awayを含めて4頭立てという少頭数となった。ここではスタートこそ少し悪かったがすぐに立て直して逃げ、そのまま2着Skip Awayに5馬身1/4差をつけコースレコードを0.8秒上回る1:46.20の時計で圧勝した。
翌月、5頭立てとなったウッドワードS(GI・9ハロン)ではまたもSkip AwayとWill's Wayとの対戦となったが、逃げ争いから4角で抜け出すとそのまま5馬身半差で楽勝した。2着はSkip Awayが辛うじてWill's Wayにクビ差先着し、4着Pacific Fleetは両馬の40馬身後方、同期のベルモントS勝ち馬だがこのところ不調に喘いでいたEditor's NoteがPacific Fleetから更に13馬身差のシンガリとなった(Will's WayとEditor's Noteはこのレースを最後に引退した)。
次走は勿論ブリーダーズカップとなる予定であったが、調教中に右後脚を故障し、競走能力喪失となり引退に追い込まれた。通算16戦8勝・GI2勝。
エクリプス賞最優秀古馬牡馬の選考では本馬を含めて候補馬同士で勝ったり負けたりしていたため意見が割れたが、最終的にブリーダーズカップ・クラシック制覇が決め手となりSkip Awayが受賞した。
共に4歳からその才能を爆発させたSkip Awayとは6回対戦し本馬の4勝2敗であったが、Skip Awayが古馬になってから複数回対戦した馬のうち、Skip Awayに勝ち越しているのは本馬だけである。また、ベイヤー指数はマサチューセッツHが122、ホイットニーHが126、フィリップ・H.アイズリンHが124、ウッドワードSが125と高いパフォーマンスを連発したが、ベイヤー指数125以上を複数回叩き出したのは本馬の他には133と132を1回ずつ出したGroovy(1987年エクリプス賞最優秀スプリンター)のみである。
ブリーダーズカップ・クラシックや三冠競走のような頂点を決めるレースには縁がなかったし、年度表彰も一度も受賞しなかったが、その実力は間違いなくトップクラスにあったと言えよう。
引退後はケンタッキー州のゲインズウェイファームで種牡馬入りしたがあまり活躍馬が出ず、2004年にカリフォルニア州に移動した。この時期に重賞馬が散発的に出たが、GI級の大物に恵まれることはなく、2010年には更にカナダに移動した。しかしそれでも遂にGI馬は出ることなく、2017年に24歳で死亡した。その後、38戦して一般競走4勝という凡庸な成績だったRelaxing Greenという牝馬から2018年バレリーナS(GI)を勝ったMarley's Freedomが出ており、母父としてはGI馬を出している。
*ブラックタイアフェアー Black Tie Affair 1986 芦毛 |
Miswaki 1978 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Hopespringseternal | Buckpasser | ||
Rose Bower | |||
Hat Tab Girl 1979 芦毛 |
Al Hattab | The Axe | |
Abyssinia | |||
Desperate Action | Bold Commander | ||
Crafty Alice | |||
Ingoldsby 1985 鹿毛 FNo.18-a |
Screen King 1976 栗毛 |
Silent Screen | Prince John |
Prayer Bell | |||
Indian Queen | Nashua | ||
Mumtaz | |||
Dorothy Kay 1978 鹿毛 |
Irish Castle | Bold Ruler | |
Castle Forbes | |||
La Eva | Barbizon | ||
Contessa Eva | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Nashua 5×4(9.38%)、Bold Ruler 5×4(9.38%)、Princequillo 5×5(6.25%)、Mahmoud 5×5(6.25%)、Nasrullah 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/12/02(月) 13:00
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