AIのべりすとはクリエイターのSta氏が2021年7月9日に開設したWebサービス。
ドメインはhttps://ai-novel.com。
概要
文章を打ち込むとAIの「とりんさま」が後に続く文を考えてくれるというもので、
と入力すると、
後漢の建寧元年のころ。
今から約千七百八十年ほど前のことである。「今日も平和だなあ」
と、ひとりごとを言ったのは、李信という男である。
彼は馬に乗りながら、うーんと背伸びをした。
彼のそばには、護衛の兵たちが十数人ほどいるが、彼らはただ黙って立っているだけだった。
といった具合になる(設定はデフォルトのもの、紺色の部分が出力された文)。
これは音楽ゲーム「Tone Sphere」で知られるSta氏一人の手によって開発されている。サイト内にはTone Sphereのキャラクターの絵があったり、AIの名前「とりんさま」はTone Sphereのメインキャラの少女の名前「トリン」が元ネタだったりと要素が散りばめられている。
元々は、Sta氏が新規開発中のゲーム内でキャラクターに応答させる為のシステムとして開発していたものだった。
文章などを処理するいわゆる自然言語処理AIは2017年の「Transformer」の登場以降大きな発展を遂げており、この「AIのべりすと」はそのアルゴリズムの流れを汲む「GPT-3」を参考にしながらSta氏自ら10万文字もの量のコードを書き上げた独自AIとなっている。これにGoogle TRCの潤沢なサーバー資源を用いた数十億パラメータの大規模な訓練を行ったことで非常に高い精度を実現している。
無料アカウントでも使用できるが、有料のサブスクリプションに加入すると専用サーバーの利用・学習させられる情報量の増加などの特典がある(プラン比較項を参照)。
また、スケールアップのためのクラウドファンディングも2021年10月29日より実施され見事達成。
2022年1月11日には、AIのべりすとを使用した小説の文学賞、「AIのべりすと文学賞」の第一回が開催決定するなど、勢いは止まる所を知らない。
仕組み
「AIのべりすと」のようなAIは自然言語処理AIと呼ばれます。このもっとも原始的な形が「マルコフ連鎖」と呼ばれる隣接する単語同士の出現する確率にのみ着目したアルゴリズム(でたらめな日本語で書かれたスパムメールを見たことがないでしょうか?)と言えるでしょう。
ここ2年、自然言語処理AIは「Transformer」の登場で一気に進歩しました。Transformerが何よりも画期的だったのはセルフ・アテンションと呼ばれる仕組みです。
例えば、「私はロボット三原則を守るAI、デイジーです」という文章を読み取った時、AIはまずこれを再解釈して「私」が誰のことを指しているのか推論し、「デイジーはロボット三原則を守るAI」という文に変換してから続きを生成します。
2020年にOpenAIが発表した「GPT-3」は、上記に挙げたような多種多様なタスクを自然にこなすことができるようにまでなっています。「AIのべりすと」のAIは、GPT-3をモデルとして開発した、ほぼGPT-3同様のスペックを持つAIであり、広義のインタラクティブ・ストーリーテリングAIに相当するものです。
(クラウドファンディングサイトより)
テクニック
デフォルトでもハチャメチャな展開になったりしてとても楽しいが、文章をある程度思いのままに操れる小技も紹介しておく。
メモリ
AIのべりすとには、行を重ねると古い行から内容を忘れてしまうという性質がある。
そこで、下記のように適宜このメモリに長期記憶させたい設定を入力すれば、見失うことはないだろう。
ただしメモリの内容は常に参照されるため、情報が勝手に登場する頻度が上がり送信容量を圧迫する。
脚注/オーサーズ・ノート
メモリやキャラクターブックよりも優先度が高く、下記のようにジャンルや展開を書くと臨機応変に文章が変化する。
キャラクターブック
本文に特定の文字が含まれている時、AIに登場人物や舞台設定の属性・情報を認識させることができる。
メモリと違い本文に登場した時にだけ参照されるので、あまり出てこないキャラやアイテムに使おう。
タグ ゴリラ
説明
ゴリラ:[オス。ゴリラ:大型の類人猿。ゴリラ:車を投げ飛ばすほどの怪力。ゴリラ:涙もろい。ゴリラ:ラーメンが好物。ゴリラ「ウッホホウッホ!」]
スクリプト
入力・出力において、特定の文字列の置換を行うことができる。特定の文字列をAIから隠したり、混同される固有名詞・語調の修正に有効。「|」で区切れば、サイコロのシミュレートなどといったランダム選択を伴う出力が可能である。また、正規表現も利用できる。
2021年11月19日現在は有料会員のみ利用することができる。
種別 出力文の置換
IN 1D6
OUT 1|2|3|4|5|6
小説以外の用途
AIのべりすとは小説以外にも、キャラクターのプロフィールや質疑応答、お笑いギャグの模倣といった特殊な文章にも対応している(紺色の部分が出力された文)。
【山ン本五郎左衛門】
CV:玄田哲章(『銀魂』より)
・元攘夷志士で現在は徳川茂茂の側仕え。
・常にサングラスをかけている謎の侍であり、その素性は謎に包まれているが、実は松平片栗虎の実の兄であることが判明した。
・口癖が「~アル」と語尾に付けるのが特徴だが、これは幼少期に住んでいた星の言葉の名残らしい。
・戦闘時には黒いチャイナドレスを身に纏い、二本の刀を駆使して戦う。また、背中には翼
チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン♪チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン♪
窓辺に寄りかかったら~、窓がありませんでした~。
チクショー!!
(同じようなネタを数行入れる)
チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン♪チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン♪
クレヨンしんちゃんだと思ったら~、兄貴の彼女でした。
チクショー!!
チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン♪チャンチャカチャンチャンチャチャンチャン♪
「俺は男だ!」と言ったら。
「私も女よ」と言われました。
プラン比較
フリー | ボイジャー | ブンゴウ | プラチナ | |
---|---|---|---|---|
月額料金 | N/A | 1060円+税 | 1800円+税 | 3150円+税 |
広告 | あり | なし | なし | なし |
共用サーバーのみ | 6000回/月 | 6000回/月 | 無制限 | |
出力回数の 制限 |
あり | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
一度に認識 する文字数 |
1024トークン 約3000-4000文字 |
1160トークン 約3240-4480文字 |
2048トークン 約5500-6800文字 |
2048トークン 約6500-8000文字 |
一回の最大 出力文字数 |
60トークン 約210文字 |
80トークン 約280文字 |
120トークン 約420文字 |
150トークン 約520文字 |
キャラクター ブック最大数 |
25件 | 100件 | 200件 | 200件 |
更新時の ルミナ[2]付与数 |
無し | 150ポイント | 300ポイント | 600ポイント |
関連動画
関連リンク
- AIのべりすと - 公式サイト
- READYFOR - クラウドファンディングサイト
- 【AIのべりすとインタビュー】小説を書くAIをひとりで作った日本人がいるらしい | オモコロ - ダ・ヴィンチ・恐山によるインタビュー
- カツオ ベルゼブブと契約|品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)|note - 恐山によるAIとの共作
- ライトノベル『転生しても寿司職人だった件』(AIと共作)|品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)|note - 同上
- AIのべりすと Wiki - 恐山開設の非公式Wiki
- AIのべりすと文学賞
関連項目
脚注
- *ボイジャー会員・ブンゴウ会員:出力6000回以降は5000回ごとに優先度が落ちる。優先度が低いと、混雑時のみ共用サーバーに繋がる場合あり。
- *サービス内通貨。「とりんさまAI」というお絵かきAIでの出力などに利用できる。
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