Kinectとは、
- マイクロソフトがXbox 360用の周辺機器として開発した、ジェスチャーや音声で入力するための周辺機器。本記事で記載。
- Xbox One用の周辺機器(Kinect v2)
- Azure Kinect … Azureのクラウドと連携するビジネス向けのPC周辺機器。2023年に生産終了。[1]
概要
- Microsoftの家庭用ゲーム機Xbox360及びXbox One専用周辺機器の一つ。Xbox本体と接続し、Kinectが内蔵するセンサーでプレイヤーの動きを捉えてコントローラー無しでXbox本体の基本操作やゲーム操作を可能にする。
- OpenNIとPCを使えば、モーションキャプチャー機器として、Kinectで捉えた人間の動きをデータ化してPC扱える様になる。更に、MikuMikuDance用のMMDユーザーモデルと組み合わせて、MikuMotionCaptureと呼ばれる技法が確立された。
- MicrosoftからWindows PCで利用するための開発SDK「Kinect for Windows SDK」が配信されている。また接続ケーブル等を同梱した単体製品も販売している。(対応OS Kinect v1はWindows 7以降。Kinect v2はWindows 8のみ)。
詳細
2009年6月2日のE3にて発表された、SF映画『マイノリティ・リポート』のトム・クルーズ扮するジョン・アンダートンが「コントローラーなしで腕のジェスチャーだけでコンピューター画面上の動画・画像・文書ファイル類を操作する魔法の様なUI」が実現する、クラークの三法則「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」を地で行く近未来SF的な雰囲気たっぷりのXbox360の周辺機器である。
Xbox Liveでの他のXbox Liveユーザーとのビデオチャットの際の音声・画像を伝えるチャット用マイク付きビデオカメラの役目も兼ねる音声・映像を捉える複合センサー、「Kinectセンサー」でユーザーの動きと声を捉えた音声・画像をXbox360に操作信号として処理し命令を伝える為の「頭脳」を備える高度な情報処理機器である。左右に首を振る電動チルト機構を備え、ユーザーの左右の移動に対応する技も備えている。
ユーザーの身体の身振り・顔・声を認識してのXbox360の操作、Xbox360,Xbox Liveへの顔を認識しての自動サインイン、ゲームをコントローラーなしでの身振り・音声での操作が可能となる。
2010年11月29日にMicrosoftは、同年同月4日北米市場での発売以降25日間で累計販売台数250万台を記録したと発表した。[2]
構造(Kinect v1)
Kinectセンサー(動作中に青白く光るRGBカラー映像認識用カメラ1基、奥行き測定用赤外線カメラ1基、赤外線照射発光部1基の三つの光学系センサーと、音響センサーとして4本のマルチアレイマイク)が前面に並び、左右に首を振る電動チルト機構が装備された横に細長い光沢仕上げの黒色(リキッドブラック)、直方体の基本形状に前面はかまぼこ型に緩やかな丸みを帯びた筐体デザインである。
内部には3軸加速度センサー、64MBのDDR2 SDRAMメインメモリ、信号処理専用プロセッサが内蔵されている。[3]
廉価にする為に、Kinect内蔵の専用プロセッサを省略して信号処理をXbox360本体のCPUで処理する仕様の製品が発売される予定であったが、Xbox360本体への負荷が高くなりゲームに大きな制約が出るとの判断から、発売直前にKinect内蔵専用プロセッサが復活した仕様に再度変更された。[4]土壇場の仕様変更により、Kinectの価格は廉価ではないものの、対応ゲームの今後の発展が望める「本来の仕様」である。
単体価格1万5千円弱と一見割高な周辺機器に見えるが、中身は高機能複合センサーと情報処理を行う専用チップとメモリ、ユーザーを自動追尾する電動チルト機構等々電子機器満載の高性能ハイテク製品である。
初期型Xbox360とKinect専用接続端子を持つ新型Xbox360では接続方式が異なる。初期型Xbox360の場合は専用USB/電源ケーブルを同梱したKinect単品モデルを購入すればKinectを利用できる。新型Xbox360付属のKinectを初期型Xbox360で利用するには、マイクロソフトサポートにてケーブル単品を購入すれば利用が可能となる。
設置
Kinectが正常にユーザーのモーションを認識するには、Kinect本体を床から60センチから1.8メートルの高さ、プレーヤーが1人の場合Kinect本体から1.8m以上、2人の場合2.4mの距離が必要であり、プレイエリアの幅は1.8m以上、3.6m未満である。そして、Kinectセンサーの読み取りに邪魔になる障害物がテレビとユーザーの間の空間に出来るだけ無い事が望ましい。[5]
Kinect本体から最短70cmの距離の動きを認識する。最大認識プレイエリアは220cm x 220cmである。[6]
設置後に行うキネクトIDユーザ登録、キャリブレーション時にKinectの認識する最大領域空間でのユーザー認識作業を行う。普段の認識に使わない様な隅から隅までの移動を要求されるので、広い空間を確保する必要がある。
Xbox以外での利用
Kinect for Windows
MicrosoftはXbox360用KinectのXbox360以外での利用について、非商用目的のパソコン周辺機器としてのオープンな二次利用は認めている。2011年6月には開発キット「Kinect for Windows SDK」を公開した。
また開発者向けとして、Xbox360用をベースにPC接続ケーブル等を同梱した「Kinect for Windows v1」、およびXbox One用同等の「Kinect for Windows v2」を販売している。2014年11月には、Xbox One用KinectをWindows PCと接続するためのアダプタも発売した。
単体製品の「Kinect for Windows」では商用利用が認められている。Kinectを利用した製品として、DanceEvolution ARCADE(2012年 コナミ)、え~でる すなば(2015年 セガ)等がある。
オープンソースのドライバが公開され多数のプロジェクトが発表されていることについて、マイクロソフトの幹部はこうした利用はもともと問題視しておらず、 USB接続をプロテクトしなかったのも意図的な設計であると語っています。Kinect の開発を指揮した Alex Kipman 氏が米 NPR の番組 Science Daily のなかで明らかにしたもので、マイクロソフトが認めない「ハック」とは Xbox 360側のアルゴリズムまで到達すること、また Xbox 360とKinect のあいだに何らかの機器を挟んでゲームで不正行為を働くことを指しており、こうした意味では Kinect は「ハック」されていないとのこと。
PCから Kinect センサーの値を読み取るためのUSB接続はもともと意図的に塞いでおらず、そういった利用をマイクロソフトが妨害することはないと明言しています。さらに、マイクロソフトはKinect の教育・研究目的利用について関係機関と協力を検討しており、実際にいくつかの大学には発売前から提供してきたとのこと。
OpenNI
Xbox360用Kinectのハードウェアを開発したイスラエルのPrimeSense社が中心になって、Kinectを利用したアプリケーションのオープン開発のための組織OpenNIが設立され、同名のライブラリOpenNIが、WindowsやLinux向けにリリースしていた。
2013年11月 PrimeSense社がAppleに買収されたことにより、翌2014年4月を以てライブラリの公開は停止され、OpenNIは閉鎖した。
関連動画
プレイ動画
左:あの襖を開く所作が含まれるダンスで知られるKinect対応ダンスゲーム『DanceEvolution』を女性プレイヤーが踊ってプレイする動画。
右:鉄壁スカートが…あ、いや、プレイヤーの後姿的確なダンスプレイを鑑賞する動画。
左:声優沼倉愛美と原由実による違いの分かる『DanceEvolution』プレイ動画。
右:おっさんによる『DanceEvolution』のプレイ風景。ふしぎなおどり。
MAD
TVCMの『アイドルマスター』MMDユーザーモデルのパロディMAD、左:ほめ春香、右:魔王エンジェル&オカメインコ。
MikuMotionCapture
俺がミクだ!!
俺がアイドルだ!!
次元の壁を突き破れ!
関連コミュニティ
外部リンク
関連項目
脚注
- *Microsoft、深度センサーカメラ「Azure Kinect」生産終了 2023.8.18
- *「Xbox 360® Kinect™ センサー」 の販売台数が 250 万台を突破 - プレスリリース - Xbox.com
Xbox 360の Kinect、発売25日で250万台超を販売 - *Xbox 360 "Kinect" センサーの中身公開
Microsoft Kinect Teardown - iFixit - *【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】 Xbox 360用「Kinect」の高価格は、Microsoftの苦渋の決断の結果
- *Xbox Support Kinectのトピック 使用を開始する
- *大画面でKinect 5.プロジェクター、Kinectセンサーの設置とプレイエリア
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