概要
1954年11月3日公開。
日本を代表するスター怪獣ゴジラがはじめてスクリーンに姿を現した作品で、以後のゴジラの逆襲(1955年公開)からゴジラ FINAL WARS(2004年公開)までの国産ゴジラ映画はこの第1作を起点としている。
シン・ゴジラ(2016年公開)は本作品のゴジラを起点としてはおらず、国産ゴジラとしては初めて1954年に最初のゴジラが出現していないという設定である。
水爆実験の放射能で変異を遂げ覚醒した怪獣ゴジラが、東京へ上陸し人々を恐怖の渦へ陥れるというパニック映画。
当時の日本は広島・長崎への原爆投下からわずか9年しか経っておらず、くわえて公開年3月にはビキニ環礁の水爆実験で第五福竜丸が被爆する事件が起こったばかりと、核兵器や放射能への関心や恐怖が高い中での公開となった。
「キングコング」以来続いていたコマ撮り(ストップモーション)撮影からさらに一歩進んだ、着ぐるみミニチュア撮影の手法が今作で確立された。円谷英二をはじめとする東宝のスタッフが全力を注いだ「特撮」は、巨大怪獣ゴジラの迫力を見事に描き切り、敗戦国が作り上げた映画とは思えない完成度だとして世界中を驚かせた。
評論家筋からはゲテモノ扱いを受けたものの、興行としては大成功を収め、次作「ゴジラの逆襲」の製作がすぐに決まる事となった。
現在は、60年経っても色あせない特撮なども去ることながら、終戦直後の時代性を色濃く映した内容が、シリーズでも唯一無二のものとして評価されている。ファンからの評価・人気もトップクラスに高い。
ちなみに、ストーリーの元ネタは、前年に公開されたアメリカ映画「原子怪獣現る」。これを下敷きとして、生みの親である田中友幸が企画した「海底二万里からきた大怪獣」(仮題)が原案であった。
登場怪獣はゴジラのみ。このゴジラは最終的に芹沢大助博士のオキシジェン・デストロイヤーにより葬られるが、オキシジェン・デストロイヤーの悪用を危惧した博士も自ら命を絶っている。しかし後年その博士はゲームで巨大化して復活している。
何故か新聞が映るシーンで「エロ本」という文字が2箇所も確認できる(リマスター版だとわかりやすい)。
ストーリー
大戸島近海で異変が起こっていた。
島の長老でも驚くほどのひどい時化が起こり、さらには謎の発光現象と共に船が失踪するようになったのだ。
そしてある嵐の日、何か巨大なものが島に現れ、家々を踏みつぶして村を壊滅させた。
すぐに調査隊が結成され、古生物学者の山根もそのひとりとして島を訪れた。
そこにあったのは、何かの足跡としか思えない巨大な穴、そしてその中に残る、今や絶滅したはずの三葉虫の死骸と強い放射能だった。
混乱する山根達の前に、凄まじい足音と共に、とうとうその痕跡の主が姿を現す。
それは、どう見ても50メートルはある巨体を持った、ジュラ紀の生物だった。
度重なる水爆実験によって、太古の爬虫類が覚醒したのだった。
大戸島の伝説に従ってゴジラと命名された巨大怪獣は、なんと首都東京へと向かっていた。
日本政府は直ちに迎撃するものの、水爆すら耐え抜いたゴジラの進撃を止めることはできず、とうとう東京への上陸を許してしまう……。
他作品との関連
続編で1955年公開の「ゴジラの逆襲」、1995年の「ゴジラVSデストロイア」などとはシリーズ作品の中でも関連が深い。
特に「VSデストロイア」は、シリーズの完結編として今作を強く意識して作られたため、敵怪獣デストロイアがオキシジェン・デストロイヤーによって生み出されるなど、今作との結びつきが非常に強い。本作のヒロインである山根恵美子が40年越しに再登場(演者も同一人物)している他、本作に登場した人物のその後も語られている。
また、1984年の「ゴジラ」やミレニアムシリーズなど、それまでの設定をリセットして作られたシリーズ作品は、今作との繋がりが深い傾向にある。
ミレニアムシリーズでは、本作の設定を一部変更して継承していることが多い。2001年の「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」ではオキシジェン・デストロイヤーが使用された事は一般には知られていない他、翌年の「ゴジラ×メカゴジラ」では骨が溶けていない設定になっている。
ゴジラ
今からおよそ二百万年前、このブロントサウルスや恐竜が全盛を極めた時代、(中略)極めてまれに生息していた、海棲爬虫類から陸上獣類に進化しようとする、中間型の生物であったとみて、差し支えないと思われます。
仮にこれを大戸島の伝説に従って、呉爾羅、ゴジラと呼称します。
海底で現代まで生き延びていたジュラ紀の生物が、水爆実験によって住処を追われ、さらには放射能で突然変異を遂げて生まれた巨大怪獣。
ティラノサウルスなどの竜盤類が逞しくなったかのような、どっしりとした形の真っ黒な体をしている。
水爆の被害からも生き延びる強靭な生命力・耐久力を持ち、劇中では、既存の兵器では撃退不可能と推測されている。
また、強靭な肺活量でもって、放射能を大量に含んだブレスを吐きつけることができ、これを浴びた物質はすべて溶解・発火してしまう。
覚醒後、大戸島周辺で活動を開始し、通りがかる船を片っ端から沈めて回り、ついには島へ上陸。全高50メートルの巨大を人類の前に現して衝撃を与えた。
ついには東京へ到達すると、人類側の攻撃もむなしく2度にわたって上陸。国会議事堂や日本橋の三越など当時の東京のランドマークをことごとく破壊し、東京を火の海にした。
その後、東京湾海底に潜んでいたが、芹沢博士によってオキシジェン・デストロイヤーの攻撃を受け、討伐された(周囲の海水の酸素分子を破壊され溺死したのか、それとも体内の酸素分子を破壊されたことで・あるいは微小化した酸素分子が肉体を構成する分子を破壊したために死亡したのかは不明。少なくとも、骨まで残らず溶解した)。
後の作品のゴジラと比べると、どっしりとした体つきと、ギョロリとした目つきが特徴的。
着ぐるみは、タイヤのゴムをつなぎ合わせたかのようなとんでもなくごつい代物で、90~100キロもあったと言われる。
また、鳴き声が、コントラバスの弦をこすって発した音を加工して作られたというのは有名な話だが、今作は後の作品と比べるとかなり雰囲気の違うものとなっている。
主な出演者
関連動画
関連商品
関連項目
- ゴジラ
- ゴジラの逆襲
- ゴジラ(1984年)
- ゴジラVSデストロイア
- ゴジラ2000 ミレニアム
- ゴジラ×メガギラス G消滅作戦
- ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
- ゴジラ×メカゴジラ
- 特撮作品一覧
- 全ての元凶
- オキシジェン・デストロイヤー
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