概要
ほぼ無回転で投じられ、捕手に到達するまでに不規則に変化しながら落ちる変化球である。これは、わずかに回転するボールの縫い目に空気がぶつかり、不規則な空気抵抗を生むためである。
その変化は投げる本人ですら予測不可能で、また風向きや風速、湿度、天候などの影響も受けやすいためナックルボールを武器とする投手の殆どはナックルボールだけで打者を抑えることができる。
ただし、投げるのが難しい変化球であるため緻密なコントロールが不可能であること、失投がただのスローボールとなり長打の危険性を孕んでいることなどが欠点といえる。
ナックルボーラー
ナックルボールを主体に投球を組み立てる投手をナックルボーラーと呼ぶ。ナックルボールはそのボールの性質上、肘や肩に負担がかかりにくいため、ナックルボーラーの投手は選手寿命が長い傾向にある。
また、ナックルボールはその軌道の不規則さ故にプロの捕手でも捕球が難しく、ナックルボーラーが所属するチームには正捕手とは別にナックルボーラー専属捕手がベンチ入りしていることが多い。
ナックルボールで活躍したチャーリー・ハフとバッテリーを組んだジーノ・ペトレリは1イニング4捕逸の記録したこともあり、その捕球の難しさが伺える。
また、横浜DeNAベイスターズ所属の山崎康晃投手は、十分に実戦でも通用するナックルボーラーだが、捕手への負担も含めた理由でオールスターゲーム以外ではほぼ投げない。
ティム・ウェイクフィールドと捕手
ナックルボーラーとして活躍したティム・ウェイクフィールドが所属していたボストン・レッドソックスには、正捕手ジェイソン・バリテックがいたがナックルボールの捕球を苦手としていたために、専属捕手としてダグ・ミラベリが起用されていた。ミラベリはウェイクフィールドとバッテリーを組んでいた時には大きめのソフトボール用のキャッチャーミットを使っていたという。2005年オフにミラベリはサンディエゴ・パドレスにトレードされたが、後任の専属捕手のジョシュ・バードはウェイクフィールドのナックルを取れず、捕逸を連発。レッドソックスは5月にミラベリをトレードでレッドソックスに呼び戻した。
著名なナックルボーラー
実在選手
- フィル・ニークロ
- ジョー・ニークロ
- チャーリー・ハフ
- ティム・ウェイクフィールド
- R.A.ディッキー
- ジャレッド・フェルナンデス
- 吉田えり
- 山崎康晃(オールスターゲーム以外では殆ど投げない)
フィクション
- 阿久津 - 『MAJOR』に登場する海堂高校の特待生の左投手。
- 犬飼知三郎 - 『大甲子園』『ドカベン プロ野球編』に登場。オリジナルのナックル「ドックル」を投げる。
- 長尾アキラ - 『ダイヤのA』に登場する桜坂高校の投手。
- 三ヶ月心 - 『キャットルーキー』に登場。大和トムキャッツの左投手。高速ナックル「ウィザード・バイパー」を投げる。
- 生田庸兵 - 『DREAMS』に登場する神戸翼成高校の投手。通常のナックルに加え、高速ナックル「魔球KOBE」を投げる。
関連動画
関連項目
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