バスターミナルとは、複数のバス停留所が集まる場所ならびに施設である。
概要
当地を起終点とするバス路線が複数発着し、敷地内に2ヶ所以上の乗降スペース(バースと呼称する)を設けた施設、と定義づけられる。複数のバス路線が発着していてもバースが1ヵ所であればバスターミナルとは言わない。また一般道路上に複数のバースを設けていても、専有の敷地・設備を持たない場合はやはりバスターミナルとは言わない事例が多い。いずれにしても日本では地域・事業者によってかなり大きな差異が生じる施設である。
日本のバスターミナルは、鉄道駅や空港・港などの交通の要衝、営業拠点(車庫)のあるところ、繁華街に設けられる事例が多く、そこを起点として路線バス網を形成している。逆にバスターミナルが設けられたことで、利用客をはじめとして人が集まるようになり、にぎわう場所に発展していく事例も見受けられる。さらに高速バス網の充実により、都道府県外から客を呼び込める集客力の高い公共駅として注目を浴びるようになっている。
施設
バース
前述の通り乗降スペースのこと。バスターミナルには複数のバースが存在するが、敷地の都合などによりバースの配置に大きな違いがある。複数のバースが並べられた走路を”レーン”と呼称する。
- 直列型
- バースを直線状に並べた事例。
- 並列型
- バースを櫛の歯状に並べた事例。この場合は1バース=1レーンとなる。
- 直並列型
- 数バースを直列に並べたレーンを、更に並列に複数並べた事例。
- 鋸歯型
- バースをのこぎりのように斜めに並べた事例。発車時にはいったんバックを行い、方向転換する。敷地が狭くても複数のバースを配置できる。
- ロータリー港湾型
- レーンが右回りロータリー(周回路)の形で、その外向きにバースを配した事例。おそらくもっともオーソドックスなもの。
- ロータリー中島型
- 港湾型の逆で、左回りロータリーの内向きにバースを配した事例。
- 複合型
- 複数の配置方法が混在している事例。
※近年整備されるバスターミナルでは、車両を寄せやすくするため、あえてレーンを非常に浅い鋸歯状にしている事例が多い。
接客設備
※一般路線バスのターミナルには待合所・トイレぐらいしかない事例が多い。
構造
- 屋外型
- 待合所や案内所などの設備以外は屋外という事例。
- 半屋内型
- レーンやバースが直接雨に見舞われないように覆った事例。ex.バスタ新宿など
- 屋内型
- 建物の1・2階に設置した事例。ex.町田ターミナルなど
性質・役割
都市路線バス
鉄道駅に付随して設置されるが、実際には駅前広場の一角を使用して複数のバースを設置している事例が大半。そのせいでもなかろうが「バスターミナル」と称する設備は実は少ないうえ、単に鉄道とバスを繋ぐ役割しか担っていない。却って病院や学校などのバス乗降場の方が、バスターミナルらしい規模の設備になっている。
地方の一般路線バス
地方においては鉄道(国鉄→JR)は長距離輸送主体で、地域輸送を担ってはいない。従ってバスが地域輸送を支えていたため、駅と言ったらバスターミナルを指すという認識が割と一般的であり、鉄道駅周辺よりバスターミナル周辺の方が栄えている事例は多数みられた。但し既存事業者は利用客の減少・施設の老朽化に悩み、バスターミナルの設備を縮小せざるを得なくなった事例もまた多い。
都市間高速バス
前述の地方事業者の苦境をある程度緩和・克服したのが、都市の拠点に設けられたバスターミナル同士を結ぶ高速路線である。ツアーバスから参入した事業者と既存事業者との競争が激化する中、わかりやすく使いやすい拠点を目指して建設・リニューアルされるバスターミナルも見られる。
ちなみにかつてのツアーバスはもともと貸切バス扱いで、バス停を設けられないことからターミナルの概念は本来存在しないが、ウィラーエクスプレスなどツアーバスであっても独自にバスターミナルを設ける動きも見られた。
追記:名称について
- 停留所としての名称が「バスターミナル」であっても、行先表示では省略されることが多い。
- バスを省略し「ターミナル」とする設備も多い。ex.中央バス札幌ターミナルなど
- 「バスセンター」という呼称は全国的に見られる。ex.西鉄天神バスセンター、名鉄バスセンターなど。但し「bus center」は和製英語。
- 「交通センター」「バスタッチ」といった呼称の施設もあるが、次第にバスターミナルに変わりつつあるようだ。
- 宮城県仙台市では「バスプール」の呼称の施設があり「バスターミナル」と使い分けがなされている。
- 「バスタ」は、国土交通省の「バスタプロジェクト」で整備・計画されている施設につけられている呼称。現時点で稼働している施設はバスタ新宿のみ。
- 一部の事業者では単に「終点」「駅」のような意味でターミナルと呼称されたバス停が存在した。
ニコニコ大百科に記事があるバスターミナル
※消滅したところは取り消し線を引く。リダイレクト記事となっているものも含む。
- 梅田スカイビル:※ウィラーエクスプレス・ロイヤルエクスプレスの「梅田バスターミナル」と化している。
- 大通バスセンター:※最寄り駅の名前はずばり「バスセンター前駅」。
- 熊本桜町バスターミナル:※西日本有数の規模を誇る。2019年9月10日までの名称は熊本交通センター。
- 小倉駅バスセンター
- 佐賀駅バスセンター
- 三宮バスターミナル
- 新宿高速バスターミナル:※バスタ新宿に集約・移行された。
- 砂津バスセンター
- なんば高速バスターミナル:※南海なんば駅。OCATとは別物であり、来阪、上阪者が間違えやすい。
- 西鉄黒崎バスセンター
- 西鉄天神高速バスターミナル
- HEARTSバスステーション博多
- 博多バスターミナル
- バスタ新宿:※国内最大の長距離バスターミナルで、路線バスとタクシー乗り場もある。3Fと4Fの屋外デッキ上に乗り場がある。
- 浜松駅バスターミナル
- 浜松町バスターミナル:再開発によるビル建て替えと路線の移転・廃止により消滅。
- 広島バスセンター
- プラザモータープール:※本来は普通の駐車場だが、ツアーバス上がり事業者の事実上の「梅田バスターミナル」と化している。
- 湊町バスターミナル(通称、OCATバスターミナル):※上述のなんば高速バスターミナルとは別物。西日本最大級の長距離専門バスターミナル。屋内2Fにあり、バースと待合室はドアで分離されている。
- 宮交シティ
- 名鉄バスセンター
- 大阪駅JR高速バスターミナル
- 阪急三番街高速バスターミナル:※阪急大阪梅田駅。
関連動画
関連項目
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