王妃とは、国王の妻の称号である。英語ではQueen Consort。
概要
通常、皇帝や天皇の正妻は「后:Empress」、国王や大公の正妻は「王妃:Queen」「大公妃:Princess」であり、欧語では女帝・女王・女大公と同じ綴りで表記されるためしばしば混同されてしまう。特に区別する場合には王妃等には~Consort(君主の配偶者)、女王等に~Regnant(君臨する)を付ける。また夫婦ともに同等の敬称(天皇陛下↔皇后陛下、国王陛下↔王妃陛下、大公殿下↔大公妃殿下)で呼ばれることが多い。物語などでは后と王妃は「きさき」ともいう。
妃(ひ)
君主以外の王族男子の妻は単に「妃:Princess」(王子の女性形=(義理の)王女)とだけ呼ばれる。その王子が王太子の場合は「王太子妃」、王子が儀礼的な爵位を有している場合には「爵位+夫人(爵位の女性形)」の称号でも呼ばれる。例えばダイアナ妃は、王室身位として王太子妃(クラウン・プリンセス)であると同時に儀礼称号としてはウェールズ大公妃(プリンセス・オブ・ウェールズ)でもあった。
歴史では王室に嫁ぐのなら伯爵以上、帝室に嫁ぐのであれば公爵以上の家柄を求められることが多かった。
夫人(ふじん)
貴族諸侯(公侯伯子男)や政府要人の妻は「夫人:Lady」と呼ばれる。古くは「ぶにん」とも読んだ。特に貴族の場合は爵位を女性形(公爵夫人duchess, 侯爵夫人marchioness, 伯爵夫人countess, 子爵夫人viscountess, 男爵夫人baroness)にするが、女性貴族(女公爵~女男爵)もまったく同じ形になるので注意。
夫人の「夫」は「扶(たすける)」に通じており「貴人の側で支え助ける者」という意味とされる。(劉熙『釈名』釈親族第十一「諸侯之妃曰夫人,夫扶也,扶助其君也」[後漢末,2世紀末])
王妃・妃・夫人にあたる人物(五十音順)
- ダイアナ妃(イギリス王太子妃)
- デヴィ夫人(インドネシア大統領夫人)
- デボラ(ドラゴンクエストⅤ、グランバニア王妃)
- ニセたいこう(ドラゴンクエストⅤ、ラインハット前王妃)
- ビアンカ(ドラゴンクエストⅤ、グランバニア王妃)
- フローラ(ドラゴンクエストⅤ、グランバニア王妃)
- マーヤー夫人(シャカ族王妃、摩耶夫人)
- マリア(ドラゴンクエストⅤ、ラインハット王妃)
- マリー・アントワネット(フランス王妃)
王配(おうはい)
王配とは、女王の夫の称号である。女帝の夫の場合は「皇配/帝配」とも。女大公(プリンセス)の夫については未だ正式な和訳例はないが「大公配」だろうか。
王配は広義の地位としてはConsort of Empress/Queen/Princess(皇配・王配・大公配)と呼ばれる。一方で狭義の称号としてはいまだ定訳は無いものの、
――の4種類がある。Consortが付いている称号は共同統治者=女性君主に準ずる存在として公務を代行する。ただし必ずしも女王の夫に共同統治者としての王配・公配の称号が与えられるとは限らず、むしろ単に「公」とだけ呼ばれることも多いがこちらは女王の筆頭家臣のような処遇となる。
王婿(おうせい)
「婿」は俗語としては「俺の嫁」のように「当人の夫」という意味で使われることも多いが、公的用法としては「当人からみて娘の夫」を指す言葉である。
同様に王室を俯瞰して見たときに「君主(王室の第一人者)からみて婿(王女の夫)」にあたる身位を「王婿」という。戦前の文献では王配と王婿は混用されているが、字義どおりの解釈をすると君主(女大公、女王、女帝)の配偶者が「王配」であり、それ以下の王室女性成員(皇女、王女、公女)の配偶者が君主目線で「王婿」となる。
夫君(ふくん)
夫人に対して、女性の貴族(公侯伯子男)や要人の夫は「夫君」と呼ばれる。英語等では男性有爵者と夫君とが同じ爵位の男性形になる注意点は夫人と同様。
ただし爵位の中でもプリンス爵、グランドデューク爵、グランドプリンス爵の三大公は敬称が「殿下:Highness」であり、「閣下:Lord」で敬称される侯伯子男爵とは待遇に大きな差があるため、大公の配偶者も「大公妃/大公配」と訳す。
紛らわしいが同じく公爵と訳されるデューク爵は敬称が「Grace」であり、こちらは「閣下」と訳されるのが通例なのでその配偶者も「公爵夫人/公爵夫君」と訳す。
令婿(れいせい)
王配・王婿・夫君にあたる人物(五十音順)
- スウェーデン王婿ダニエル公(スウェーデン王太女の夫。ヴィクトリアと共同でヴェステルイェートランド公爵位にある。ジムリーダー)
- 英国王配フィリップ公(地位はイギリス王配(Consort of Queen,Prince of United Kingdom)だが、称号はKing Consort(王配)ではなくPrince(公)である。旧ギリシャ王国の王子)
- 英国王配アルバート公配(ヴィクトリア女王の夫。英国の歴史上で唯一「Prince Consort」の地位にあった。ザクセン=コーブルク=ゴータ公爵の公子)
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関連項目
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