西成とは、
- 大阪の地名。ほとんどの場合は下記IIまたはIIIを指す。
- 苗字。「にしなり」と読むことが多いが「にしもり」と読むこともある。上記の大阪の郡が名の由来で、現在は全国に約260人ほどおり、特に秋田県湯沢市稲川町周辺に多い。
を指す。ここでは大阪のドヤ街の西成(1-III,環境によっては1-3)について述べる。
概要
既に「あいりん地区」という記事があるが、ここでは大阪のあいりん地区に加え、飛田新地を含めた呼称である「西成」について述べる。
『西成』と西成区
まず、当記事で述べている『西成』は「西成区」ではない。西成区は『西成』よりも広い範囲を指す地域であり、一般的な住宅街や中には高級住宅街も含まれているため、西成区の区域全体を危険とするのは明らかな間違いである。しかし両方とも西成という名前であり、
といった形で話に齟齬が生じることもある。詳しくは「西成区」の記事を参照。また、ロカフレのこちらの記事には、西成区全体とあいりん地区・飛田新地の位置関係を把握できる地図が掲載されているので、ぜひ参照していただきたい。
もともと飛田新地は東成郡であり、あいりん地区・飛田新地の地域を指して最初から西成と呼ばれていたわけではない。おそらく「西成のドヤ街」「西成暴動」などの言葉から、当地の地理に詳しくない人が「西成=ドヤ街」ととらえてしまったため、あいりん地区・飛田新地などの異質な地域を指す「西成」の用法が広まっていったと思われる。
ドヤ街周辺を指す『西成』
西成区の北部の中でも、新今宮駅の南~南東側に広がる狭い地域を指し、そこからさらに北方向に広がり浪速区内の新今宮駅前地域、さらには新世界をも指すことがある。
新今宮駅から国道26号を渡った向こう側があいりん地区である。そこから南東に向かい、阪神高速14号松原線がカーブしている付近にあるのが、1950年代後半まで遊郭として存在し、現在は遊郭から転換しながら現在でも遊郭期来の営業形態をとる、つまり「そういうことをする」料亭が集中する地区となっている飛田新地である。ちなみに料亭の中は料亭の嬢仲居さんの肖像権など大人の事情もあってか撮影禁止だが、実はGoogleストリートビューが普通に撮影してしまっている。
遊郭やドヤ街、さらにドヤ街における暴動、度々開帳される怪しい露店、住所不定者の多い日雇い労働者のイメージもあって「治安が悪く覚せい剤が蔓延している」「法の手が及ばない治外法権地域」「(覚せい剤の密売や飛田の料亭においての経営参画、労働者からのピンハネを行うことで収入を得るとされる)ヤクザ・暴力団の縄張り」と言われることも少なくなく、それが西成区や新世界のイメージとして定着する、いわば「風評被害」を受けている節がある。しかし、犯罪の認知件数は少ないどころか近年締め付けが厳しくなり怪しい露店についてはほぼ消滅している(この辺はあいりん地区の記事も参照)。飛田新地の料亭に至ってはそもそも暴力団が関わらない形で経営されている[1]ため、そういう意味で治安については偏見、風評被害とも言える。後述するようにあいりんのドヤは近年は外国人向け格安ホテルとしても営業しており、そこに宿泊した外国人からは「むしろ安全」との声まで聴かれる。
また新世界は「西成」のマイナスイメージが定着した古く暗い街となった結果、平成の初め頃から昭和の大阪を肌に感じられる街として再評価されている。具体的には、キタ・ミナミの繁華街やUSJや大阪城などと並ぶ大阪屈指の観光スポットとなり、「テーマパークに来たみたいだぜ」と、当地を訪れた人物が発言する漫画も現れるほどである。
あいりんのドヤも関西国際空港からのアクセスの良さ[2]から、近年は外国人旅行者向け格安宿泊施設として営業しているものもある。また飛田新地も中国人を中心に外国人が増えつつある。
メディア等による西成のイメージの改善も見られる。西成の地域が発祥であるスーパー玉出がその特異なセール戦略と特徴的な外装・CMなどで大阪・関西の内外で知られた結果観光スポット化しはじめている。また、西成や新世界を舞台にし、それもこれらの街のイメージを「ドヤ街や遊廓、それに関連した暗い街」ではなく「大阪らしい人情味の溢れる街」であることを前面に押し出した作品[3]が90年代以降多く作られた。その結果、平成、特に21世紀になってからは「西成」のイメージは少しずつ変わりつつある。
ただ、結核の罹患率の高さだったり、トイレに「注射器を便器に流すな」という張り紙[4]をして営業するコンビニがあったり、指定暴力団である酒梅組・東組[5]の本部事務所をはじめ複数の暴力団事務所があったり、スーパー玉出も2018年に身売りされるまでは実質的な暴力団のフロント企業と化していたりと、一部は事実である。
また、高齢化しているとはいえあいりん地区は2019年の現在でも日雇い労働者が多く生活している地域であり、路上に自転車が多く停められていたり、日中から酒に酔った者が道端で寝ていたり、「生活相談」「高齢者福祉アパート」などの張り紙が多く見られたりする異質な地域である。いわゆる「西成暴動」も2008年6月を最後に発生していないものの、2019年4月24日にはあいりん総合センターの閉鎖をめぐって、暴動とまでは行かないまでも、住民と警察官がもみ合いになっている。
世紀末無法地帯ではないとはいえ、不用意にカメラを回しながら歩いたりすることは避けた方が良い。
関連動画
関連項目
脚注
- *基本的に料亭を出すのに必要な食品営業許可が下りない上、すり抜けて開業したとしても売春防止法や組織犯罪処罰法を適用され逮捕されている例が実際にある
- *新今宮駅は関空にアクセスする南海電車がほぼすべて停車、また歓楽街の飛田だけでなく繁華街であるキタ・ミナミに行くにも便利
- *『ふたりっ子』『じゃりン子チエ』『どついたるねん』など
- *ただし、これについては違法薬物ではなく糖尿病のインスリン注射を指しているのではないかという説もある
- *特に東組は覚醒剤密売をシノギとしている
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