Cz75とは、1968年に開発が計画され、1975年に製造されたチェコスロバキア(当時)製の自動拳銃である。
概要
当時共産圏であり、西側諸国に比して人件費の安価であったチェコスロバキアの国営銃器工場(チェスカー・ゾブロヨフカ・ナロドニ・ポドニク)が外貨獲得のための輸出商品として1975年に製造した、オートマチックピストル。対応弾薬は主に9mmパラベラム弾など。
名称の「Cz」は製造所である「チェスカー・ゾブロヨフカ」に因むが、当時は「M75」「メルクリアM75」(こちらは輸出会社の名に拠る)など様々な呼ばれ方をした。
スチール、削り出し製の大型オートマチックピストルで、9mmパラベラム弾を弾倉に15発装填する。作動方式は一般的なブローニング式ショートリコイルであるが、特徴的な点としてはスライドがフレームの内側にかみ合っている構造があげられる。
当時は9mmの大容量マガジンを持ったオートマチックが流行の兆しにあったこともあるが、人間工学的な握りやすいマガジン、西側の人件費では実現できない優れた仕上げと素材(スチール)の品質などから、アメリカではシューティング競技の権威ジェフ・クーパーが「.45ACPでないことが残念だが、それでも世界最高のコンバットオートだ」とまで評するなど高い評価を得た。また、コルト・ガバメントと同様のコックアンドロック式セフティ、溶接によるカスタムに向く鋼鉄製のボディなどが好感されたことも、当時ガバメントが主流であったアメリカのシューティング競技市場で高評価された理由であろう。
しかし本銃はその生産国が共産圏であったことが災いし、当初の製品が正規にアメリカ合衆国で流通することはなく、一部がカナダや南アフリカを経由して流入するにとどまった。それでも高い評価を得たことは本銃のポテンシャルを示すとも言えるが、商業的には成功と言いがたかったのも否めない。
これらの初期に流通したCz75は後に正規ルートで流通した後期型に比べると仕上げや材料の品質、フレームの形状等に違いがあり、特にスライドとかみ合うレール部分が短い「ショートレイル」「ファースト」などと呼ばれるものは現在でもプレミア価格で取引されている。
その後Cz75はアメリカ合衆国内でも正規ルートから販売されるようになり、小改良を加えつつ現在でも人気を誇っている。また後にスイス、イタリア、イスラエルなどで本銃をコピーないし参考にした製品が生産されたのも、本銃の設計の優秀さを暗示するものといえよう。ちなみに前述のジェフ・クーパーは自分が開発に乗り出した10mmオート弾薬とCz75の設計を組み合わせた「ブレン・テン」という銃を開発し生産したが商業的にポシャって今に至る。
日本では銃刀法の為、所持することはもちろん違法となっているが、東京マルイから前述した前期型モデルのエアガンが発売されており、ガンマニアが欲しがった、前期型がどういったものだったかも見てみるのもいいだろう。
なお、北朝鮮の正式拳銃『白頭山拳銃』として採用されているが、過剰なまでのエングレーブなど、ある人曰く「韓国のパチモンエアガンみたい」と言われるざまである。
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