概要
元機体についてはF-15を参照。
F-104J/DJの後継機として配備され、現在に至るまでアップデートを繰り返しながら航空自衛隊の主力戦闘機として運用されている。
F-104後継機の調査が始まったのは1974年で、1977年末の国防会議でF-15の採用を決定、F-15CをベースにしたF-15J(単座)が165機、F-15DをベースにしたF-15DJ(複座)が48機、合計213機が調達された。F-15Jの最終機は1998年に、F-15DJの最終機は1999年に完成している。[1]
F-15Jは大きく分けて近代化改修を行っている機体(J-MSIP)と行っていない機体(pre-MSIP)があるが、後者についてはF-35AとF-35Bで更新される予定になっている。
米軍型との違い
米軍のF-15では左側の垂直尾翼の先端にTEWS(戦術電子システム)のアンテナの膨らみがあるが、航空自衛隊のF-15には無い(左右とも垂直尾翼の先端は細いマスバランスになっている)。TEWSはレーダー警戒受信機、尾部警戒セット、干渉ブランカー、内蔵電子戦キット、フレア/チャフ投下装置で構成されており、敵の脅威を検知し、パイロットに対処方法を教える装置だが、アメリカは機密扱いとし、日本への技術移転は行わなかった。このため、レーダー警戒装置(J/APR-4)、ECM(ALQ-8)を国内で開発して搭載している。また、BADGEと連動するデータリンク(ASW-10)も日本独自の装備である。爆撃照準機能、空中給油能力もそのまま残された。[2]
その他の日本独自の装備としてはJ/APQ-1(レーダー警戒受信機)、脱出時にキャノピーを破壊するキャノピーブレイカーがある。ディスペンサーは後日輸出が解禁されたため、S/N 879から生産段階で搭載となっている。
武装は固定武装の20mmバルカン砲や米軍と同じAIM-9Lサイドワインダー、AIM-7F/Mスパローの他、1990年代中ごろから国産装備のAAM-3が使用される。
バリエーション
Pre-MSIP
初期に量産されたタイプで、デジタルデータバスを装備していないためにコストの観点から後述の近代化改修は行われていない。1機だけ修理の際にJ-MSIP仕様に改修された。
※pre-MSIPではデジタルデータバスではなく「H-009」というデータバスが使用されている[3]
J-MSIP
昭和60年度のc-6契約以降の機体はMSIP(多段階改良計画)により改良された後期量産型となっている。
大きな変更点はコンピューターの更新、MIL-STD-1553Bデジタルデータバスの追加で、このJ-MSIPに対して以下の近代化改修が行われている。
F-15MJ/MDJ
2004年からJ-MSIPの一部の機体に対して実施された改修。レーダーはAN/APG-63(V)1へ換装、セントラルコンピュータの換装、発電機と冷却装置の換装、Link-16端末の装備、AAM-4の運用能力追加、HMD搭載によるAAM-5運用能力の追加などが実施された。
F-15MJⅡ
F-15MJのうち数機に統合電子戦システム(IEWS)を搭載、チャフ・フレアディスペンサーもIEWSと連動できるALE-47へ換装、計器盤のレーダー警戒装置のディスプレイを多機能表示器(MFD)へ換装している。
能力向上改修機(JSI)
2019年から始まった改修計画で、搭載レーダーはAESA方式のAN/APG-82(V)1に換装、セントラル・コンピューターのアップデート、デジタル電子戦システム(EPAWSS)、任務計画システム(JMPS)、AGM-158B(JASSM-ER)の運用能力などが追加される。近代化改修されたJ型のうち68機が改修対象となる予定。[4]
その他
- pre-MSIP機を対象に、減勢する一方のRF-4E/EJ偵察機の代替として偵察ポッドや無人偵察機の搭載が考えられていたが、防衛省が偵察機型への改修を請け負っていた東芝との契約を解除しており、計画は頓挫している。[5]
関連動画
関連項目
脚注
- *「自衛隊戦闘機はどれだけ強いのか?」青木謙知 サイエンス・アイ新書 pp.122-123
- *「F-15イーグル 世界最強の制空戦闘機」J・エセル 1985
- *https://trafficnews.jp/post/79264/2
- *「空自F-15 その能力向上の軌跡」赤塚聡 JWings 2023年9月号
- *東芝、契約巡り防衛省を提訴 F15改修巡り
2011.10.31
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