L96A1とは、イギリス軍で制式採用されているボルトアクション式スナイパーライフルである。
概要
- 初期はプロジェクティブ・マガジン・ライフル(PMライフル)という名称で、アキュラシー・インターナショナル社で開発されていた。
- 1984年にPMライフルをイギリス軍が「L96A1」として採用している。
- その後、スウェーデンで行われたトライアルに対応させるために寒冷地改良されたのが、知る人ぞ知る「アークティク・ウォーフェア・ライフル(通称AWライフル)」である。
- 尚、余談だがイギリス軍ではAWを「L118A1」、AWマグナムを「L115A1」と言う名称で採用されている。
特徴など
基本的なメカニズムはボルトアクション式のライフルで、弾薬は脱着式のマガジンに最大で10発まで装填可能になっている。ボルトアクション式小銃では珍しいストレート・ストックは、アルミニウムを芯としたプラスチック製であり、左右にある2つの成型品を一体化させるためにボルトで連結しており、大型のサム・ホールを装備している。プラスチック製の銃床の中央にレシーバーを保持するためのアルミニウム合金のフレームがあり、ステンレス鋼製のバレルは、銃床と接触することのないようフローティング・バレルとなっている。そのため、高い命中精度を実現することに成功した。
機関部の特徴は、底が平らなフラットボトムアクションを4本のボルトでアルミニウム合金のフレームに固定すると共に、エポキシ系接着剤で接着していることである。これは設計当時最先端のベンチレスト競技用ライフルの製作法を取り入れたものである。
この銃は、イギリス軍の狙撃銃トライアルに提出された。トライアルでは、その他のイギリス製狙撃銃や外国製の狙撃銃とも比較されたが、最も命中精度が高いと評価され、6×42シュミット&ベンター社製のスコープとともに、イギリス軍の制式採用狙撃銃に選定されることになった。スコープはL1A1テレスコーピック・サイトと名づけられている。
バリエーション
- PMライフル
AWシリーズの根幹ともなった銃。こちらの方が本来の「L96A1」である - AWライフル
PMライフルの寒冷地での使用を想定し、マイナス40度の環境でも動作できるように寒冷地対応補修を施したバージョン。
こちらの方をL96A1と呼ぶ人も多いだろうが、イギリスでの採用名は「L118A1」となっている。
重量は5.9kg - AWP(police)
AWを警察向けに24インチバレルにサイズ変更を施したバージョン。現行の「AEライフル」シリーズがこれに該当する。
重量は6.5kg - AWM(magnum)
AWを7mmレミントンマグナム、.300ウィンチェスターマグナム、.338ラプアマグナムに対応させたバージョン。
重量はAWPと同様の6.5kg
ちなみにこのモデルは新型のマズルブレーキと組み合わせたサウンドサプレッサーの使用が標準となっている。他にもマグナム弾を採用したことで、マガジンに入る弾数も5発に減らされている。
イギリス軍は.338ラプアマグナムのモデルを「L115A1」で採用しており、2008年には最新版の「L115A3」がイギリス軍に配備されている。 - 他にも、AWのストックを折りたたみ式ストックに改良したAWF(フォールディング)や、AWMよりもさらに消音効果の高いサイレンサー内蔵バレルを装着したAWS(サプレッスド)、そのAWSを専用スーツケース内に秘匿できるようにしたAWS Covert、AWを50口径仕様に再設計した対物狙撃銃のAW50などが開発されている。
関連項目
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