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カシリビマブ(Casirivimab)/イムデビマブ(Imdevimab)とは、SARS-CoV-2感染症(COVID-19)の治療および予防に用いられる抗体医薬である。販売名はロナプリーブ®。
ロナプリーブ®は、モノクローナル抗体のカシリビマブおよびイムデビマブから構成される抗体医薬である。本邦では4例目の、軽症例に使用できるものとしては初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬である。本剤は2種類の抗体を混合して点滴静注されるため「抗体カクテル療法」と形容される。2種類の抗体を同時に使用するのは、ウイルスの逃避変異による治療効果の減弱を防ぐためである。
| 構成 | 化学式 | 分子量 | |
|---|---|---|---|
| カシリビマブ (遺伝子組換え) |
からなる糖タンパク質
|
C6454 |
約148,000 |
| イムデビマブ (遺伝子組換え) |
からなる糖タンパク質
|
C6396 |
約147,000 |
アメリカ合衆国の製薬企業リジェネロンが創製し、スイスの製薬企業ロシュと共同で開発が進められた。日本では2021年7月に特例承認を受け、ロシュ社より独占的販売権を取得した中外製薬株式会社が製造販売している。ロナプリーブ®製剤には「ロナプリーブ®点滴静注セット300」「ロナプリーブ®点滴静注セット1332」の2つの規格があるが、医療機関に配分されているのは主に1332(有効成分が1332mgの規格)で1箱に2人分(2回分)入っている。
カシリビマブ(Casirivimab)とイムデビマブ(Imdevimab)に共通する“-vimab”は、抗ウイルスモノクローナル抗体を意味するステム(語幹)である。また、ロナプリーブ®(Ronapreve®)という販売名は、“Coronavirus”からの“reprieve”(救済)に由来する。
治療に用いる場合、重症化リスク因子を少なくとも1つ有し、酸素投与を要しない軽症~中等症の患者を対象とする。重症化リスク因子について、『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き』第5.3版では参考として以下を例示している。
2021年11月、発症抑制を目的とした使用が特例承認されたが、COVID-19の予防の基本はワクチン接種であり、本剤はそれに置き換わるものではない。無症状の感染者や重症化リスク因子を有する濃厚接触者に対する予防的使用が考えられる。
SARS-CoV-2の変異株オミクロン株に対してカシリビマブ/イムデビマブの中和活性が低下するという報告があるため、オミクロン株に感染している患者やその蓋然性が高い患者には本剤の投与は推奨されない。
成人および12歳以上で体重40kg以上の小児に対し、カシリビマブ600mgおよびイムデビマブ600mgを混合して単回点滴静注するか、混合せずに単回皮下注射する。症状が出現した患者には、速やかに投与を開始する。
ロナプリーブ®を点滴静注する際は、体内に異物や細菌、空気などが入ることを防ぐため、0.2μmのインラインフィルターを用いる。また、ほかの薬剤と混合して投与せず、独立したラインより投与する。皮下注射する際は、カシリビマブ600mg/5mLとイムデビマブ600mg/5mLを混合せず、2.5mLずつ計4本調製し、腹部・大腿部・上腕部の別々の部位に投与する。
「ロナプリーブ®点滴静注セット1332」のバイアルには2回分の溶液が入っているが、1回分を使用して残った溶液は25℃までの室温で保存すれば最大16時間、2~8℃で保存すれば最大48時間使用可能である。保存時間を超えたものは廃棄する。
カシリビマブとイムデビマブは、SARS-CoV-2表面にある突起(スパイクタンパク質)を認識する中和抗体である。それぞれ、スパイクタンパク質の異なる部位に結合する。SARS-CoV-2はスパイクタンパク質を介して宿主細胞に侵入するが、カシリビマブおよびイムデビマブがこれを阻害するため、ウイルスの増殖が抑制されると考えられる。
過敏症の患者への投与は禁忌である。アナフィラキシーを含む過敏症の報告があり、症状はかゆみ、発疹、動悸、息苦しさ、冷汗、めまい、ふらつきなど。また、分子標的治療薬の投与の際にみられるインフュージョンリアクション(急性輸液反応)の報告もある。これは薬剤の投与中から投与24時間後までにみられる一過性の炎症・アレルギー反応で、症状としては発熱、悪寒、嘔気、かゆみ、発疹、息苦しさ、不整脈など。こうした副作用には、投与速度の減速や投与の中止、アドレナリンの投与、副腎皮質ステロイドや抗ヒスタミン薬の投与などで対処する。
ソトロビマブ(ゼビュディ®)は、2021年9月に特例承認された抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質モノクローナル抗体であり、軽症例に使用できる2例目のCOVID-19治療薬である。カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ®)と異なり、1種類の抗体医薬からなる製剤である。これはソトロビマブがSARS-CoV-2スパイクタンパク質の保存性の高い(変異しにくい)領域を認識するためである。
掲示板
3 ななしのよっしん
2021/09/07(火) 06:58:34 ID: MEDU2fEYrI
https://
コロナ向け第3の抗体医薬「ソトロビマブ」が認可へ。
4 ななしのよっしん
2021/09/20(月) 14:11:24 ID: 0ceuc4S7zq
>>2
ほんとだー
どうやって作ったんだろー?
頭の良い人ってすごいね
5 ななしのよっしん
2021/09/20(月) 18:47:42 ID: MEDU2fEYrI
↑マジレスだが、この手の抗体医薬の製法は遺伝子組み換え細胞の培養だ。
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最終更新:2025/12/11(木) 19:00
最終更新:2025/12/11(木) 19:00
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