ザ・サードとは (ザサードとは) [単語記事]

ザ・サードとは、富士見ファンタジア文庫から出版された星野亮著作の小説・ライトノベルシリーズおよびそれを原作としたアニメ作品である。ジャンルはSF。現在続刊中。挿絵はザ・サードⅧ（8巻）『迷宮の街の忘れ物（ゲシュペンスト）』まで後藤なお、それ以降はきみしま青が担当している。
2015年 10月に新創刊された毎日新聞出版の『μNOVEL（ミューノベル）』で完全版の刊行が始まった。挿絵は士郎正宗。

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某怪盗アニメのテーマ曲の歌詞の一部『ルパン・ザ・サード♪』とは関係ない。→まてー！ルパーン！

原作の概要

未来の地球、最終戦争によって人類が生態系の頂点から転がり落ちた後のお話。

どこまで行っても岩と砂の広がる、〈辺境〉の地で、ボディガードや砂漠案内など、様々な依頼を請け負う『なんでも屋』の少女、火乃香（ほのか）は、相棒の口の悪い機械知性体『ボギー』の搭載された戦車に乗り、偶然か運命か、あるいは彼女自身に秘められた能力ゆえか、辺境に存在する〈大戦〉の傷跡とも言うべき、多くの現象・存在・そして敵と出会い、時に解り合い、時に戦う。

本作品は基本的に、ストーリー上の主軸である本編と、短中編をまとめた外伝（短編集）で構成されている。本編は基本的に火乃香が主人公として話が進むが、外伝は火乃香以外の人物のサイドストーリーとなることも多い。本編と外伝の見分け方は、例えば一巻ならば『蒼い瞳の刀使い（ソードダンサー）』という風に、最後の単語が名詞でカタカナのルビが振ってあるのが本編である。

甲殻遮蔽モード…

後書きにはゲームハードに関する嘆き（主にセガ系ハードの衰退に関する）や政治への不満などが述べられているが、賢明なる読者諸君はスルーしているので問題はなかった。

アニメ『蒼い瞳の少女』

ノベルを原作とする『ザ・サード　蒼い瞳の少女』は2006年にWOWOW 枠で放送されている。全24話。

ストーリー・設定はほぼ原作準拠であり、原作とはストーリ上の順序が若干シャッフルされている。放送枠がWOWOWのみの放送であったことや、原作知名度も中堅レベルであったことから、マイナー作品にとどまっている感がある。

ストーリー

〈大戦〉とだけ呼ばれる人類最大にして最後の戦いによって荒廃した地球。全盛期の見る影もなく衰退した人類にたいして、容赦なく牙を向く、変質した自然環境。未知の動植物のうごめく、そんな砂と岩だらけの〈辺境〉にあってなお、人々は精一杯生きていた。

大戦後に突然現れた新人類（あるいは新知性生物）であるザ・サードは、人間社会の再構築に手を貸しもした、しかし、時に技術、こと大戦に関わった危険な超技術の類をことごとく人類から取り上げ、テクノス・タブーという大義名分のもと、人間の技術レベルの向上を監視、時には査察という名目で関わった人間ごと抹消するという手段に出ることも珍しくなかった。彼らザ・サードの管理する中央政府から離れた辺境では、査察の手も若干緩くなるかわり、ザ・サードの支援を受けることも難しく、辺境の人々は自活のため、各エリアごとの自治が進んでいた。

そんな、辺境の限られた生活地域であるエリア同士をつなぐのは、専門のキャラバンか、あるいは少数、単独でも辺境を知り、渡り歩くことの出来るツワモノの商売人　―なんでも屋くらいである。そんな、なんでも屋の一人である火乃香は、その道では名の知れた、〈刀使い（ソードダンサー）〉であった。バンダナを額にまいたその黒髪の少女は、嘘か誠か自動歩兵の装甲すら手にしたカタナで両断する、という。

そんな火乃香は今日もまた、砂上戦車のボギーとともに、辺境の地を行く。奇妙な同乗者の青年イクスや、謎めいた美人保険医パイフウとともにときに旅し、また行き着く先で奇妙な、そして神秘的な存在に出逢うこともあり、火乃香の、この大いなる大地での邂逅は尽きることがない…

小説シリーズ

本編

メインストーリーとも言うべきナンバリングがついた本編。基本的に各１巻もしくは上下巻でひとつの物語が綴られる。
基本的に火乃香が主役だが、7巻『死すべき神々の荒野（ゲヘナ〉』では保険医パイフウ先生に大きく関わるストーリーであり、続く8巻『迷宮の街の忘れ物〈ゲシュペンスト）』は火乃香がほとんど登場せず、パイフウが自身の過去に決着をつける長編となっている。

外伝

富士見ファンタジア文庫レーベルらしく、外伝作品が多く刊行されている。ザ・サードの場合、ほとんどが1冊中に短編が2～3編と、中編が1つという内容構成となっている。主人公火乃香の旅先でのちょっとした冒険譚や、彼女以外のキャラクターにスポットを当てた外伝ストーリー、本編で登場したキャラクターのその後を描いていく。『ザ・サード0 風花の舞う街で』は、パイフウの過去を扱った長編であり、厳密には短篇集ではないがここに分類する。