ジャコモ・グイドッティ

ジャコモ・グイドッティ（Giacomo Guidotti） とは、MotoGPの車両整備員である。

2017～2018年の2年間レプソルホンダに所属し、ダニ・ペドロサのクルーチーフを務めた。

2019年からはチームLCRに所属して、中上貴晶のクルーチーフを務めている。
　

略歴

アプリリア育ちで、スズキやBMWやドゥカティのマシンも経験する

フィレンツェ出身のイタリア人。

1969年7月27日生まれ。

プラマックレーシングのフランチェスコ・グイドッティ監督は、ジャコモの実弟である。この記事に2ショット写真が出てくる。フランチェスコは1972年11月25日生まれである。


2004年までアプリリアのチームでメカニックとして働いていた。

2005年から2010年まで、アルスターというベルギーのチームに所属していた。この期間の同チームはスズキのマシンを使ってスーパーバイク世界選手権で走らせており、2005年にはトロイ・コーサーがチャンピオンになっている。そのときのクルーチーフがグイドッティだった。

2010年は同チームでレオン・ハスラムのクルーチーフを務めていた。レオンからの信頼は絶大で、2人揃ってBMWワークスに移籍して、2012年まで共に戦った。レオンは2013年にテンケイト（ホンダと関係が深い名門チーム）に移籍したので、グイドッティは就職活動した。

2013年にはMotoGPのAvintiaに移り、エクトル・バルベラのクルーチーフになった。

2014年には、弟が監督を務めるプラマックレーシングに入り、ヨニー・エルナンデスのクルーチーフになった。2015年も一緒だった。2016年は同チームでスコット・レディングのクルーチーフを務めた。

2016年第9戦ドイツGPはマシン乗り換えのレースになったが、ジャコモ・グイドッティはスリックタイヤでなく、インターミディエイトタイヤをスペアマシンに付けてしまった。このことにスコット・レディングは激怒し、凄まじい剣幕でグイドッティを怒鳴り散らした。スコット・レディングは怒り出すと4文字言葉（f＊＊kとかs＊＊tなど、4文字で構成される下品な言葉。放送禁止用語になっている）を連発する育ちの悪い子で、怒るときに殺気立つタイプである。これでグイドッティの心は離れてしまった。
　

ダニ・ペドロサに誘われ、レプソルホンダ入りする

2017年からレプソルホンダに移ってダニ・ペドロサのクルーチーフになった。

ラモン・アウリンの記事でも述べたように、このときのダニ・ペドロサは「ホンダ以外の会社の気風を知っている人物と仕事をしてみたい」と希望しており、アプリリアやBMWやスズキやドゥカティを体験してきたグイドッティはぴったりだった。

また、ジャコモ・グイドッティは後述するように、良い意味で騒々しいタイプの人である。ダニ・ペドロサはかなり落ち着いた性格なので、ダニの背中を後ろから押してあげるにはジャコモのようなクルーチーフが
ちょうどよかったのだろう。

2017年のダニ・ペドロサは2勝を挙げており、なかなか好調だった。


ホンダという企業は企業機密の流出を非常に嫌がっていて、自分の陣営からスタッフが出ていくのを好まない。そのため、他所のチームから人材を引き抜こうとしない傾向がある。引き抜きをするとホンダ陣営の中で「あの人がやってきたから、自分の出世の道が閉ざされた。ホンダにいても未来がない。ホンダを思いきって退職して、他のメーカーに行こう」という雰囲気が生まれ、人材流出の危険が生じてしまうのである。

ところが、ジャコモ・グイドッティは他所から引き抜かれた。これはホンダの企業風土からすると、珍しい出来事とされる。
　　

チームLCRに移り、中上貴晶のクルーチーフになる

2018年をもってダニ・ペドロサが引退すると、同じホンダ陣営のチームLCRに移籍し、中上貴晶のクルーチーフになっている。
　

資料

このSNSに経歴が書かれている。
　

エピソード

Twitterのアカウントがあり、お茶目な画像も多い。

良い感じに騒々しいタイプの性格をしている。ライダーが走行しているときはピットの中をウロウロする。この動画やこの動画やこの動画で、立っている様子が見える。


2017年マレーシアGP予選でダニ・ペドロサが激走し、ポールポジションを獲った。そのときのグイドッティの反応はこちら。

「よっしゃー！」と言わんばかりにヘッドフォンをバシン！とやっている。これの面白い所は、隣に座っているセテ・ジベルナウ（白い服着たサングラスの人）が超冷静なところ。セテが興奮してクルーチーフが冷静、というのが普通のような気がするのだが･･･

現在もフィレンツェに住んでおり、Twitterにはフィレンツェの綺麗な建造物の画像がしばしば載せられる。画像1、画像2

MotoGPなどのレースの現場には、独身のスタッフが多い。中野真矢さんのこのページを見ると、チームスタッフの多くが独身で「彼女募集中」と言っており、レースの現場の過酷さを人々に訴えかけてくる。ところがジャコモ・グイドッティはそういう風潮から一歩離れており、奥さんと息子2人がいる。

息子さんがいて、バイクで走ることを手伝っている。
　

関連項目

• クルーチーフ(MotoGP)

• 中上貴晶　（2019年以降クルーチーフとして担当）
• ダニ・ペドロサ　（2017～2018年にクルーチーフとして担当）

• レプソルホンダ
  • ジェレミー・バージェス　（元・ミック・ドゥーハンのクルーチーフ）
  • ジル・ビゴー　（元・アレックス・クリヴィーレのクルーチーフ）
  • マイク・ライトナー　（元・ダニ・ペドロサのクルーチーフ）
  • クリスチャン・ガバッリーニ　（元・ケーシー・ストーナーのクルーチーフ）
  • サンティ・エルナンデス　（マルク・マルケスのクルーチーフ）
  • ラモン・アウリン　（ホルヘ・ロレンソのクルーチーフ）
  • アンドレア・ズーニャ　（電子制御スタッフ）
  • アルベルト・プーチ　（チーム監督）
  • リヴィオ・スッポ　（元・チーム監督）
  • 中本修平　（元・HRC副社長）

• ホンダ

• MotoGP