【分類】ブナ目ブナ科クリ属
【学名】Castanea crenata
(学名の由来)Castanea→ヨーロッパグリのラテン語古名より/crenata→葉のふちが丸みを帯びたギザギザの
【和名】ニホングリ
日本では、ニホングリはマロン(marron)ともよばれるが、元々これはフランス語でマロニエ(セイヨウトチノキ)の実を指す言葉であり、本来のクリを指すフランス語はシャテーシュ(châtaigne)である。現在、フランス国内では"châtaigne"と"marron"の両方共がクリを指す言葉として使われており、"marron"はヨーロッパグリ(Castanea sativa)を指すことが多い。
ブナ科では珍しい虫媒花である。白い雄花は不快な臭いを発し、しばしばヒトの精液の臭いに喩えられる。しかし、ここで「栗の花=イカのにおい?」と思った人は残念ながら本質を見誤っていると言わざるを得ない…!
自生北限は北海道といわれているが正確な位置は不明。北海道には栗山町や栗沢町など「栗」のつく地名がたくさんあり、入植時に確認された自生の栗に因んでいるという。
そして、歴史は非常に古く、縄文時代の遺跡から実が出土したことからも、当時から重要な食料であったことがうかがえる。また、三内丸山遺跡からは1mものクリの木の柱が出土し、これは建材だったといわれている。このことからも分かるように、材は丈夫で腐りにくいので重宝されてきた。コンクリートが普及するまでは鉄道の枕木や電柱に加工されていた。
秋の代表的な食材の一つである。栗おこわ・焼き栗・栗きんとん・栗ようかん・モンブランなどの料理に用いる。
栗の生産量は、中国が世界一であり、次いでボリビア、韓国の順である。フランスは生産量はそれほど多くないが、多彩な品種が知られている。
対して、日本固有の栗は、和栗と呼ばれており、主に和菓子(栗きんとんなど)や料理(甘露煮や栗ご飯)などに利用されている。また、焼き栗が合うシナグリに対し、煮栗が合うとされている。
国内の栗の生産量は右肩下がりを続けてきた。それには大きく理由があり、一般には安価な中国産に押されて国内産地が衰退した、と思われがちだが、栗の場合は事情がちょっと異なる。それは、主に中国から輸入されるシナグリは、非常に皮が剥きやすいのに対し、国産の和栗は渋皮が剥きにくく、手軽さにおいて大きく劣っていたのである。このため、加工品としては敬遠されることになり、剥くのが便利な中国産が多用され、また昔は甘栗(焼き栗)なども人気のおやつだった。これに加えて、クリタマバチやクリシギゾウムシなどの虫害も絶えなかったことで、国内の産地が疲弊していった。そんなわけで、栗の生産高は最も多い茨城県と西日本最大の熊本県でも数千トンに過ぎない。それから愛媛県、岐阜県と続いていき、あとは小規模な産地が点在し、沖縄県以外の46都道府県で細々と生産が行われている。
和栗は産地の規模=ブランド力に直結していないのが実情であり、国内で特に知名度の高い栗といえば、まず京都府と兵庫県にまたがる丹波地方で生産される丹波栗である。ここは奈良時代から記述がある歴史の古い産地であり、ブランド力も知名度も随一であるが、生産量はそこまで多くない(その上に、主力品種の「銀寄」は他産地からの植え替えなんですが…)。そして、和菓子などを含めて有名なのが長野県の小布施町であり、ここは栗栽培もそこそこ盛んなのだが、それより栗菓子が名物となっている(原料産地は企業秘密)。岐阜県中津川市は栗きんとんの発祥地として知られ、ここで生産される栗は恵那栗と呼ばれ、人気がある。また、栗には「筑波」「丹沢」「銀寄」「石鎚」「利平」、そして甘栗のように皮が剥きやすいと評判になった「ぽろたん」などの品種があるが、ごく一部の産地を除いて、あまり品種は認知されておらず、むしろ全国に点在する産地が「〇〇栗」(〇〇には地名が入る)としてブランド発信源となっていることが多い。
栗生産1位の茨城県の中でも特に有名な産地が笠間市であり、特に旧岩間町産は岩間の栗と呼ばれ、人気が高い。他にも飯沼栗で名高い茨城町や栗農園が多いかすみがうら市など、常総台地近辺に産地が点在している。対して、熊本県は西日本一の栗産地であり、山鹿市菊鹿地区(旧菊鹿町)は西日本一の栗まつりや山鹿和栗スイーツフェアというイベントが行われているほか、人吉盆地一帯は栗の産地が多く、栗まんじゅうで有名な山江村などがあり、球磨栗と呼ばれる。愛媛県伊予市中山町(旧中山町)の中山栗は将軍徳川家光にも献上した歴史を持つ、国内最高級ブランドの栗として名高いほか、大洲市や内子町でも生産が盛ん。
それ以外では高級品種「銀寄」(ぎんよせ、銀寄せとも)の発祥地として有名な大阪府の能勢栗、日本一のサイズを誇る秋田県仙北市(旧西木町)の西明寺栗、大正時代に最高品として表彰され、「岸根」という品種も登録された山口県岩国市美和町(旧美和町)の岸根栗(がんね栗)、生産量が希少で高級品として有名な宮崎県小林市須木(旧須木村)の須木栗などがブランド品として有名。また、埼玉県日高市は日本で初めて「ぽろたん」の量産化を始めた産地であり、「日高ぽロン」というネーミングのブランド栗がある。その他栗生産が盛んな自治体に東京都の八王子市、あきる野市、横浜市(中華街で売ってる甘栗は無関係)、愛知県豊田市足助(旧足助町)、静岡県掛川市(掛川栗)などがある。
また、かつては虫害を防ぐために化学薬品による燻蒸処理が行われていたのだが、これがオゾン層破壊物質であったため(また、健康上の問題もあったという)2013年に全廃された。したがって、今日の国産栗栽培において燻蒸が許可された薬品は存在していない(高圧ガスや高温水蒸気による代替手段が考えられているが、決定的な手段には至っていない)。…にもかかわらず、未だに薬品燻蒸やっていると思って無燻蒸を謳っている通販商品が多いけど、どういうこと?
ニコニコ動画でクリといったら、最も有名なのは「くり。」だろう。僅か12秒の動画にもかかわらず絶大な人気を博し、70万再生を記録した。現在は削除されているが、同じ内容の別動画が存在する。詳しくはくり。の記事を参照のこと。
(マロンまたはまろんの名を持つペットたち)…この他にもまだまだいそう
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最終更新:2025/01/16(木) 23:00
最終更新:2025/01/16(木) 23:00
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