MotoGPとは、オートバイのロードレース世界選手権の略称である。2001年までの旧称はWGPだった。
PS4などで同名のゲームが発売されているが、この記事ではその点に触れない。
MotoGPは、アスファルトで舗装された路面で行われる短距離バイクレースをプロトタイプ(レース専用車両)で行うものであり[1]、四輪レースでいえばF1に相当する。
2024年は3月から11月まで世界各地で全21戦が開催される。ヨーロッパ9ヶ国、東南アジア3ヶ国、中近東と南アジアと中央アジアと北東アジアとオセアニアと北アメリカでそれぞれ1ヶ国ずつ、全18ヶ国で全21戦の予定である。
重量級のMotoGPクラス、中量級のMoto2クラス、軽量級のMoto3クラスが存在し、それぞれに世界選手権がかけられている。
四輪レースにおけるF1、F2、F3の各クラスにそれぞれ似ているが、F2やF3があくまでサポートイベントやローカルイベントなのに対して、Moto2、Moto3も同等の世界選手権という扱いになっており、それぞれのクラスで最優秀のライダーは全てワールドチャンピオンとして記録される。もちろん、その格式においては重量級のMotoGPクラスチャンピオンが最も重いのは言うまでもない。
レースの結果が大半マシンの性能で決まってしまうと言われる現代のモータースポーツの中で、空力に頼りにくい・マシンをライダーが全身で操るなどの理由によって、いまだにライダーの個人的技量がレースの結果を大きく左右しうるカテゴリーであり、世界的にはF1に次ぐ人気を獲得している。
MotoGPは、エンジンの排気量により、次の3クラスに分類されている。
最大排気量クラス。英語ではプレミアクラス(the premier class)と呼ばれるので、それを和訳した言葉である最高峰クラスという名で呼ぶ人が多い。4ストローク1000ccエンジンを積んだプロトタイプマシン(レース専用車両)を使用する。
2001年までは2ストローク500ccエンジンを使って争われていた。2ストエンジンは環境負荷が高いので、廃止されることになった。
2002年から2006年までは4ストローク990ccエンジンが使用されていた。なぜ990ccという中途半端な数字かというと、4スト1000ccにすると市販公道車レースのスーパーバイク運営から「市販公道車に多い4スト1000ccエンジンを流用するつもりだ。そういうことをしていいのは我々スーパーバイクだけだ。許さない!」と猛抗議される恐れがあったためである(記事)。抗議や訴訟を恐れるため、わざと990ccという中途半端な排気量にした。
4ストローク990ccエンジンでは最高速度が上昇しすぎて危険であるという理由で、2007年から4ストローク800ccに減らされた。
しかし、諸々の事情により2012年より「800~1000cc」という規定になり、ほとんどのチームが4ストローク1000ccのエンジンを使用することになった。
このときは世界的な不景気で、MotoGPも参戦台数の少なさに苦しんでいた。参戦台数を増やすため、「クレーミング・ルール・チーム(CRT)」が設定され、市販公道車の4ストローク1000ccエンジンの改造による参加が認められた。CRTという参戦形式を作ると市販公道車レースのスーパーバイク運営から猛抗議がくるかもしれない、とMotoGP運営のドルナは身構えていたが、特に抗議はやってこなかった。なお、CRTは2012年と2013年のみ存在しただけで、2013年をもって廃止されている。
2015年までは参戦するメーカーが独自のECUソフトウェアを開発していて、その機能の充実度がマシンの戦闘力を大きく左右していた。そのため、メーカー直営ワークスチーム(ファクトリーチーム)以外のいわゆるサテライトチーム(メーカーからマシンを貸与されて参戦する)にほとんど優勝のチャンスがなくなっていた。高性能のECUソフトウェアを使いこなすには大量の技術者が必要で、それを用意できるメーカー直営ワークスチームが圧倒的に有利だった。
2014年に主催者指定の低性能なECUソフトウェアを使用するオープンクラスが始まり、2016年には全てのチームがオープンクラスに入り主催者指定のECUソフトウェアをワンメイクで使うようになった。
2024年現在はホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTM、アプリリアの5メーカーが参戦している。当然ながら各メーカー間の激しい開発競争が起こっている。バルブをニューマチックバルブにしたり、エンジンのミッションをシームレスミッションにしたり、空力パーツを導入したりと、マシンのハイテク化と先鋭化が進んでいる。先ほど述べたECU共通化を始め、ファクトリーチームに属するライダーのテスト日数を厳しく制限するなど、主催者側はそれらを抑える方向に動いているが、それでも開発が止まらないのはモータースポーツの宿命とも言える。
2021年11月には「MotoGPクラスにおいて、2024年から持続可能燃料(地中から取り出さずに得られる燃料)を40%導入し、2027年から持続可能燃料を100%導入する」という指針が発表された(記事)。環境への配慮をするという時代の流れに沿った変革をしていく予定である。
4ストローク765ccエンジンの中排気量クラス。詳しくはMoto2の記事を参照。
4ストローク250ccエンジンの軽排気量クラス。詳しくはMoto3の記事を参照。
MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスのいずれもプロトタイプ(レース専用車両。レーサーともいう)で争われる。
スーパーバイク世界選手権やスーパースポーツ世界選手権は、「アスファルトで舗装された路面で行われる短距離バイクレース」という点でMotoGPによく似ているが、使用するマシンが市販公道車であるという点でMotoGPと大きく異なっている。
最高峰クラスのMotoGPクラスのマシンは4ストローク1000ccエンジンを搭載しており、最高速度は350km/hに達する(資料)。これはF1に匹敵する速度である。
ちなみに、MotoGPがF1に及ばないところはコーナーリングである。F1は四つのタイヤで路面に接していて安定しているので、コーナーリング速度を恐ろしく高めることができる。
かつてのMotoGPは、F1と違い、空力パーツによる空力効果に頼ることがなかった。
ところが最高峰のMotoGPクラスにおいて、2015年3月からウイング形状の空力パーツを取り付ける動きが現れた。2016年6月に安全上の理由もあってウイング形状の空力パーツを取り付けることが全クラスで禁止されたが、2017年8月になって、まるでガンダムのエアインテークのようなダクト形状の空力パーツが付いたカウルが出現している。
MotoGPクラスの空力パーツは、①ダウンフォースを高めてマシンを真下の路面にしっかり押しつけてコーナーリング時やブレーキング時の安定性を高めてコーナーリング速度を速くしたりブレーキングを短距離で行ったりする効果と、②空気の流れを円滑にして直線やコーナーリングの速度を速くするという効果を追求するものである。このうち①の効果は高めれば高めるほど直線速度が遅くなるという短所があるが、②の効果はさほどの短所がなく無限に追求できるものである。2023年~2024年において各メーカーの研究の主眼は②に移っており、ドゥカティとアプリリアがその分野で優勢に立っているとされる。
空力パーツの②の効果によりバイクの後方に乱気流が生まれ、以前よりもパッシング(オーバーテイク、追い抜き)が難しくなったので、ライダーから空力パーツを非難する声がしばしば挙がっている。しかし現行の技術規則は2026年まで有効であり、空力パーツの廃止はどんなに早くても2027年になる。
2024年現在は、MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスのいずれも、主催者指定のタイヤをワンメイクで使用している。
タイヤがMotoGPクラスの車体に与える影響は非常に大きいので、MotoGPクラスにおいて常にタイヤが話題となっている。
MotoGPクラスのタイヤは太く、接地面積が大きい。このため、濡れた路面でMotoGPクラスの決勝が開催されたとき、走行するたびどんどん路面が乾いていくという現象が起こりやすい。また、タイヤ自体の衝撃吸収性が大きいので、縁石(ゼブラゾーン)の段差に乗り上げることも平気であるし、リアタイヤを浮かせたジャックナイフの状態でコーナーに進入することも行いやすい。
2008年までのMotoGPクラスは、複数のタイヤメーカーが競合するコンペ時代で、ミシュランとブリヂストンによる二分状態だった。コンペはコンペティション(competition 競争)という意味。コンペ時代は、タイヤメーカーがバイクメーカーに対して気を遣うという関係にあり、「バイクメーカーがバイクを先に作り、バイクに適合するタイヤをタイヤメーカーが作る」という状態だった。
2008年をもってミシュランが撤退し、2009年から2015年までブリヂストンのワンメイクになった。2015年をもってブリヂストンが撤退し、2016年以降はミシュランのワンメイクになっている。2009年以降をワンメイク時代という。ワンメイク時代は、「タイヤメーカーがタイヤを先に作り、タイヤに適合するバイクをバイクメーカーが作る」という状態になっている。
MotoGPクラスにおいて空力パーツによるダウンフォースが強烈になってきたので、タイヤメーカーのミシュランはダウンフォースに負けない硬いタイヤを作るようになってきた。
硬いタイヤは変形しにくく接地面積が小さくなりやすくコーナーリングが遅くなりやすくブレーキングの安定性が低くなりやすいので、各チームが勝手に空気圧を下げてタイヤを柔らかくするようになった。しかし、いくら硬いタイヤでも空気圧を低くして柔らかくすると走行中に破裂(バースト)する危険が高まってしまう。
このため2023年から空気圧規制が掛けられ、低すぎる空気圧だと罰を与えるようになった。2024年は空気圧規制に違反するとタイム加算ペナルティが与えられる(記事)。
集団の内部で走行してスリップストリームに入ると、フロントタイヤの空気圧が急激に上がってタイヤが一気に硬くなって接地面積が減り、コーナーリング速度が遅くなったりブレーキングの安定性が低くなったりしてしまう。集団の内部で走行することを想定するのなら、空気圧規制の最低限の空気圧にするか、あえて空気圧規制の最低限よりも低い空気圧にするか、のどちらかにする。とはいえ、あえて空気圧規制の最低限よりも低い空気圧にしたのに何らかのミスで集団の内部で走行できなくなったら、そのまま罰則ということになってしまう。
以上のように、空気圧規制は各チームにとって頭の痛い問題である。
2024年シーズンにMotoGPクラスへ参戦するチームを挙げていく。チームの並びは2023年のチームランキング順で、チーム内におけるライダーの並びは2023年のライダーランキング順となっている。
ワークスチームとは、バイクメーカーが直々に運営するチームであり、ファクトリーチームと呼ばれることもある。
サテライトチーム(衛星のようなチーム)とは、バイクメーカーに直属しない人物が運営するチームであり、インディペンデントチーム(独立したチーム)とかプライベートチーム(個人のチーム)とかプライベーターと呼ばれることもある。
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
89 | ホルヘ・マルティン | マドリード | 167cm65kg | 1998年1月29日 | |
21 | フランコ・モルビデリ | ローマ | 176cm67kg | 1994年12月4日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
1 | フランチェスコ・バニャイア | トリノ | 176cm67kg | 1997年1月14日 | |
23 | エネア・バスティアニーニ | リミニ | 168cm64kg | 1997年12月30日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
72 | マルコ・ベッツェッキ | リミニ | 174cm61kg | 1998年11月12日 | |
49 | ファビオ・ディ・ジャナントニオ | ローマ | 175cm68kg | 1998年10月10日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
33 | ブラッド・ビンダー | ポチェフストルーム | 170cm63kg | 1995年8月11日 | |
43 | ジャック・ミラー | タウンズヴィル | 173cm64kg | 1995年1月18日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
41 | アレイシ・エスパルガロ | グラノリェース | 180cm66kg | 1989年7月30日 | |
12 | マーヴェリック・ヴィニャーレス | フィゲーレス近郊 ロザス |
171cm64kg | 1995年1月12日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
73 | アレックス・マルケス | サルベラ | 180cm65kg | 1996年4月23日 | |
93 | マルク・マルケス | サルベラ | 169cm64kg | 1993年2月17日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
20 | ファビオ・クアルタラロ | ニース | 177cm64kg | 1999年4月20日 | |
42 | アレックス・リンス | バルセロナ | 176cm72kg | 1995年12月8日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
88 | ミゲール・オリヴェイラ | プラガル | 170cm63kg | 1995年1月4日 | |
25 | ラウル・フェルナンデス | マドリード | 179cm68kg | 2000年10月23日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
10 | ルカ・マリーニ | ウルビーノ | 184cm69kg | 1997年8月10日 | |
36 | ジョアン・ミル | パルマ・デ・マヨルカ | 181cm69kg | 1997年9月1日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
5 | ヨハン・ザルコ | カンヌ近郊アンティーブ | 171cm68kg | 1990年7月16日 | |
30 | 中上貴晶 | 千葉県千葉市 | 175cm70kg | 1992年2月9日 |
# | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
37 | アウグスト・フェルナンデス | マドリード | 180cm72kg | 1997年9月23日 | |
31 | ペドロ・アコスタ | マサロン | 171cm62kg | 2004年5月25日 |
現在のMotoGPは、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が統括し、IRTA(国際ロードレーシングチーム協会)が参戦チームの意見をまとめ上げ、ドルナが運営を行っている。
また、2022年まではクリニカ・モビレ、2023年以降はキロン・プレヴェンシオンという移動診療車が全戦で帯同し、ライダーを支援している。
各国のサーキットが安全対策や観客収容に力を入れ、受け入れ体勢を整えている。サーキットの詳細についてはMotoGPが開催されるサーキットの一覧も参照のこと。
2003年までは鈴鹿サーキットでもMotoGPが開催されていたが、2003年に死亡事故が発生し、設備の安全性の確保が不十分であることが発覚した。施設そのものが老朽化していることもある為、翌年以降の鈴鹿開催が消滅した。なおこの事故で死亡したのは加藤大治郎。その後、鈴鹿サーキットはF1開催の基準に対応するためもあり大幅な改修を受けたが、依然MotoGPに関してはツインリンクもてぎのみでの開催が続いている。
F1などと比べると認知度は低いと言わざるを得ないが、それでも観戦席には人がちゃんと入る。
過去には多数の日本人レーサーが活躍しており、優勝経験も少なくないばかりか最高峰クラスを除けば世界チャンピオンも誕生している。なおGP250の年間最多優勝記録保持者は前述の加藤。
2024年シーズンはMotoGPクラスに中上貴晶。Moto2クラスに小椋藍、佐々木歩夢。Moto3クラスに鈴木竜生、山中琉聖、古里太陽が参戦している。
日本での地上波TVでの生中継は行われておらず、BS日テレでMotoGPクラス中心のダイジェストが放映されている。全クラスを生で視聴するには、日本テレビ系のCSチャンネルである日テレG+を視聴契約する必要がある。予選や一部のクラスをスカパー!契約者は無料で視聴できるBSスカパー!で平行して放映することもあるので、チャンネル契約を迷っている方はまずそれを視聴してみるのも手である。
ネット上にはMotoGPの情報を豊富に提供してくれるニュースサイトが数多く存在する。
ニコニコ大百科に記事があるニュースサイトやジャーナリストは以下の通り。
MotoGPのレースが行われるのは金曜日・土曜日・日曜日の週末3日間である。レースがどのように行われるか、大まかな流れを解説する。
2023年から土曜日のスプリントレースが導入され、2022年以前に比べてレースの形式が大幅に変更された。2022年以前の制度については本記事の2022年11月14日の過去ログを参照のこと。
金曜日はMoto3クラスとMoto2クラスがFP(エフピー)とP1(ピーワン)を行い、MotoGPクラスがFP1(エフピーワン)とP(プラクティス)を行う。
金曜日午前 | 金曜日午後 | |
Moto3クラス | FP | P1 |
Moto2クラス | FP | P1 |
MotoGPクラス | FP1 | P |
FPはFree Practice(プラクティス)の略で、「自由な練習走行」という意味である。自由というのは、「いくら速く走っても予選のQ2に行けるかどうかにはまったく関係しない」という意味である。各ライダーは、サーキットに慣れるための走行をしたり、新規に導入された部品のテストなどを行ったりする。
P1やPの中の「P」という文字はPractice(プラクティス)の略で、「練習走行」という意味である。予選におけるQ2直行を目指す真剣勝負の場になっている。
Moto3クラスはFPとP1の両方とも35分間で、Moto2クラスはFPとP1の両方とも40分間で、MotoGPクラスはFP1が45分間でPが60分間である(資料)。
2023年第9戦イギリスGPからMotoGPクラスの金曜日午前がFP1になった(記事)。それ以前はMotoGPクラスも「金曜日は午前がP1、午後がP2、どちらも予選におけるQ2直行を目指す真剣勝負」という体制だった。
金曜日に「いくら速く走っても予選のQ2に行けるかどうかにはまったく関係しない」というFPが存在しないのはMotoGPクラスの各チームから大きな不満が上がっており、そうした不満に対応した[6]。
土曜日の午前中にMoto3クラスとMoto2クラスのP2(ピーツー)がいずれも30分かけて行われる。
また、土曜日の午前中にMotoGPクラスのFP2(エフピーツー)が30分かけて行われる。金曜日のFP1と同じように、いくら速く走っても予選のQ2に行けるかどうかにはまったく関係しない。
土曜日午前 | |
Moto3クラス | P2 |
Moto2クラス | P2 |
MotoGPクラス | FP2 |
Moto3クラスとMoto2クラスはP1とP2でタイム計測を行い、選手AがP1~P2の中で記録したタイムの中で最も優秀なタイムを「選手Aのコンバインドタイム」と認定する[7]。コンバインドタイムが優秀な順に選手を並べ替え、上位の選手を選ぶ。
MotoGPクラスは金曜日のPでタイム計測を行い、タイムが優秀な順に選手を並べ替え、上位の選手を選ぶ。
Moto3クラスとMoto2クラスは上位14人の選手を選び、MotoGPクラスは上位10人の選手を選ぶ。それらの選手は、予選のQ2(キューツー)に直接進出する。
予選のQ2に直接進出できなかったライダーたちは、予選のQ1(キューワン)に参加する。Q1やQ2のQはQualify(クオリファイ)の略で、「予選」という意味である。Q1は15分間で行われ、Moto2クラスやMoto3クラスなら上位4人がQ2に進むことができ、MotoGPクラスなら上位2人がQ2に進むことができる。
Q2も15分間で行われ、ポールポジション(スタート順位の1番手)を巡って熾烈な争いとなる。
以上のようなQ1・Q2は、MotoGPクラス~Moto3クラス~Moto2クラスの順番で行われる(資料)。
Q1(キューワン) | Q2(キューツー) | |
Moto3クラス | P1~P3における上位14人から外れた下位ライダーたちで行われる。1番手から4番手ライダーはQ2に進むことができ、5番手以下のライダーは決勝グリッド19番以下が確定する。 | P1~P3における上位14人と、Q1を勝ち上がった4名のライダーで行われる。このQ2で決勝グリッド1番から18番が確定する。 |
Moto2クラス | ||
MotoGPクラス | P1~P2における上位10人から外れた下位ライダーたちで行われる。1番手と2番手ライダーはQ2に進むことができ、3番手以下のライダーは決勝グリッド13番以下が確定する。 | P1~P2における上位10人と、Q1を勝ち上がった2名のライダーで行われる。このQ2で決勝グリッド1番から12番が確定する。 |
ここで、余談ではあるがP1~P3やFP1~FP2やQ1~Q2におけるテレビ画面の様子を解説しておく。選手の名前の近くに赤色・オレンジ色・灰色の棒が1~4本並べられている(画像1、画像2)。MotoGPではサーキットを4分割してsector 1(セクターワン)、sector 2(セクターツー)などと呼んでいて(画像)、左から1番目の棒はsector 1の走行状況を示し、左から2番目の棒はsector 2の走行状況を示している。赤色の棒は「『すでに有効となった各選手の区間タイムの中で最速のもの』よりも速いペースで走っている」という意味であり、オレンジ色の棒は「『すでに有効となった自分の区間タイムの中で最速のもの』よりも速いペースで走っている」という意味であり、灰色の棒は「『すでに有効となった自分の区間タイムの中で最速のもの』よりも遅いペースで走っている」という意味である[8]。左から2番目の棒が赤色だったら「sector 2で全選手の中で最速のペースだ」と判断することができ、左から3番目の棒が灰色だったら「sector 3で何かミスをしたのだろう」と推測することができる。また、選手の名前の近くにESTIMATED 1(エスティメイティッド・ワン)と表示されたり(画像)、ESTIMATED 4と表示されたりする(画像)。これは「この調子で走ると1位になるだろう」「この調子で走ると4位になるだろう」という意味である。
Moto2クラスのQ2を終えてから、MotoGPクラスのスプリントレースが行われる。
スプリントレースは決勝レースの半分の周回で行われ、与えられるポイントも決勝レースの半分程度である(資料)。
正式名称は「スプリント」であるが(記事)、「スプリントレース」と呼ばれることが多い。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | |
ポイント | 12 | 9 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
決勝レースでは走路外走行を5回行うとロングラップ・ペナルティになるが、スプリントレースでは走路外走行を3回行うとロングラップ・ペナルティになる。
このスプリントレースは「余興」という位置づけであり、スプリントレースでの勝利は正式な勝利として認められない。とはいえかなり多くのポイントを与えられるので真剣勝負になる。
スプリントレースのスタートはQ1~Q2で決まった順位で行われる。そして、スプリントレースでどのような結果を残しても、日曜日の決勝のスタート順位に影響を与えない。つまり、Q1~Q2で決まった順位で2つのレースを行うわけであり、Q1~Q2の重要性が格段に増した。
スプリントレースに関して、ライダーは賛成派と反対派の2つに分かれた。賛成派はマルク・マルケス、マーヴェリック・ヴィニャーレス、ヨハン・ザルコ、ミゲール・オリヴェイラ、ブラッド・ビンダーであった(記事1、記事2、記事3、記事4、記事5)。特にマルクとマーヴェリックとヨハンは「体力勝負ならどんとこい」という感じのフィジカルモンスター(体力お化け)なので、いかにも賛成しそうであった。
日曜日の朝に「朝のウォームアップ(morning warm up)」が行われる[9]。
Moto3クラスとMoto2クラスは行われず、MotoGPクラスは10分間であり(資料)、この時間を使ってマシンの最終調整を行う。2022年までは全てのクラスで朝のウォームアップを行っていたのに、2023年からMoto3クラスとMoto2クラスの朝のウォームアップが廃止され、大きく非難されている[10]。
日曜日の11時頃にMoto3クラス決勝、12時20分頃にMoto2クラス決勝、14時頃にMotoGPクラス決勝が行われる(資料)。どのクラスも決勝レースの走行時間は40分~45分程度である。
土曜日の予選で決まった順位のとおりにマシンを前から並べて、決勝レースがスタートする。1番手から3番手が1列目(ファースト・ロー First Row)、4番目から6番目が2列目(セカンド・ロー Second Row)、といった具合に、3人ずつで1つの列を作る(画像)。
ここで、余談ではあるが決勝におけるテレビ画面の様子を解説しておく。芸が細かいことに、首位を走行するライダーの顔写真は笑顔のものを使い、2位以下を走行するライダーの顔写真は仏頂面のものを使っている(画像)。また、画面左側にライダーのゼッケンと名前が並ぶが、その横に赤いマークや黄色いマークなどが付くことがある(画像、公式サイト記事)。赤い時計のマークはファステストラップ(fastest lap)という意味で、最新の周回において全選手の中で最も速い周回タイムを計測したことを表す。虫眼鏡のマークは調査中(under investigation)という意味で、これから罰が与えられるかもしれないライダーに付けられる。灰色で三角形のビックリマーク(!)は「走路外走行をすでに3回行っている」ということを表している[11]。黄色で丸いビックリマーク(!)は、その選手に何らかの罰が与えられることを表していて、ロングラップ・ペナルティ(long lap penalty)という罰を与えられることが多い[12]。
レースが終わると、ライダーに対して順位ごとにポイントが与えられる。16位以下のライダーにはポイントが与えられない。1位から3位までのライダーは表彰式に呼ばれ、トロフィーやスパークリングワインを渡され[13]、シャンパンファイトをする。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位 | 13位 | 14位 | 15位 | |
ポイント | 25 | 20 | 16 | 13 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
年間を通して最も多くポイントを獲得したライダーがチャンピオンになる。
MotoGPのテレビ放送では画面の下に英語で字幕が流されることがある(画像)。代表的な英語文章を紹介しておく。ちなみに医療関係の字幕についてはクリニカ・モビレの記事の末尾にて紹介されている。
【事故や違反】
Session red-flagged due to oil spillage at Turn 2 2コーナーのオイル流出で赤旗中断
incident 事故。転倒(crash)を婉曲的に表現するもの
illegal manoeuvre 違反の操縦(マヌーヴァ)
not respecting the black flag with orange disk オレンジボール旗(マシンが壊れたライダーに出される旗で、ピットインやコースアウトを勧告するもの)を尊重しなかった
ignored pit in window (バイクの操作パネルに表示される)ピットインの指示を無視した
【調査中】
#93 Marquez's overtake over #26 Pedrosa is currently under investigation #93が#26を抜いたことは現在調査中
incident involving #93 Marquez and #26 Pedrosa currently under investigation #93と#26の接触は現在調査中
incident involving #93 Marquez and #26 Pedrosa to be reviewed after the race #93と#26の接触はレース後調査される
【処分】
#28 Guevara to be dropped 3 position #28は順位を3つ降格
#28 Guevara to be demoted one position #28は順位を1つ降格
#20 Quartararo to be disqualified from race due to technical infringement #20は失格。技術的違反のため
Lap time cancelled for rider #46 Rossi due to exceeding track limit at Turn 6 #46はラップタイムの取り消し。6コーナーにおける走路外走行を行ったため。
【処分せず】
No futher action taken after reviewing incident involving #71 Sasaki and #40 Binder #71と#40の事故を見直した後の判断として、追加の処置(futher action)が行われない。お咎め無し。
【競技における指示】
All rider mandatory bike swap 全てのライダーは、バイク乗り換えを強制的に課される
white flag:All Riders are now allowed to swap bikes 白旗が掲示された。全てのライダーはバイク乗り換えを現時点で許可されている
All rider eligible for restart 全てのライダーは、再スタートに参加する資格がある
【その他】
MotoGPの各種イベントの中でもっとも人気を集めるのはMotoGPクラスの決勝である。MotoGPがどこで開催されているかで日本におけるMotoGPクラスの決勝開始時刻が変わる。
MotoGPで最も多いのがヨーロッパラウンドで、そのヨーロッパラウンドの中で最も多いのは中央ヨーロッパ時間の諸国である。その諸国は3月最終日曜日から10月最終日曜日までサマータイムを導入していて、日本との時差が7時間である[14]。
3月最終日曜日から10月最終日曜日までの期間で「中央ヨーロッパ時間諸国の14時開始のMotoGP決勝」を日本で観戦すると21時開始になるので、日本のMotoGP観戦者はとても恵まれた時間帯で観戦できる[15]。
イギリスやポルトガルという西ヨーロッパ時間の諸国でMotoGPを開催することがある。西ヨーロッパ時間諸国は中央ヨーロッパ時間諸国よりも1時間の時差があり、1時間遅れている。「いつもの時間にMotoGPクラス決勝を開催しよう」という運営の思惑が働き、「Moto3クラス→MotoGPクラス→Moto2クラス」の順で決勝が行われ、現地におけるMotoGPクラス決勝の開始時刻が早められることがある。
オーストラリアや東南アジアでMotoGPが開催されるときは、日本との時差が非常に少ない。現地時間14時にMotoGPクラス決勝を開始する場合、日本時間で15時とか16時にMotoGPクラス決勝が放映される。
「ヨーロッパラウンドのつもりで夕方からMotoGPを見ようとしたが、オーストラリア開催(東南アジア開催)なのですでにレースが終わっていて、愕然とした」というのは、日本のMotoGPファンなら一度は経験することである。
中東のカタールでMotoGPが行われることがある。ここでのMotoGPクラス決勝開始時刻はしばしば変更されているが、2021年は現地時間20時で、2022年は現地時間18時だった。
日本でのMotoGPクラス決勝開始時刻は2021年なら深夜2時で、2022年なら深夜0時である。リアタイ(リアルタイム)観戦は、体にキツい。
南アメリカや北アメリカでMotoGPが行われることがある。これらの大陸でのMotoGPクラス決勝開始時刻は、現地時間14時あたりである。
現地時間14時にMotoGP決勝が開始する場合、日本でのMotoGPクラス決勝開始時刻は、アルゼンチンGPなら深夜2時、サマータイム期間内のアメリカズGP(テキサス州)なら深夜4時、サマータイム期間外のアメリカズGP(テキサス州)なら深夜5時になる。
これは実にキツい。「アメリカ大陸で開催されるときは、リアタイ(リアルタイム)観戦するかどうか悩む。リアタイ観戦するときは翌日の会社を休む」と語るMotoGPファンが多い。
掲示板
41 ななしのよっしん
2018/01/13(土) 00:18:50 ID: EC5H7JGDx8
ヤマハのタイトルスポンサーはモンエナじゃくてモビスターじゃね?
モビスター・ヤマハ・MotoGP
42 ななしのよっしん
2022/04/27(水) 17:16:22 ID: bMVEzEVQj1
>>6
超亀レスで恐縮ですけど、やっぱり「世界最速の日本人に一番近かった男(あくまでも筆者の主観)」、故・加藤大治郎氏の事故死がデカかったと思いますね…。
もし彼が生きていれば或いは、日本におけるMOTOGPもF1並の人気を博していたかも…しれません。
コレばかりはジョン・タイターではない我々凡人には何とも言えませんが…
43 ななしのよっしん
2024/04/06(土) 00:36:32 ID: X+cm1b1ntJ
結局サラダボックスの中のマスダンパーって横向きってことで良いの?
バイクの苦手な横方向の衝撃を吸収してるとしたらフロントカウル内にもあって良さそうよな
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最終更新:2024/09/08(日) 02:00
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