スプレもんの呪い 単語

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スプレモンノノロイ

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スプレもんの呪いとは、NHKの『アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト』において、大分工業高等専門学校に長らく掛けられていた呪縛である。

以下、アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテストを「高専ロボコン」、大分工業高等専門学校を「大分高専」と記載する。

スプレもんとは

スプレもんとは、1991年高専ロボコン第4回大会『ホットタワー』において、大分高専製作したロボットの名称である。

※ちなみにこの第4回大会は、後の高専ロボコン運営方式や競技方式の基礎を作ったエポックメイキングな大会である。全大会の前に地区予選が開始されるようになったのがこの大会からであり、両国国技館が全大会の開催地になったのもこの大会からである。

『ホットタワー』の競技ルールを簡単に説明すると、以下の通りである。

つまり、たとえを多く積み上げたとしても、敵チームにさらにその上にを積まれればポイントが奪われるという、積みの技術だけでなく相手との駆け引きや戦略も重要となる競技であった。

このルールを受け、大分高専が作り上げたロボットスプレもんである。「一番上のの色のチームポイントが入る」というルールを達成するために、「積み上げられた敵チームペンキを掛け、自チームの色に塗り替える」という奇抜を通り越したコンセプトを持ったロボットである。ただし、実際には実機はスプレーではなく、の周囲からチョロチョロとペンキを垂れ流す構造であった。

「そんなの反則じゃないのか」と思われるかもしれないが、スプレもんは問題なく九州地区予選に出場した。なぜなら「台座の上に以外のものを持ち出してはいけない」というルールはなかったからだ。実際「自分たちの積んだの上にカバーやアームを置き保護する」「開始直後に素く相手方の台座を子機ロボットで覆い、積めなくする」(たとえその上から強引にを置かれても、台座や下のに接触していなければ「積んだ」とはみなされない)というコンセプトロボットは数多かった。ただ、台座の上に蓋やアームではなく塗料を撒き散らすという発想は、も想定できなかったという所であろう。

戦績は残念ながらアッサリと九州地区大会初戦敗退に終わったものの、の上から大量のペンキが流れ落ち、フィールド上にが広がっていく衝撃的な映像は、NHK電波を通じて日本お茶の間に発信されていった。

スプレもんの功罪

「いかにを積むか」ということがめられた『ホットタワー』において、を積むことなど全く考えず、「一番上のが自チームの色ならポイント獲得」というルールを達成するための色を塗り替えるという発想は、実際の大会では残念ながら、ただフィールドペンキを撒き散らしただけに終わった。 

しかし、ある意味で奇抜すぎる試みであり、またある意味直球ん中でもある試みは、後のロボコン参加者たちには驚きと笑いと要らぬ閃きを与え、NHK番組製作スタッフには「フィールドを汚すロボは後片付けがマズい」という番組構成上重要な経験を与えた。そしてこの『ホットタワー』以降、高専ロボコン公式ルールフィールドを汚損・破損する行為は全面的に禁止という項が追加された。

要するにスプレもんは、の色は塗り替えられなかったが、大会のルールを塗り替えたのである。

「呪い」

地区予選が始まったこの1991年の第4回大会以降、2004年の第17回大会に至るまで大分高専が全大会に駒を進めることはかった。これは、後発の高専である沖縄高専以外では最遅記録であり、大分高専沖縄高専が創設されるまでは「全大会に出場していない一の高専」という不名誉な称号も持っていた。(その沖縄高専も創設3年で全大会出場を決めていたりするのだが、それはまた別の話である。)

また、かつては地区大会準優勝という好成績を残したこともあったが(1995年の第8回大会『ドリームタワー』)、その時は他校のロボットとの兼ね合いで全大会進出校に選抜されないという不運もあった。

この大分高専にまとわりついていた、に見えないの呪縛。

これを揶揄して「スプレもんの呪い」と、まことしやかに囁かれた。

呪いの完結

長らくくすぶっていた大分高専であったが、2005年大会『大運動会』にて大分高専の「高床式ぱっちん号」が大会初出場を決める。さらに、2007年大会『風林火山 ロボット戦』にて「ローリングぱっちGO!」が全大会でアイデア賞を受賞する。以降も2008年大会にて「祭だぱっちん号」、2010年大会にて「お御輿ぱっちんGO」などぱっちん号シリーズが相次いで全大会進出を果たし、大会常連校と呼んでも差し支えないほどの活躍を見せる。

そして2016年大会『ロボットニューフロンティア』の九州沖縄地区大会で、「覇」が大分高専初の地区大会優勝を果たして全大会に進出する。そして、その後に開催された大会にて準優勝を果たした。奇しくもロボットニューフロンティア』は、『ホットタワー』と同じくを積み上げる競技であった。

こうしてによって掛けられた呪いは、
25年の時をえて同じくによって打ち破られたのである。

そして、30年目のロボコンで

2017年高専ロボコンは「第30回大会」という記念年を迎えた。それを記念して、高専ロボコン本大会とは別に、いくつかの特別企画が開催された。その中の1つが、『ROBOCON 30th」お祝いロボット』である。内容は、「お祝いロボットを用いて、定されたロボコン30thロゴ描いてください。」というものであった。(ちなみに、この『描く』というフレーズが出た時点で一部のロボコンファンはざわざわしていたとか・・・。)

その後ロボコン運営事務局より、お題に対してのFAQ(よくある質問と回答)が開された。先に言っておくと、FAQの内容が以下のようにユーラスな言い回しであった。

Q : 『描く』とはどういうことですか?
A : 哲学的な質問にはお答えできません。

Q : 海外に行き、ロゴを描く用ロボットに●●を●●●て描くことは問題ありませんか? 
    (原文ママ)
A : ロゴの描き方は自由ですが、武器の使用はやめてください

その中で、以下のようなQ&Aがあった。

Q : 文字を描くためにスプレー缶を使用して良いですか。

A : ロゴの描き方は自由です。スプレもんの呪いに注意しつつ、安全に配慮してください。

⇒「ROBOCON 30th」お祝いロボット製作 FAQexit

 

自由です。スプレもんの呪いに注意しつつ、

自由です。スプレもんの呪いに注意しつつ、

自由です。スプレもんの呪いに注意しつつ、

自由です。スプレもんの呪いに注意しつつ、

 

 

何・・・だと・・・?

 

 

30年ロボコン
ついに公式がスプレもんの呪いについて言及したのである。

そして、その後開催された第30回大会『大江ロボット法帳』にて、大分高専の「マリンビート」が高専ロボコン最高の栄誉とされるロボコン大賞を受賞した。もちろん、大分高専として初の受賞である。

おめでとう大分高専!!

最後に

NHKロボコン番組には、番組公式ツイッターアカウントが存在する。(上記のロボコン運営事務局とは別である。)実は2011年に、そのアカウントで「スプレもん」について言及されたことがある。

とあるTwitterユーザーの、

高専ロボコン史上の「その発想はなかったwwwランキングトップは間違いなく「スプレもん」だよね!!異論は認めないよ!!

というツイートに返信する形で、公式アカウントは以下の文章をツイートしている。


たとえ呪いがなくなったとしても、スプレもんの残した伝説はみんなの心に今も明るく色付いている

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