ファブリックナショナル(Fabrique Nationale de Herstal)とは、ベルギーの銃器メーカーである。
現在の社名はFNハースタル(FN Herstal)。FN、FNHとも略される。
1889年、ベルギーのリエージュ近郊の町エルスタル(英語読みでハースタル)に設立された「Fabrique Nationale d'Armes de Guerre」がその歴史の始まりである。その名前(Fabrique Nationale:国営工場)の通り、当初はベルギー国営の造兵廠で、ドイツのマウザー社のライフルを製造するために設立された。
古くから米国人の天才銃器設計者ジョン・ブローニングと関係が深く、ブローニングハイパワー自動拳銃やM2重機関銃などの彼の傑作銃を世に送り出している。第二次大戦中にはドイツ占領下でドイツ向け兵器の生産を強いられたが、戦後には自社開発したFAL自動小銃やMAG汎用機関銃が多数のNATO諸国で採用され、冷戦期の西側兵器メーカーの代表格と目されるほどの成功を収めた。また弾薬の開発も手がけており、NATO標準小銃弾薬として.223レミントン弾をベースに5.56mm弾薬を決定するトライアルに際して、現在のNATO標準弾薬である「SS109」を開発したのもFNである。
しかし当のFNは7.62mm弾を使用するFALの成功にあぐらをかいてアサルトライフルの5.56mm化に遅れを取り、5.56mmのFNCライフルを開発したものの先発の競争相手に出遅れて軍用小銃市場のシェアを失った結果、経営が低迷。米のブローニング・アームズ社やウィンチェスター・リピーティングアームズ社を買収、民間向け銃器分野へ進出するも、経営は改善せず、一度はフランスの国営兵器企業GIAT(現ネクスター)の傘下に入った。
現在のFNハースタルはハースタル・グループの傘下にある。ハースタル・グループはベルギーのワロニア地域政府が所有する企業であり、FNハースタルの他にブローニング・アームズを傘下においている[1]。FNハースタル自身は米国にFNH USAとFNマニュファクチュアリングという子会社を持っている。
軍用小銃市場でのシェアを失ったはいえ、現在でもFNは依然として優れた技術力を持つ銃器メーカーとして高い評価を維持している。独自開発の5.7mm弾を使用するP90やFive-seveN、米国や日本でも使われているMINIMI軽機関銃、米軍の次期小銃トライアルに提出されたSCARや独特の構造を持つブルパップライフルF2000の開発元もFNである。最近ではFNAR自動小銃やボルトアクション狙撃銃など、旧ブローニング社やウィンチェスターの影響を受けた製品も開発している。少し変わったところでは、米軍向けM16の生産などもFN(の米国子会社)がやっている。
今のところSCARが米軍に全面採用されるとかそんな特段に景気のいい話もなさそうだが、各地で開催される見本市にも新製品をちょこちょこ出品するなど企業としては精力的に活動しており、軍事趣味者にとっては相変わらず見逃せない観測対象であり続けるだろう。
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最終更新:2025/12/10(水) 19:00
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