南海50000系とは (ナンカイゴマンケイとは) [単語記事]

南海50000系(なんかい50000けい)とは、南海電鉄の特急用車両である。

概要

1994年 9月4日の関西国際空港開港に合わせて、空港アクセス特急「ラピート」用車両として製造された。
翌1995年には鉄道友の会ブルーリボン賞を南海電鉄では初めて受賞。

現在6両編成が6編成（計36両）が在籍。車両正面からよく見ると、運転台の下部に1から6までの番号が書かれており、車両番号を見なくてもどの編成なのかだいたい分かる。

外観

デザインは建築家の若林広幸が手掛け、テーマは「レトロフューチャー」。
非貫通型流線型の先頭形状で、カラーは濃紺一色。空港アクセス特急という点から、飛行機をモチーフにした楕円形の窓を採用し、内外装ともに「楕円形」で統一されたデザインになっている。

南海では初めての雲母入り塗料を採用。そのために、大井川鉄道に譲渡前提で留置されていた休車中の旧21001系１両に試し塗りしたという。

「レトロフューチャー」を見事に表現した未来的かつ、昔のロボットを髣髴とさせるどこか懐かしいデザインで、登場から20年経過したいまでも十分通用する、いやむしろまだ時代が追いついていない個性的な外観である。
鉄道ファンからは「鉄仮面」「鉄人28号」「深海潜水艦」などの愛称で呼ばれることも。

特別塗装

ラピート運行開始20周年を迎えた2014年、記念企画として以下の特別塗装車が登場している。

赤い彗星の再来特急ラピートネオ・ジオンバージョン
運行期間：2014年 4月26日～6月30日
 アニメ「機動戦士ガンダムUC」とのコラボレーション企画により、
50000系第2編成の塗装が作中に登場する組織「ネオ・ジオン」のイメージカラーである
ワインレッド色の塗装に塗り替えられ、内装も特注品のものに取り替えられた。
Peach×ラピートハッピーライナー
運行期間：2014年 9月7日～2015年 8月31日（予定）
関西国際空港を拠点とする格安航空会社 Peach Aviationとのタイアップで、第5編成の塗装を、同社が保有するエアバス A320と同じ塗装に変更。

内装

未来的な外装とは正反対の暖色系かつ木目調でまとめられたデザインとなっており、これでもかと言わんばかりに楕円形をモチーフにしたデザイン。座席のモケットはなんとド派手な豹柄！やはり内装も個性的でした恐れ入ります・・・。
その他の特色は以下にまとめる。

荷物棚は飛行機を意識した蓋付きのハットラック形状。これがまた少々使いづらい。
スーパーシートのシートピッチは余裕の1200mm。フットレストが無いのでさらに広く感じられる。
レギュラーシートの場合は1030mmだが依然足元には余裕が感じられる。
テーブルはインアーム収納式テーブルで小さいが、長くても40分ほどしか乗らないので特に不満は感じない。
電光掲示板には日本語と英語でニュース等の情報が流れる。なんと日本語と英語で別々の内容が表示されるのでバイリンガルの方には情報量2倍というありがたい仕様。
大型荷物用のバゲージスペースは客室内にあり常に目が届くため、盗難の心配は少なく安心できる。
シートは少々固めで、リクライニングシートを少し倒さないと背もたれ角度が少々垂直気味。

性能

実は最近まで南海特急車両の中では唯一の完全新造であった。（他は走行機器が廃車流用だったりする）のちに登場したサザンプレミアムや泉北ライナーの12000系も完全新造なので唯一では無くなったが、それでも数少ない完全新造である。

主電動機は三相かご形誘導電動機 TDK-6311Aを搭載、定格出力は180kW。
駆動装置はTD継手式平行カルダン方式で、歯車比は85:14。
制御装置にはGTO素子のVVVFインバータを採用しており、南海初の定速制御が採用された。2015年に機器更新でIGBTインバーターに交換された。
発進時や停止時にはあの独特の音を聞くことができる。ピィーーープイィィィンブイィィィィィンフイーーーン。
台車はボルスタレス台車 SS-137とSS-037。ユニットブレーキを採用し自動隙間調節機能も搭載している。
制動装置は全電気指令式MBSAで、応荷重装置もついている。
ちなみにファインスキッド制御装置（滑走制御装置）の取り付け準備工事済である。
補助電源装置としてGTOコンバータ・トランジスタコンバータ装置（出力 140 kVA）を搭載。こちらも機器更新でIGBTに交換された。
最高速度は120km/h。実は路線中の速度制限には当車両（ラピート）専用で別速度に設定されている箇所がある。通常の速度制限標識の下に小さくあるのがそれである。

設備

全車座席指定で5・6号車のスーパーシートと1～4号車のレギュラーシートの２クラス制。

カード式公衆電話は1・3・6号車、自動販売機は3号車にある。

4号車には「CAT荷物室」の跡がある。これは難波駅で空港チェックインを出来るようにしてチェックイン後の荷物をCAT荷物室に積み込み、関西空港到着後に直接国際線荷捌場に持って行ってくれるサービスであったが利用者が少なく廃止になってしまった。荷物積み込み用専用プラグドアもあるが、廃止になった今はもはや無駄なスペースとなってしまった。

1号車デッキにあるカウンターは、かつてスーパーシート乗客用の無料ドリンクサービスがあった跡である。

運用

主に難波－関西空港間の特急「ラピート β」「ラピート α」専用。
時々であるがイベントなどで臨時団体列車として和歌山市に、千代田工場への回送時には高野線を走る。

脱線事故による車両不足で泉北ライナーで運用された事もある。

乗り心地

電動車である2号車・4号車・5号車は特急列車とは思えない程騒音が酷い。（音鉄以外の人はスーパーシート乗車時には6号車の席を指定しよう。）2015年以降の機器更新でIGBTにしたので多少はマシになった・・・かもしれない。

また揺れ具合とシートの硬さ、リクライニング角度、静かさ等で全体的に考えると、乗車時間が最大でも40分ほどと短くはあるが「サザンプレミアム」用の南海 12000系と比べて乗り心地の点ではどうしても劣る感じが否めない。

だがそれを除いても乗ってみる価値はある色んな意味での「名車」である事には違いない。

編成表

←難波（6号車）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（1号車）関西空港→
50501（Tc1）―50001（M1）―50101(M2)―50601（T）―50201（M3）―50701(Tc2)

５０５０１―５０００１―５０１０１―５０６０１―５０２０１―５０７０１
５０５０２―５０００２―５０１０２―５０６０２―５０２０２―５０７０２
５０５０３―５０００３―５０１０３―５０６０３―５０２０３―５０７０３
５０５０４－５０００４－５０１０４－５０６０４－５０２０４－５０７０４
５０５０５―５０００５―５０１０５―５０６０５―５０２０５―５０７０５
５０５０６―５０００６―５０１０６―５０６０６―５０２０６―５０７０６

※50501と50001はスーパーシート車。
※ Ｔｃ＝運転台付付属車（クハ）・Ｔ＝付属車（サハ）・Ｍ＝電動車（モハ）