戸沢盛安とは (トザワモリヤスとは) [単語記事]

「戸沢盛安」（とざわ・もりやす 1566 ～ 1590）とは、戦国時代の出羽角館地方に一大勢力を築いた戸沢氏18代当主であり、戦国という乱世をV-MAXを発動して単騎で突っ込んでいく勇猛果敢な荒武者ぶりに定評のある武将であり、その勢いは、

「小勢をもって大敵に敗れたるはなく、互角の勢いでは敵に勝たざることはなく」

と讃えられた東北の流星である。

戦いでの勇猛果敢な姿からついた通称は「夜叉九郎（鬼九郎）」。

夜
叉
九
郎

概要

出羽国角館城主にして16代当主・戸沢道盛の子に生まれる。17代当主を継いだ兄・戸沢盛重が病弱な為、13歳で18代当主となった。

父の代から行ってきた家臣の掌握と領地経営の安定化により、戸沢盛安の代では勢力拡大が可能となり、大将でありながら常に陣頭に立ち、時には単騎で敵に突っ込んで暴れまわるといった勇猛振りから連戦連勝を重ね、角館地方の大勢力としての基盤を築いた。

その勇猛果敢さから「夜叉九郎（鬼九郎）」と恐れられた戸沢盛安だが、安東愛季との戦いでは、勝利した際に捕虜にした安東の兵を敵本陣まで届けるなど慈悲深いと言おうか、まさに「武士の鑑」と言えるような一面も見せている。

また戦闘一辺倒ではなく、織田信長とも鷹や名馬を送って誼を通じていたり、豊臣秀吉からの小田原参陣の催促状に対しても、わずか九騎の手勢のみでありながら即応して小田原に出向く事で、数は少なくともその対応速度で所領安堵を得るなど、伊達政宗でも読めなかった空気を読む外交能力を持っており、まさに完璧超人の素養を持っていた人物であったが、小田原参陣中に急な病に倒れて陣中で病没した。

この小田原参陣では海路で京都に向かうも、着いた頃には秀吉は京を発った後であり、急ぎ東海道を東へ東へひた走り、秀吉の本陣まであと一歩と迫ったが、ここで大雨で増水した大井川に阻まれいよいよ立ち往生かと思いきや、なんと荒れる大井川を泳いで渡り秀吉との面会を果たした、という逸話も伝えられている。(泳いで参った！と言ったかどうかは定かではない。)