箸休め漫画とは、エロ漫画誌に載っている非エロ漫画の総称である。箸休め枠、賢者タイム漫画とも。
エロ漫画誌に疎い人向けに説明をすると、「抜く」ことを目的としていない、ともすればエロ要素が皆無なものが1作品ほど、雑誌の真ん中や巻末に掲載されていることがある。そしてその多くはナンセンス・シュールギャグであることが多い。それらを業界用語で「箸休め漫画」と呼んでいた。ちなみに2ちゃんねるのエロ漫画小説板でもかつてはそう呼ばれていたが、今ではあまり使われていない。
「賢者タイム漫画」の呼称については、2023年4月7日発売の『二次元ドリームマガジン Volume122』にて、漫画評論家である稀見理都が提唱した。
ここで言う「非エロ漫画」とは必ずしもエロ要素が全くない、という意味ではなく、上記でも説明した通り「抜く」ことを目的としていない漫画である。例えば『ぱら☆いぞ』は乳首も性器も、なんなら行為シーンまでバッチリあるが、あくまでもそれはギャグのためのエロであるためエロ漫画ではない。という解釈になる。
エロ漫画誌になぜエロ目的でない漫画が載っているのだろうか。それを知るためにはエロ漫画誌が登場する前まで遡る必要がある。
1950年代、週刊誌ブームに乗って週刊漫画誌も多く創刊された。漫画誌とは言ってもそれ以外のものが掲載されていたことも多く、例えばお色気グラビアやゴシップ記事なども同居していた。そして漫画も今のようなものではなく、新聞4コマにエログロナンセンスを付け足したようなものが多いことが特徴だった。当時の有名な作者としては東海林さだおがいる。肝心のエロだが、ここではまだグラビア、漫画、記事に少し感じられる程度であった。
時代は下り70年代、ナンセンス系はやや下火になり、代わりにストーリー系、ヤクザ(アウトロー)系、エロ系とそれぞれに特化した作品が台頭してくる。しばらくこれらは同じ雑誌に掲載されていたが、いつしか特定のジャンルに特化した専門誌が生まれるようになる。エロ方面では1973年に日本初のエロ漫画誌『漫画エロトピア』が創刊された。(実はその前身である『漫画ベストセラー』はエロ専門ではないが、ここでは割愛する)
この当時のエロ漫画と言えば劇画タッチであり、それの箸休めとしてエロでも劇画風でもない、見慣れたナンセンスギャグ漫画が数ページ設置されていた。これが箸休め漫画の起源と言われている。
1980年に入ると美少女ブームに伴いエロ漫画の流行りも劇画風から「萌え」風へと変わっていく。それは箸休め漫画も例外ではなかった。そして内容もお色気なものが増えていき、最早箸休めと呼べないような作品も多くあった。
1987年、飼葉俊によって『きっず・とれいん』がCOMICペンギンクラブに連載された。この作品は子供たちのドタバタした日常を描く、今で言う「日常系」に近い。きっず・とれいんは単行本化されるほど人気があり、これを機に箸休め漫画は日常系に寄って行く。
1990年代には未だに連載が続く『ゲノム』、後に電撃大王へと異例の大出世を果たす『ももえサイズ』など、全年齢誌とさほど変わらない作品も増えてきた。また作風も多様化していく。ガロに例えられるほどシュールに寄り切った『牧神堂』はこの時期に連載している。
2000年代、10年代前半は箸休め漫画の単行本化も増えてきた。COMIC快楽天などに掲載された『変態生理ゼミナール』は全年齢誌モーニング・ツーに『変ゼミ』として新連載になった後、アニメ化された。その他にも道満晴明の『ぱら☆いぞ』やうさくんの『マコちゃん絵日記』といった作品もこの時期である。
10年代後半~20年代に入るとクール教信者の『ぱらのいあけ~じ』のようなしっかりとしたストーリーものも増えてきた。
一方、紙媒体全体の需要が電子にとってかわられ、単行本は出にくくなった。前々から「連載誌と出版で会社が違う」ということはよくあったが、それが顕著になる。COMIC快楽天連載の『青春リビドー山』は単行本をKADOKAWAが出しており、それについての理由を作者である位置原光ZがTwitter(現:X)上で説明している。また、そもそも箸休め漫画を設置しない雑誌もWEB系を中心に増えている。
しかしWEBエロ漫画誌に箸休め漫画がないかと言えばそんなこともなく、アナンガ・ランガでは天原によって『33歳独身女騎士隊長。』が連載されている。
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