非12平均律 単語

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非12平均律とは、12平均律、24平均律、36平均律などではない調の楽曲に付けられるタグである。

概要

1.
古典調として1オクターブを12不等分した調を使用した楽曲である。すなわち、ピタゴラス、中全音キルンベルガーヴェルクマイスターなどによる調である。

2.
12平均律や、24平均律など、12の整数倍の平均律でない調すべてのことをす。これは各種12の整数倍以外の数での平均律のほか、オクターブで循環しないボーレンピアースalpha scaleexitなどの調や、レギュラーテンペラメントexitなどが含まれる。ニコニコタグ付けされる作品のほとんどは、こちらの意味であり、XENハーモニックと呼ばれる。

XENハーモニックとして

n平均律

オクターブ自然数nで分割したものをn平均律という。

和音を構成する上で、音同士の周波数がおおよそ多単純な整数になることが協和と知覚されやすいため、その周波数率の数字を構成する要素である素数倍音が正確であることが望ましい。
オクターブは2倍の周波数であり、3倍音、5倍音、7倍音、11倍音などが、どの程度正確に出せるかということが各種平均律の性質として重要なファクターとなりうる。

周波数比の近似

周波数音程対数関数的な関係があり、音程の等分は周波数の冪となる。すなわち、n平均律のm番(n,m∈ℕ)の音は周波数 2m/n 倍となり、これは無理数となる。したがって、n平均律が2と、2のみでできる合成数を含む音程(オクターブずつ異なる全ての音程)以外から構成される周波数を正確にとることはできない。つまりは3倍音以上の素数倍音の音程は、n平均律で近似することしかできない。

各種平均律では、これらの倍音の誤差がどの程度か、という性質や、ある整数音程として近似できるものを積み重ねると、別の簡単な整数音程と同じ音程となるという性質など、それぞれに個性を持っているといえる。
(例えば12平均律では7番の音がおおよそ3/2であるが、これを4個積み重ねた28番の音は、計算上81/16となるが、これを5/4としてみなすことで音階の便宜を図っている。)

音階の構成

例えばダイアトニックケールなら、オクターブという音階の周期の中に「全全半全全全半」というように、5個の広い音程と2個の狭い音程(5L2sという)をもって構成される。また、これらの音階を構成する音は、全5度を数珠つなぎにした五度圏の一部分である。これら2つの事柄は教会旋法として転回されても変わらない。

純正律は「全中半全中全半」となっているため、音程が2種類ではないが、この「中」を「全」に一致させるよう、わずかな差を調整する。

このようにして、

  1. 音階が何らかの周期をもち、
  2. それらがある音程を数珠つなぎにしてできる●度圏の連続する一部分となり、
  3. 隣り合う音が2種類の音程で構成される

という条件を満たす音階について、音楽理論研究のErv Wilsonにより「Moments of Symmetry (MOS)exit 」という言葉が提唱されている。

ダイアトニック」と呼ばれる5L2sの旋法は、7平均律の4ステップ分の音程(685.714セント[1])から、5平均律の3ステップ分の音程(720.000セント)の範囲にある音程を7個積み上げていくとできる。そのため、この範囲に音を持つn平均律であれば、音程の、全音:半音率が大なり小なり「ダイアトニック」の旋法を構成しうる。この音程の範囲は3/2の周波数に近似でき、おおよそ全5度である。

音程の 全音:半音率は全5度のピッチのわずかな高低によって決定する。全5度が広いと全音が極端に広くなり、全5度が狭いと率の差が小さくなる。

全5度 広い --- --- --- --- --- --- --- 狭い
平均律 22 17 29 41 12 43 31 19 26
全:半 4:1 3:1 5:2 7:4 2:1 7:5 5:3 3:2 4:3
鍵盤モデル

例えば12平均律盤には、全音の間にがあり、半音の間にはない。つまり、全音が広いことはが多いということになり、半音が広いことはが多いということになる。このことから、の列の数でn平均律モデル化したものをモデルという。


鍵盤モデル

これにより、

全音の段数+段数
半音段数

とみなすことができる。

段数が段数を上回る場合、その音全5度は12平均律全5度=700セントより狭くなり、変位音の交差が発生しない。例えばソはラ♭よりも低くなる。

段数が段数を上回る場合、その音全5度は12平均律全5度=700セントより広くなり、変位音の交差が発生する。例えばソはラ♭よりも高くなる。

段数と段数が等しい場合、全音:半音=2:1であり、全5度は700セントで12n平均律となり、エンハーモニックが発生する。例えばソはラ♭と同じ盤を使用する。

音律の「硬さ」

全音と半音率に応じて、SOFT・HARDなどとネーミングする方法が、Xenharmonic AllianceというDiscordサーバー内で提案された。TAMNAMS Nameという命名の一部である。これは5L2s以外の全音と半音の配置においても共通して名前を付けられている。

TAMNAMS name 全:半 ダイアトニックでの例
Equalized 1:1 7平均律
Supersoft 4:3 26平均律
Soft 3:2 19平均律
Semisoft 5:3 31平均律
Basic 2:1 12平均律
Semihard 5:2 29平均律
Hard 3:1 17平均律
Superhard 4:1 22平均律
Collapsed 1:0 5平均律

トリターバルテンペラメント

音階の1周を、周波数が2倍の音程である「オクターブ」ではなく、周波数が3倍の音程である「トリターブ」とする方法である。n平均律が「Equal Division of Octave」の略としてnEDOと書かれるのに対し、「Equal Division of Tritave」の略としてnEDTと書かれる。

ボーレンピアース

リターブを13分割した13EDTは「ボーレンピアース」と呼ばれる。
この音では、2倍音の近似を諦め、5倍音・7倍音の近似に特化している。2倍音のずれが大きいため、オクターブに最も近い音程は不協和に聞こえる。
奇数による音程を使用した音楽に特化している。

関連項目

脚注

  1. *1:2の周波数(1オクターブ)を1200セントとした、2音がどれほど離れているかを表す単位。12平均律では半音階が100セントとなる。
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