札沼線(さっしょうせん)とは、北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線である。学園都市線という愛称でも呼ばれる。
北海道札幌市中央区の桑園駅と、北海道樺戸郡新十津川町の新十津川駅とを結ぶ地方交通線。
ただし、実際には桑園駅を起点・終点とする列車はなく、同駅に停まる列車は全て函館本線と並走し、札幌駅(一部は千歳線経由で新千歳空港駅・苫小牧駅)までを運行範囲とする。
運行形態は桑園-石狩当別間と、石狩当別-新十津川間とで大きく分けることができる。両区間をまたいで運行される列車は、札幌-北海道医療大学間を運行する列車を除きほとんどない。
桑園-北海道医療大学間は駅ナンバリングが付されており、Kitaca・Suicaも使用できる。また、この区間は2012年(平成24年)6月1日より電化区間となっている。全列車の約7割、69本が電車化された。同年10月には電車車両の増備により、桑園-石狩当別間の列車がすべて電車での運行となり、ダイヤも大幅に変更された。
札沼線を走る列車には快速や特急といった種別はなく、全列車が各駅に停車する。
札幌─あいの里公園間は住宅街を進み、地方交通線とはいえ利用客はそこそこ多い。一方、北海道医療大学駅以東は国道275号と並走する形で敷設されているが、このあたりとなると利用客も少なくなり、まさに超ローカル線といった趣となる。列車の本数が少ないので、旅行の際は並行するバスや函館本線へ抜けるバスを利用すると移動の幅が広がるだろう。
札幌駅で他の路線と繋がっているとはいえ、直通する列車の数は極端に限られている。全区間非電化だった当時は、函館本線経由の江別駅発着の列車が1日1往復(かつては2往復)あったのみで、電化後も千歳線直通列車が1日2往復設定されたのみ(函館本線への直通列車は廃止)である。そのため、別の線区で運行支障が起こり、運休や遅延が続発したとしても「学園都市線は相変わらず平常通り運転しております。」と札幌駅の改札口で案内されるのが日常となっている。一方で、札幌圏の他の路線に比べて風や雪が強くなりやすく、学園都市線だけ運休ということもままある。
「札沼線」という名は、この路線がかつて札幌駅と、北海道雨竜郡沼田町にある石狩沼田駅とを結んでいたことに由来する。1935年(昭和10年)に全線開通。しかし戦時中には石狩当別-石狩沼田が休止。戦後復活するも、1972年(昭和47年)に新十津川-石狩沼田間が廃止となった。どちらも、函館本線が比較的近かったことで利用が伸びなかったという事情があったとされる。もしもこの区間が現在まで廃止されずに残っていたら、北竜町ひまわりの里などへの最寄路線となっていたであろう。
なお新十津川-石狩沼田間が残存していた最末期は、札幌から留萌本線を経由して深川まで直通する列車が上り2本運転されていた。なお、札幌-石狩沼田を直通していた列車は一日上り5本、下り4本であった。
路線一部廃止によって路線名が実態とはそぐわないものとなってしまったことや、北海道教育大学・北海道医療大学・札幌市立高等看護学院(現:札幌市立大学桑園キャンパス)などといった教育施設を沿線に抱えることから、1991年(平成3年)に「学園都市線」の愛称を設定。現在、JR北海道の車内放送などでは、学園都市線の呼称のほうが使われている。
また沿線における大学等設立や、札幌市北部の宅地開発の進展を受け、国鉄末期~JR化後直後の1980年代から、列車本数の増加や駅の新設が行われるようになる。列車本数は札幌発の列車で、新十津川以北廃止直前の1972年(昭和47年)3月ダイヤではわずか11本だったものが、JR化後まもない1987年(昭和62年)8月ダイヤでは33本、札幌側の全列車電車化後の2012年(平成24年)10月ダイヤでは57本となっている。また札幌市内の駅数は1970年代まで5駅(桑園駅含む、札幌駅は含まない)であったものの、1986年(昭和61年)に新川駅・太平駅・百合が原駅・あいの里教育大駅、1988年(昭和63年)に八軒駅が増設されて10駅にまで増えている。
また、しばらく非電化のまま本数増などのサービス向上をしてきたものの、その後に非電化のままよりも電化したほうがコストダウンになる(周辺の路線と車両を共通化できる、気動車の製造会社が減った影響で気動車の維持コストが増大している)との判断から、北海道医療大学以南の電化工事と電車投入を行い、2012年(平成24年)6月から利用を開始している。
…と札沼線の札幌側は大きくテコ入れされたものの、新十津川側は運行形態も含めて依然としてローカル線という雰囲気である。1986年(昭和61年)には浦臼駅以北の列車本数が5往復から3往復に削減。浦臼駅の行き違い設備も撤去され、石狩月形駅-新十津川駅には1本しか同時に列車が入れなくなっている。このため、新十津川駅の始発列車は朝の9時台と非常に遅い。2016年(平成28年)3月26日北海道新幹線開業に伴うダイヤ改正では、前述の始発列車以外はすべて浦臼駅以南で折り返しの運用となり、浦臼─新十津川間の列車はついに1往復まで減便されてしまった。また、沿線に対して廃止提案もなされている。
なお、鉄道の廃止された新十津川駅-石狩沼田駅と、列車本数の少ない石狩月形駅-新十津川駅については、長らく国鉄バス(のちジェイ・アール北海道バス)がバスを運行して補完していたものの、2003年(平成15年)に撤退し、現在は北海道中央バスが路線を運行している。その北海道中央バスも2008年に碧水駅-石狩沼田駅から撤退、沼田町のバスで連絡する形となっている。
∥:複線区間 ◇、|:単線区間(◇は列車交換可能) ∧:ここより下は複線 ∨ここより下は単線
駅ナンバー | 駅名 | 接続路線 | 所在地 | 備考 | 線路 |
---|---|---|---|---|---|
01 | 札幌駅 | JR北海道:函館本線・千歳線 札幌市営地下鉄:南北線・東豊線(さっぽろ駅) |
札幌市 北区 |
正確には札沼線・千歳線の駅ではないが、札幌駅方面に向かう同路線の全列車が乗り入れるため、便宜的に記す。 | ∨ |
S02 | 桑園駅 | JR北海道:函館本線 | 札幌市 中央区 |
駅周辺にはJR北海道の本社やイオンショッピングセンター、桑園自動車学校、市立札幌病院などがある。 | ◇ |
G03 | 八軒駅 | 札幌市 西区 |
∧ | ||
G04 | 新川駅 | 札幌市 北区 |
∥ | ||
G05 | 新琴似駅 | 札幌市営地下鉄:南北線(麻生駅) | 札幌市営地下鉄麻生駅から北西に少し離れた場所にある(振替輸送対象駅)。 | ∥ | |
G06 | 太平駅 | ∥ | |||
G07 | 百合が原駅 | 近くに百合が原公園がある。 | ∥ | ||
G08 | 篠路駅 | 札幌市北区役所篠路出張所の最寄り駅。 | ∥ | ||
G09 | 拓北駅 | ∥ | |||
G10 | あいの里教育大駅 | 北海道教育大学札幌校の最寄り駅。 | ∨ | ||
G11 | あいの里公園駅 | 駅名の通り、近くにあいの里公園がある。 | ◇ | ||
G12 | 石狩太美駅 | 石狩郡 当別町 |
生チョコレートで有名なロイズの工場最寄り駅(徒歩20分、バスもあり)。 | ◇ | |
G13 | 石狩当別駅 | 当別町役場の最寄り駅。 バスで江別駅にアクセス可能(平日のみ)。2016年3月をもって廃止されました。 |
◇ | ||
G14 | 北海道医療大学駅 | 駅名の通り、すぐ目の前に北海道医療大学がある。 電化区間はここまで。 |
| | ||
- | 石狩金沢駅 | | | |||
- | 本中小屋駅 | | | |||
- | 中小屋駅 | | | |||
- | 月ヶ岡駅 | 樺戸郡 月形町 |
| | ||
- | 知来乙駅 | | | |||
- | 石狩月形駅 | 月形町役場の最寄り駅。近くに皆楽公園がある。 有人駅だが、下車時の運賃は無人駅同様車内で支払う。 バスで江別駅・岩見沢駅にアクセス可能(江別行きは平日のみ)。 |
◇ | ||
- | 豊ヶ岡駅 | いわゆる秘境駅。 | | | ||
- | 札比内駅 | | | |||
- | 晩生内駅 | 樺戸郡 浦臼町 |
難読駅名。読みは「おそきないえき」。 | | | |
- | 札的駅 | | | |||
- | 浦臼駅 | 浦臼町役場の最寄り駅。 バスで滝川駅・奈井江駅にアクセス可能(奈井江行きは平日のみ)。 |
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- | 鶴沼駅 | | | |||
- | 於札内駅 | | | |||
- | 南下徳富駅 | 樺戸郡 新十津川町 |
難読駅名。読みは「みなみしもとっぷえき」(以下同様)。 | | | |
- | 下徳富駅 | | | |||
- | 中徳富駅 | 2006年廃止 | | | ||
- | 新十津川駅 | 新十津川町役場の最寄り駅。 3kmほど離れた場所に、JR函館本線・根室本線の滝川駅がある。駅前から国道に出てバスでアクセス可能。 |
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最終更新:2024/05/06(月) 08:00
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