アーサー王 単語

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アーサーオウ

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アーサー王とは、「アーサー王物語」に登場する主人公であり、ブリテンを統べる王であり、円卓の騎士の1人である

語源

アーサーという名前だが、一説には「」からきていると言われている。
アーサー王物語」がケルト文化を受けており、そのケルトを訳すと「アルトス」。
この「アルトス」がアーサーという名前の元になっという説である。

アーサーには自分の騎士を抱擁した際、を入れすぎて圧死させてしまうエピソードがあるが、これも狩りの際に獲物を抱擁するかのように覆いかぶさる事からきているとも(そこ、こじつけじゃね?とか言わない)。

他にも、ケルト文化において戦士階級の徴であり、またラテン語名のアルトリウスも「のような人」を意味する。

上記のような説があるためか、20世紀以降に書かれたアーサー王小説の中には、軽くだがアーサーを関わらせる本もある。
コーンウェル氏の書いた「小説アーサー王物語」ではアーサーの軍旗が。サトクリフ氏の書いた「落日の」ではアーサーに当たるアルトスの異名が≪大熊≫など)

人物像

基本的に、5世紀頃の混乱の時期にあったブリテンに、平和をもたらした偉大な王とされている。

しかし、「アーサー王物語」の記事にもあるように、そもそも物語自体が非常にバリエーション豊かであり、正解と言える原典がない。
そのため、彼の人物像も、時代や書物によってちょくちょく変わる

アーサー王物語人気の火種となったと言われる、「ブリタニア列王史」ではそれこそ勇猛果敢な活躍を見せるが、それ以降では平和ボケしたような気の抜けたアーサーも多い。

また武人のように威風堂々としたアーサーや、穏やかで優しく寛容なアーサーイメージする人には意外だろうが、古い頃はオレ様気質でやんちゃなアーサーも多かった。
しかもドジっ子で、色んな事に首を突っ込んだあげく、敵に捕まったりしてえらいに遭い、ガウェインなどの臣に助けられるというパターンが多い。

そもそも「アーサー王物語」に見られる、強い敵に勇敢に1人で挑む勧善懲悪ストーリーが始まるのは、アーサーが荒れていたブリテンを定した後、つまり円卓の騎士たちを創造した後であり、アーサー自身は王として騎士たちを見送る裏方にしている。
彼が表立って活躍するのは、ブリテン定の始めと、ブリテン崩壊の終盤くらいである。

なので、1人で冒険に出て活躍するのは、あくまでアーサー騎士たちであり、アーサー自身ではない。


むしろ、彼が冒険に出ると、巨大猪の牙に引っかかって振り回されたり、魔女に騙され助けに来たランスロットたち共々閉されたり、敵に呪いをかけられ臆病にされた挙句に命乞いして捕虜にされたりと、ロクなに遭ってない。ケイ義兄さんたちのが心配です。
さらに試合では、そこまで有名でもない騎士に落させられたりと、アーサー自身の騎士としての強さも、ハッキリ言って微妙なところがある(もちろん書物によるが)。

とまぁ、オレ様でやんちゃな困った・・・おちゃめなおじさん化するアーサーもいる訳だが、これらは後々に屈強な円卓の騎士たちが物語に加えられた結果、彼らの活躍のためにポンコツ化されたせいもある。
巨人殺しや「マビノギオン」など、アーサー自身が活躍する話もちゃんとあるのでご安心を。




そして、よりもしい人の平和を願い、それに尽くす姿は多くの作品で共通している。また多くの民や騎士たちからされていたのも、彼の人柄やカリスマのおかげであろう。

彼がされた理由の一つに、味方にはかなり優しく、慈的であることが挙げられる。
マロリー版では戦で戦った騎士一人一人を抱擁してねぎらい、死んだ騎士も多くいると聞いた時はを流している。
また、聖杯探索の時も、多くの騎士たちが戻らないことを予期したため乗り気ではなく、する騎士たちが戻らないことにする場面がある(結構泣く王様である)。

反面、殺した敵のマントに縫い付けるという悪を持つ騎士が戦いを挑んだ時は、1対1でその騎士を殺し、マントをはぎ取って持ち帰るなど、敵に対しては割と苛で容赦ない。
戦いの時代であったことも考えると、この辺りも支持を集めていたのだろう。






以下にアーサー王の生涯を大まかに書くが、1つ注意点を。

前述の通り、アーサー王物語自体に、正解と言える原典がない。以下では現在流となったマロリー版を下敷きに書いていくが、あくまで「流」であって「正解」ではないのでご容赦を。
数多ある物語の1つと見て取ってもらいたい。

生涯

アーサーの出生から円卓の騎士設立まで

アーサーであるユーサー・ペンドラゴンは、敵国であるゴルロイス王の妃、イグレインをした。なんとかしてイグレインを手に入れたいユーサーは、マーリンの助言の元、ゴルロイスに戦争を仕掛け、彼が戦場で戦っている間に、自身はマーリン魔法でゴルロイスに姿を変えイグレインの元へ赴く。

の前の夫が、実はユーサーであるなど知る由もなく、イグレイン一夜を共にしてしまう。本当の夫が、既に戦場で死んでしまったことも知らずに。

・こうして生まれたのがアーサーである。アーサーは生まれてすぐにマーリンに預けられ、マーリンアーサーをエクターという高潔な騎士に育ててもらうことにした。

・ちなみにゴルロイスとイグレインには、三姉妹たちがおり、この三姉妹の長女と三女こそ、後にアーサーの宿敵とも言えるモルゴースモルガンである。ただ三姉妹からしてみれば、アーサー自分の父親をろくでもない理由で殺した、ろくでもない男の息子なので憎んでも仕方がない理由がある。この時点で人間関係ドロドロである。

・その後アーサーは、エクターによって彼の息子ケイと共に育てられ、本来ならば騎士となった義であるケイの従者となるはずであった。しかし、15歳のころに石に刺さったエクスカリバーカリバーン)を抜き、意図せずにブリテン中に自分が王であることを知らしめることになった。ちなみにこの時、ケイはエクターに向かって「がこのを抜きました」と流れるようにをついている。そういうとこだぞ。ケイ。

・戴冠の際に一悶着ありつつも、ブリテンを統括する王となるが、彼の苦行はここから始まった。ブリテンはサクソン人など、外部からの敵が戦争を仕掛けてくる危険な状態にあったのだが、そんな状態にも関わらず内乱に精を出している始末。

アーサーは自分がブリテンを統べる王と認めてもらうためにも、各地のブリテンの王たちと戦い、これを統一する。その後サクソン人などの外部の敵とも、しい戦いを余儀なくされる(話にもよるが、外部との戦いは12回あったと言われる)。

マーリンという頼もしすぎる魔術師のおかげでブリテンの王たちをさせ、サクソン人たちも一時退けることに成功するも、次は絶賛暗黒時代中のブリテンに、平和と繁栄をもたらすため内政に四苦八苦。

・理想を掲げ、それに賛同してくれる優秀な騎士たちを集め、円卓の騎士を創設。騎士たちはブリテン中を駆け回り、乙女を守護し、友を助け、悪しき習慣を続ける各地の領たちや魔女巨人などの怪物を成敗していく。またアーサーは法による統治もしており、法律の整備も行っていた。

・ちなみに外部との戦争が終わる頃に、グィネヴィアという女性一目惚れしており、政略結婚とは言え、彼女王妃として迎え入れる。円卓もこの時に彼女から献上されたと言われる。またモルゴースに騙されて(話によっては自分から迫り)契りを結び、モードレッドが生まれることになった。

アーサーの統治は、ブリテンに12年の平和と繁栄をもたらした(ちなみに12年という言葉から、彼の在位は12年と言われるが、これは内政にを入れ始めた頃からで、それ以前の戦いの期間も含めれば在位はもっと長い)。多くのする騎士たちと妻に囲まれたこの時期は、アーサー幸せの絶頂期と言えるだろう。ランスロットとグィネヴィアが不倫しなければ・・・。

アーサー王の最後

・内政が落ち着き、ブリテンが平和になった頃、アーサーの元にローマから使者がやってくる。
 「貢物をよこせ」という失礼極まりない内容に怒り、アーサーローマ戦争をすることに。

ブリテンのことはグィネヴィアとモードレッドに任せて、ローマに遠征に行くアーサー
 ローマでもしい戦いを繰り広げ(ちなみに物語によっては、ケイとベティヴィエールはこの戦で戦死している)、そこを制圧することに成功する。

・が、なんとモードレッドが反逆し、自分が王と名乗りグィネヴィアと結婚しようとしていた。

・急遽ブリテンに戻るも、モードレッドとの戦いでガウェインは死亡してしまう。アーサーモードレッドを打ち破ることに成功するが、自身も瀕死の重傷を負う(この戦でモードレッド一騎打ちしたかどうかも物語によって異なる)。

アーサーは傷を癒すため、アヴァロンへと立っていった・・・・・。




・・・・・と、ここまでが、ランスロット物語に導入される前の話。

ランスロットが導入されてからは、アーサーの最後も大きく異なる。




・まずランスロットとグィネヴィアの不倫モードレッドとアグラウェインによってにされ、アーサーはグィネヴィアを火刑にせざるを得なくなる。

・前述のとおりアーサー法律によってブリテンを治めていたため、王である自分がそれに従わないことはにとっても民にとっても不とし、苦渋の決断をした。

・グィネヴィアを火刑する時が来たが、その時にランスロット参上し、ヒーローよろしく乱闘の中でグィネヴィアを救出することに成功。

・2人を愛していたアーサーは、王妃を救った騎士感謝し、今回の事件の解決はほとぼりが冷めるまで待ち、その間に2人が助かる方法も見つけることに・・・なれば良かったのだが、この乱闘で致命的な悲劇が起こる。

・ガウェインには、ガレスとガヘリスというするがいた。特にガレスは自分を騎士にしてくれたランスロットを敬愛し、また円卓の騎士の中でも人格者として知られ、ガウェインはもちろん、ランスロットからもされていた。そんな彼を、あろうことかランスロットが誤って殺してしまったのだ。

・ガウェインの激怒は「激怒」という言葉で片付けられるものではなかった。王妃を連れ去ったランスロットに怒る貴族たち、またガウェインの怒りの訴えを聞き、アーサーランスロット戦争を仕掛けざるを得なくなる。

アーサーランスロットも戦う気などなかったが、周りがそれを許さなかった。
この戦争アーサーは、ランスロットの義ボールスに落され、殺されそうになるが、それを見たランスロット激怒ボールスを止めると、アーサーに乗せ、この戦争を終わらせて欲しいと懇願した。ランスロットかっけぇな。

友の心にを流すアーサーは、ローマ法王の介入が手助けとなり、ランスロットと休戦を結ぶことに成功。彼を追放し、フランスへ帰らせることにはなったが、グィネヴィアはアーサーの元に帰ってくることができた。

・しかし怒りが修まらないガウェインは、ランスロットと再び戦うようアーサーに要。この時のアーサーは、かなり精的に憔悴してしまっており、正しい判断ができなくなっていた。そのため、グィネヴィアとモードレッドのことを任せて、フランスに渡りランスロット荒らしてしまう。

ブリテンに栄をもたらし、そして仲間同士でもあったランスロットとガウェインは決闘を繰り返す。そんなする2人が殺し合う姿に、アーサーは悲しみによって病気となってしまう。そんな中、モードレッドが反逆を起こしたと知らせが入る。

・急遽ブリテンへと戻り、モードレッドに対して優勢に戦うことができるも、この戦いによってガウェインはランスロットとの決闘で負った傷が致命傷となり、命を落とす。

・命を落とす間際、ガウェインはランスロットに今までのことを謝罪し、どうか王を助けて欲しいと手紙を書いた。ガウェイン・・・

・その後はランスロット導入前と大体一緒で、カムランの戦いでモードレッドを討つことに成功するも、アーサー自身も致命傷を負い、エクスカリバーをベティヴィエールに返還させると、アヴァロンへと立っていった。

・・・・・と、長くなったが、ここまでが現在流な、アーサー王の最後である。

現在流となっているマロリー版やそれを元にしたアーサー王物語を読むと、途中からランスロット主人公っぽくなり、その分アーサーが割り食ってるイメージがある(一番割り食っているのは間違いなくガウェインだが)。
が、一応言っておくと、アーサー王の生涯を最初に一つのものとして書いたと言われる「ブリタニア列王史」などでは、登場人物もまだ多くないため、それこそ「戦いの王」という呼称がぴったりなくらいに活躍している。
しかし物語も登場人物が増えてくに連れ、アーサーの活躍が省かれたり、他の騎士が代用したりして、だんだんと「戦う王」というよりも、騎士たちをまとめる「見守る王」という立場に変わっていった。
流になったマロリー版を読んで、「あれ?王様あんまり活躍してなくね?」って思うのはこのためである。

関連人物

・グィネヴィア
アーサーする妻。アーサーが死んだ後は、自身の罪を受け止め出している。しかしマロリー版以前の話では、アーサーを裏切りモードレッドの妻になるなど、彼女も性格の違いが著しい。

・ケイ
アーサーの義。多くの作品で口も性格も悪い騎士として書かれているが、初期の作品ではアーサーに仕える勇猛な騎士の1人であった。「マビノギオン」では明らか人間とは違う何かとしか言いようがないを持っている。
ちなみに義という設定は後付けである。

ランスロット
アーサー友にして、理想の騎士と称される完璧超人ぶっちゃけアーサー王物語」の主人公と言っていいくらいに活躍しており、ガウェインに並んで人気も高い。
人助けを本業とする善人だが、望んで敬する王が高みへと昇る手助けをした後に、望まずにそこから突き落とすという、なんとも困った人物でもある。

・ガウェイ
アーサーする騎士の1人であり、する甥。「ブリタニア列王史」でも活躍している。
ランスロット導入前ではそんなことないのだが、復讐心が強く、終盤ではその復讐心により王を多大に困らせている。しかし基本的に勇猛果敢で寛大な性格でもあり、彼に救われた乙女も多い。というか、マロリー版が有名なだけで、礼儀正しく女性を敬う立騎士であり、ランスロットとも固い友情で結ばれているガウェインも多く存在する。
尽きる前にランスロット手紙を書く姿は、アーサー王物語の中でも屈名場面と名高い。

モードレッド
アーサーとの間に産んだ不義の子であり、ブリテンが滅びる原因を作った1人。
だが、アーサーと契りを結んだ後、マーリンから「5月1日に生まれた子供を滅ぼすだろう」と予言され、5月1日に生まれた子供赤子を含め、に乗せに流すという暴挙を行っている。この事を母親から聞かされ続けた彼の憎しみも考えると、なんとも言い難い。
ちなみに、物語によってはガウェインたちと同じく甥設定のこともある。

モルガン
アーサー父親違いのであり、かつアーサーたち円卓の騎士の敵役として名をはせる。
が、そもそもという設定自体が割と後期になって作られたものであり、それまではアヴァロンの領であり、アーサーをアヴァロンへと導く役割を持つ、というどちらかというと味方寄りな存在だった。
ちなみにアーサーと不義の息子を生むのは長女モルゴースで、実際に色々邪魔してくるのは末のモルガンである。たいてい混合されるが。

マーリン
人間夢魔の間に生まれたとされる魔術師
すこぶる有能魔術師で、ぶっちゃけ彼がいなかったら、アーサー物語の初めで死んでいた。でもアーサーの出生に関しては、もっと何とかならなかったのだろうかと問いたい。

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