食堂車 単語

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ショクドウシャ

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食堂車とは、鉄道車両分類の一つである。内に供食設備を設けているもの。

の利便性向上に伴い、既に古典的なものになりつつある。

本項では半室の食堂車であるビュッフェについても扱う。

概要

内で食堂車を表す文字としては「シ」がある。
全盛期にはほとんどの長距離列車に食堂車があったが、現在JRでは、カシオペアに、それ以外では、ゆふいんの森のビュッフェなど、一部観光列車などにわずかに残るのみである。つい最近では北斗星トワイライトエクスプレスにもあった。

かつては、長距離列車には不可欠のものであった。
列車の両数・本数が少なかったこと、新幹線などの高速鉄道でもスピードが(現在べれば)低く所要時間がかかったこと、設備の効率的活用と言った概念確立されてなかったことなどがな理由である。

しかし、時代の経過に伴い、これらの問題が解決していくと、食堂車は淘汰されていくようになった。
特に、エキナカ設備の充実と利便性の向上、駅弁の品質向上とバリエーションの増加、そして売れ筋商品のみを集中的に集めるなど車内販売サービスが充実したこと(座ったまま人気弁当を購入できるようになった)ことが大きい。

鉄道技術が成熟したすべてに共通する流れであるが、とりわけ鉄道に関してはダントツで最先進国である日本は、いちく減少傾向にあった。
日本国外ではまだ食堂車は多く残っているようだが(特にアメリカなど非常に長距離を走る路線がある)、減少傾向には変わらない。
最近では淘汰も行きつくとこまで行った感がある。
現在では、長距離の移動に不可欠なもの、と言うよりは、広いスペース色と共に良質な食事をゆったりと楽しむ、といった、観光列車の要素として認識されている。

寝台列車などと違い、他の移動手段に殺されたというよりは、エキナカと販に進化したとも言えよう。

国内の食堂車の歴史

食堂車の始まりは1889年の山陽鉄道現在山陽本線)にさかのぼるとされる。
この山陽鉄道は先進的なサービスで知られ、現在JRにも、山陽鉄道流とするサービスが多く残っている。

この頃の食堂車は非常にな設備を持っていた。1、2等グリーン車)の客しか利用できず、身なりを整えることなどが要されていた。これは、乗客すべてを対とした供食施設というよりは、上等客サービスの1つとして導入されたためであった(瀬戸内海を進むに設備面で対抗していた)。 

ちなみに、この最初の食堂車の食事を後に請け負うのは、日本初の構内食堂を開店した「みかど」であった。

その後、3等普通車)の客にも食堂車が徐々に開放されていった。ただし、3等の客が1・2等の食堂車に入り込んだりするのは厳しく禁止されていた。
戦前特急急行列車の他、普通列車準急列車にも食堂車が連結され、もちろん長距離特急列車などには必ず食堂車があり、食堂車は栄を極めた。

戦争中に一旦中断となるが、戦後復活。この頃になると、客のランクによって列車を分けることもなくなった。
これ以降、日本食堂のみが独占していた市場にも、徐々に新規参入会社が増加、競争原理が働くようになり、食堂車は再び栄を誇った。 

1958年には、ビジネス特急として始まった「こだま」に、最初のビュッフェが導入された。この時は3等と合造であった。ただし、厨房に一切の熱がないため、サンドイッチコールミートなど調理済みの冷たい料理しかなく、しかも立食であるなど、決して快適ではなかったようだ(60年代に入って電子レンジが導入されると善したようだ)。

同じ1958年ブルートレイン「あさかぜ」の食堂車の厨房全電化され(それまでは電気使わない氷冷蔵庫、石炭コンロだった)電気冷蔵庫電子レンジ電気コンロ(現在だとIH調理器に変わりつつある)になり、今後製造される食堂車は全電化されたものに変わる。

1964年東海道新幹線が開通した時も、ビュッフェ・食堂車は連結されており(食堂車は山陽新幹線全線開通後に連結)食堂車にあるスピードメーターで時速200キロで走っているのが分かった。当時世界最速の列車にも食堂車があったのである。

しかし、この黄金時代は長く続かなかった。
1970年代に入ると、食堂車はどんどん減少していく。
これは、上述した通り列車スピードが向上してきたことに加え、1972年に発生した北陸トンネル火災事故などがな原因であった。
北陸本線敦賀駅-南今庄駅の間にあるこのトンネルにおいて、急行列車きたぐに」の食堂車から火災が発生、非常ブレーキトンネルの中でかけたが消火作業は難航し、列車が身動きが取れず、更に深夜帯だったことも重なって死者30人を出す大惨事となった。出火原因は当初石炭コンロでの火災が原因と思われ石炭コンロ搭載の旧食堂車が一斉に編成から外されたことがあった、結果は電気暖房装置のショートによるもので石炭コンロが原因ではなかったものの石炭コンロ搭載の食堂車は編成から復活することはなかった。(揺れてる中で調理しないといけないので火を使った料理は危険と判断されたものと思われる)

加えて、狭いスペースに限られた食料を持ち込まなければいけないことからメニューがいつまでたっても乏しかったこと、内の乗客しか需要がないために回転が悪化したこと、更には飲み物一杯だけ注文して長時間居座る不届き者が急増し、更に回転率が悪くなるという悪循環が発生したこと、など、悪条件が増えていった。
ガタガタ揺れる中で調理したり、このような客を相手にしなければいけない割に薄給であるというブラックな労働環境が、人員の減少にも拍をかけた。 

こうして食堂車は減少傾向が続き、国鉄末期からJR発足後にかけて、とうとう本格的な撤が始まった。

この頃から、JRをはじめ鉄道各社は、固定資産税の優遇などを利用してエキナカなどによる構内のサービス充実に本格的にシフトしていった。
エキナカ施設での駅弁は、事前の購入が必要ではあるものの、品えと値段が食堂車にべて大幅に善されており、人気一気に高まっていった。
内でも、わざわざ歩いていかなくてはならない食堂車よりも、席に座ったままで売店の方が来てくれる、車内販売サービスの方が人気を得ていった。

国鉄末期には、普通行列の食堂車は全された。
新幹線の食堂車も(そもそも新幹線列車の構造上及び性質上、食堂車に向かないとされている)人気はどんどん減少していき、JR発足後の平成10年代には、東海道・山陽新幹線から食堂車が姿を消した。

残るはいわゆる寝台特急夜行列車のもののみとなったが、こちらはもちろん、新幹線網・航空網・夜行バスの発達により、列車自体が淘汰されていった。九州ブルートレインの食堂車などは、列車の撤に先んじて次々と営業を終了していった。

平成20年代に入ると、所要時間が短くても観光列車サービスとして食堂車やビュッフェ(カフェ列車)の連結がなされることになった。
不可欠な供食サービスから、観光用・娯楽用の設備へと本格的に役割が変わったといって良いだろう。特に私鉄などではこれが顕著で、食堂車は僅かながら増えているとも言え、寝台特急カシオペアが新設された時などは、しいJRの食堂車の増加例となった。
後述するとおり、これらの寝台列車の食堂車は、いずれも非常にな装飾と食事ウリである。

最終的に、食堂車は北斗星カシオペアトワイライトエクスプレス北海道へ向かう寝台特急のみとなった。
そして平成27年になると、北斗星3月(臨時運用は8月まで)にトワイライトエクスプレス3月止、残ったカシオペア平成28年北海道新幹線開業とともに止となり、団体用クルーズトレインを除いては食堂車は消滅した。 

総括すると、2010年代に入った現在、既に食堂車は車内販売とエキナカに進化しきっており、本格的な復権(と言うよりも退行といった方がいいか)は今後もあり得ないと言ってよい。(エキナカも進化しすぎて一部の特急列車車内販売止もあったりする)
スピードよりも娯楽性を重視した長距離列車がこの先導入されれば、それに付随して、さらにな食堂車が生まれるかもしれない。 

最近の食堂車

北斗星

定期列車としては最後まで残ってた食堂車連結列車である。名前は「グランシャリオ」で、7号連結されている。

終日禁煙。また、個室内などにあるスリッパで食堂車に入ることは出来ない。
時間割は食堂車前のに掲示されている。

混雑時には相席の場合もある。

食堂車の隣にはミニロビーがあり、飲料の自動販売機や共用のシャワー室がある。シャワー室を使いたい場合もこの食堂車のお世話になる。食堂車でシャワー券(310円)を購入すればシャワーの利用も可である(シャワーのセットは別料となる、嫌なら自分で用意しよう)。

弁当や記念グッズなどの販売もある。

2015年3月13日定期運行を終了し、同年8月21日の運行を以て止。

ディナータイム

用日の1ヶ前から3日前までの間にみどりの窓口食事券を購入した乗客のみ利用できる全予約制。

乗客はフランス料理コースもしくは懐石御のいずれかを選択する。フランス料理コースは7800円、懐石御が5500円となっている。

A寝台のロイヤルもしくはツインデラックスを利用している客は食堂車に赴かなくても予約時に申し出ればルームサービスを利用することもできる。

ただし、これは懐石御を利用した場合のみ。フランス料理を食べたいときはやはり食堂車に行かなければならない。時間も下記のうち1回めに限られている。

下り列車19時45分~21時05分までの1回、上り列車18時19時20分までと19時40分から21時までの2回である。

予約していない乗客は、この時間、食堂車の利用はできない。

パブタイム

ディナータイムの予約客が全員食事を終え、準備ができるとパブタイムに移行する。上り列車森駅から函館駅までの間、下り列車黒磯駅を通過し、遅くても郡山駅に到着する前には始まるはずである。これに関しては事前アナウンスがあるので聞き逃さないようにしたい。

値段はディナータイムメニューよりいくらか安くなっている。
ビーフシチューハンバーグの他にもおつまみライス、飲み物などなどメニューの数は意外に多く、迷うこともあるほど。ディナータイム食事券を買っていないからといって、悲観することはないだろう。

また、飲みを自動的に継いでくれる(なので、残したくない場合は、最後にを飲んでから直ぐに席を立ち、会計を支払うと良い)事が多い。

ラストオーダー22時30分でこの時間になると給仕が「ラストオーダーです」と言ってめて注文を聞いてくる。23時には営業時間が終了となる。翌を待とう。

ちなみに、上り・下りにかかわらず、上野駅でのみ食料の補充が行われているため、上り列車の場合、運が悪いと品切れもあり得るので注意。

モーニングタイム

予約不要で、翌6時30分から営業している。

ダイヤ通りならば、上り列車郡山駅に到着する少し前から、下り列車は概ね函館駅に到着する直前頃から、営業を開始しているはずである。

朝食が用意されており、和食洋食の中から選べる。いずれも1600円で、メニューは豊富。

カシオペア

食堂車の名前ダイニングカー3号連結されており終日禁煙

全体として、北斗星の「グランシャリオ」とサービス形態が似ている。
記念グッズ弁当、シャワー関係の販売を行なっている辺りも同様である。

2016年3月をもって運行を終了。同年6月より団体列車として運行予定。

ディナータイム

フランス料理コースが7800円、「カシオペア懐石御」が5500円
やはり事前食事券の予約が必要で、数に限りがあるため注意したい。

こちらは上り下り共通で17時15分~18時15分、18時30分~19時50分、そして20時10分~21時30分までの3回だが、1回に限っては、「カシオペア懐石御」のみの提供となっている。

また、カシオペアは全てA寝台であるが、その中でも特に高い(時刻表にはSAと書かれる)カシオペアスイートカシオペアデラックスの客のみ、ルームサービスを利用可フランス料理はやはり不可)で、予約時に申し出ればよい。
時間は1回のディナータイムになる。

また、ルームサービス専用メニューとして「カシオペアスペシャル弁当」がある。
こちらは3500円で、すべての乗客がルームサービスで利用できる。

パブタイム

ディナータイムが終わるとパブタイムの時間となる。やはり北斗星同様メニューは多い。
ダイヤ通りならば上り列車函館駅を、下り列車仙台一ノ関を発した後になる。

予約不要で全ての乗客が利用できる点、ラストオーダー22時30分で営業終了が23時であるのも、北斗星と共通。

モーニングタイム

6時30分から朝食メニューが用意される。
やはり値段は1600円で、和食洋食から選択でき、予約は不要。

ダイヤ通りならば、上り列車郡山駅を発した頃、下り列車八雲駅長万部駅の間程度からである。

トワイライトエクスプレス

食堂車の名前は「ダイナープレヤデス」、時刻表にはレストランカ―とも案内されている。

3号連結されており終日禁煙
メニューは季節ごとに入れ替わっている。

上り列車と下り列車で出発時間、所要時間が大きく異なるため、それぞれ予定がかなり異なっているため注意。
特に北斗星カシオペアルールが違い、同じ感覚で乗ると痛いにあう。

ただし、共同シャワー室のチケット販売はやはり同じく食堂車で行っている他、記念グッズもここで購入できる。

一般向け列車としては2015年3月止。団体列車として下記とは違う区間をしばらく走っていたが、2016年3月全に引退となった。

ランチメニュー

上り列車ではティータイム、下り列車ではランチタイムと言う。どちらも予約不要。

上り列車は発時間が遅く、乗客が事前食を済ませているという前提でメニュー提供されており、14時40分から16時まで、ティータイムとして、コーヒーなどの飲物を提供している。

下り列車ランチタイムは13時から16時まで。
メニューにはカレーライスなど軽めの食事が多く用意されており、食堂車の厨房で作られたルームサービスセット提供される。
これらは数に限りがあるのでなるべくくしたいところである。

食を提供している食堂車は、内ではこのトワイライトエクスプレスの下り列車のみである。
したがって、夕食と朝食と合わせて3食提供しているのも、この列車のみとなっている。

ディナータイム

事前予約制。フランス料理コースが用意されており、12000円と北斗星カシオペアのそれよりもかなり高価で、季節によってメニューが変化する。
1回17時30分~19時、2回19時30分~21時である。

その他、6000円で日本海懐石御がディナーに用意されており、こちらも季節によってメニューが変化するが、こちらは幕の内形式で、何と食堂車の中で食べることが出来ない。
A寝台ならルームサービスで、それ以外では4号にある展望サロンカーを使うのが一般的なようだ。

ちなみにこちらは1ヶ前から5日前までと、予約期間が北斗星カシオペアより2日短い。

パブタイム

ディナータイム終了後21時頃から23時まで営業。予約不要ですべての乗客が利用できる点は北斗星カシオペアと共通であるが、メニューは結構異なっているようだ。

モーニングタイム

札幌発上り列車6時45分から、大阪発下り列車6時から、それぞれ9時までモーニングタイムとなっている。

45分刻みの定員制で、こちらは北斗星などと違って事前内で予約する必要がある。
ちなみに、1号から予約を受け付けていくため、8-9号の開放寝台利用客は、運が悪いと数に限りがある和食を食べられないこともあるとも。 

和食洋食から選択ができる。値段は税込1575円北斗星カシオペアよりわずかに(25円)安い。

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