おやしお型潜水艦とは海上自衛隊が保有する通常動力型潜水艦である。
なお海上自衛隊にはかつておやしおという名の潜水艦が存在したが、こちらは同型艦は無く退役済みである。
概要
涙滴型船体を採用し水中性能に重点を置いた「うずしお」型、静粛性を高めた「はるしお」型を踏まえ、さらに探知能力、静粛性を向上させ、対水上艦だけでなく、対潜水艦作戦を実行できる潜水艦として開発された。[1]
おやしお型は11隻が建造された。2023年に1番艦のおやしおが除籍になっている。
ソナー[2]
船体は涙滴型から葉巻型に変更したことで、船体両側面にフランクアレイ・ソナーを設置することが可能になった。
艦首ソナーについては、従来艦ではシュノーケル航走に入るとディーゼルの雑音が回り込むためソナーを使用できなかったが、おやしお型ではラバーでソナーを固めることでこの問題を解決した。ただしラバードーム化により、観艦式で行われていた急角度での浮上、いわゆるドルフィン運動は不可能になっている。艦首ソナーや側面のフランクアレイの他に曳航アレイ(TASS)、艦首上部の逆探知ソナー、雑音監視ソナー等を持つ。
その他
セイルは単純な塔型ではなく斜めに傾けられ、船体ともども対ソナーステルスを意識しているとされる
複数のソナーは全て統合制御され、情報表示も一元化されているなど大幅に自動化がなされている。これにより優れた多目標同時対処能力、対妨害能力を持つという。
武装は水圧発射式533mm魚雷発射管6門。搭載兵装は89式魚雷と潜水艦発射式ハープーン対艦ミサイルの他、自走機雷やデコイなど。はるしお型が船体側面に魚雷発射管を装備していたところおやしお型以降は艦首上方に2段4列並べて魚雷発射管を装備している。
潜水艦の肝といえる静粛性確保には最大限の努力がなされており、船体の主要部(船体全てではなく上部等を除く)には吸音材が張られている。しかし吸音材は他国では接着剤による貼り付けが主流であるのに対し、ボルト止めとなっている。この点は次級のそうりゅう型潜水艦も同様である。このほか前級はるしお型までで培ってきた制振機構の多重化や機関の静粛化、ハイスキュードプロペラの採用などといった静粛化技術により、おやしお型は乗員が艦の増速に気づかないレベルにまで達しているという。
この他に艦の運行についても自動化が推し進められており、操舵はそれまで2名必要だったのがワンマンに、注排水システムの自動化、シュノーケル操作の遠隔化などが行われ、はるしお型より5名少ない70名での運用となっている。
このようにおやしお型はそれまで海上自衛隊が保有してきた潜水艦と比べ多くの新技術や設計変更が行われており、設計に携わった技術者が「在来型潜水艦の技術は一応の到達感を得られた」と述べていることからもその様が伺える。
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
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