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この記事は主に「TVゲーム動画のTAS」についての記事です。 その他についてはTAS(曖昧さ回避)を参照ください。 |
TASとは、TVゲーム等においてエミュレータの機能を用いたタイムアタックを行う事、およびその競技名。
本項にて解説する。
概要
TASはアクロニムであり、上記(1)もしくは(2)の略とされている。
ゲームのエミュレータの機能に搭載されている機能を使い、実行速度のスロー化やコマ送り、QS/QLによる追記(やり直し)、メモリビューア(乱数など内部数値の覗き見)などを用いて(ツールアシスト)、実機で理屈上可能だが通常の人間のプレイではとても再現できないようなスーパープレイ映像を作りだすという意味合いがある。
"Speedrun"の文字の通り、一般的にはタイムアタックを目的として行われるが、ゲーム内にスコアがあるゲームでは"Scoreattack"(スコアアタック)を行っている動画もある。タイム短縮に影響を及ぼさない範囲では魅せプレイなどの要素を取り入れている場合もあるが、最速という目的を離れ魅せプレイをメインに据えるものはTAPと呼ばれて区別される場合がある(後述)。
クリアタイムの記録は、殆どの場合が「ゲーム起動」の瞬間から「最後の操作」の瞬間までの動画での時間である[※1]。ゲーム内のメモリ数値の強制変更等を含む「チート」とは別であり、理論上は実機でも再現可能ではあるが、人間の能力上で再現可能とはいえないものが殆どである。
なお、勘違いしている者も散見されるが、TASとはツールを使ってスピード(スーパープレイ)を追求する行為の事であり、必ずしも最速である必要はない。最速でない動画に対して「遅いからTASじゃない」と文句を言ったり「現行では最速なんだから遅くてもTASだろ」と擁護するのは誤りである。また、必ずしも後述のTASVideosの基準を満たしている必要もない(あくまでTASVideosへの投稿向けに定められた基準であり、ニコニコ動画への投稿とは無関係)。
ツールのアシストを受けず、実機で実時間の短縮を目標とするスピードランをリアルタイムアタック(RTA)と呼ぶが、こちらも細かい定義がありTASでなければ全てRTAというわけでもないため詳しくは当該記事を参照のこと。
[※1] これ以外のケースもあり、レースゲームなど、『ゲーム内で計測されるタイム』を基準とする物も多い。
TAP(Tool-Assisted Performance)
主にテクニカルなプレイなど(後述 魅せプレイ)をメインに据えた動画はニコニコ動画ではTAPと表記することがあるが、これは単にタイムアタックと区別するためであり、特別に何かの目的を持った動画群と言う訳ではない。
タイムアタックでないTAS動画は魅せプレイ動画である事が多いため、ニコニコ動画では"Tool-Assisted Performance"としてTAP=魅せプレイと言う意味で用いられる場合があるが、最近は死語になりつつある。
前述の通りTASは”Tool-Assisted Superplay”の略でもあるため、一般的にTASと表現すればTAPの意味を包含する。そのため、ニコニコ動画以外のサイトでは特に区別なくTASと呼ばれている。Youtube等に投稿されるランダムルート系TASは特に表現を分ける事は無く、基本的にTASと表記されている。
理論上で実現可能な動作
前述のとおりTASにはSuperplayとSpeedrunの2通りの意味があり、ツールアシストによるプレイの総称としてTASと呼ばれる場合もあるが、スピードランとしてのTASには暗黙の了解がある。ゲームスタートからエンディングまでのクリアタイムを競うRTAとおおよそ同じルールに則るが、エミュレータの使用が基本となっていたり、実際のプレイ時間は関係なく完成したプレイ動画のタイムが記録となり、フレーム単位での比較がされるなど異なる点も多い。
平たく言えば『ゲームハード実機で理論上実現が可能である(起こりうる)』事が必要である。通常は現実世界において、人間が実際にコントローラを自身の手で操作して最速クリアなどを行うが(RTAなど)、『それを極限にまで突き詰めていくとどんな結果が出せるのか?』という問いに対しての答えがTASであるからである。
そのため、ゲームの内部数値をゲーム外部から強制変更するような「実機単独では不可能な操作を含むもの」は正規の記録としては認められない(下に記述)。その一方で、上下同時押し・フレーム単位での連打・乱数調整、プログラム内部を覗かないとおよそ不可能なバグ技など『理論上可能或いは確率的に起こりうるだけで、実際の実現可能性が絶望的に低い操作』に関しては認められている。 [※1]
実際に実機で動作可能な動画がYouTubeにアップロードされている(例:マリオ64、SMB1)
[※1] なお、上記の認められた操作はほぼ全てのTASで当たり前のように用いられているが、いきなりエンディングに飛ぶようなあまりにも特殊なバグ技やチートの利用、セーブデータやパスワードを利用したTASは特殊な記録として正規の記録とは比較されない。あくまで正規でないというだけなのでFastest crashのような特殊なジャンルも存在する。
再現性
『理論上実機で実現可能な動作』が条件であると同時に、同じゲームソフトを使用したら同じように再現できる必要がある。通常のタイムアタックは、同じゲームソフトを用いて同じ条件で最速クリアを行うので、理論上の最速値も同じ条件で導き出されなければならない。
なお、ドラゴンクエストⅣの前期ロム、後期ロムに代表されるような、生産ロットによってゲーム内のシステムが若干変更されているようなゲームソフトで主にバグ技などそれにより実現可能・不可能な操作をしている場合、大体ROMのバージョンが明記されている(投稿者が存在を知らないなどの理由で、明記されていない場合もある)。
リプレイファイル
TAS動画において中心となる作業は、『リプレイファイルの制作』である。ゲームが始まり、エンディングへ向かうまでのコントローラデバイスからの入力情報を記録する。『どこでジャンプする、どこで○ボタン、どこで×ボタンを押す』などの情報を記録していくことで、そのファイルを再生すれば同じ動作が行われる事になるわけである。
前述の『再現性』というのは、同じ使用環境において同様に再生できるという意味を含んでいる。つまり、リプレイファイルさえあれば、誰でも同様の動作を確認できるということである。通常はエミュレータを起動後、リプレイファイルをセットしてゲームを起動し、再生状況を画面キャプチャするなどして映像として録画・作成する。
リプレイファイルは下記の外部リンクにある「Microstorage」へアップロードしておくことをおすすめする。
主要機能
TAS動画を制作する際には使用するゲームエミュレータに下記のような機能が搭載されている必要がある。
- フレームレートの操作
コマ送りやスローモーションの状態でプレイして、人間には難しいフレーム単位の正確な細かい動きを実現する。 - ムービーの追記
小まめにセーブしながらゲームの操作を記録していき、失敗した際は直前のデータをロードし直して良い結果のみを残す。 - メモリビューア
メモリ内容を表示させ、その内容からアイテムの出現やエンカウントのタイミングを把握する。
いわゆる運操作、乱数調整といわれるものに力を発揮する。 - リプレイファイルの再生
操作情報等を保存・再生できる機能。TAS動画冒頭に『MOVIE START』終了付近時に『MOVIE END』と表示される場合があるのはリプレイファイルを再生している事を示している。 - Luaスクリプト機能の追加
TAS製作用のエミュレータにはLuaスクリプト機能が追加されている。
emuライブラリ、memoryライブラリ、savestateライブラリ、movieライブラリ、guiライブラリなどの主要機能(各種エミュレータの「Lua Scripting Functions」を参照)。
実例
上記のようにTASはバグ技なしなどのゲームとして成り立つ最低限の制限を課したものも存在するが、基本的には「実機で理論上可能」でさえあれば良しとされているため、極限まで突き詰めると「そういうゲームじゃねえからこれ!」といいたくなるような手法がとられる場合がある。
デバッグルーム・或いはデバッグコマンドの呼び出し
ゲーム内にデバッグルームのデータが残存している場合、通常はそこへ行く手段は存在しないのであるが、裏技(というかバグ技)を用いてそこへ移動する事が可能になればゲーム内のフラグ、仲間のステータス、持ち物などかなり様々なデータをゲーム内の操作だけで弄る事が可能になる。
そのため、このデバッグルームに最速でたどりつく手段を作成し、デバッグルームでゲーム内のフラグ(戦闘を飛ばせる、壁をすり抜けられる等)をいじくり、デバッグルームの操作でラストダンジョンへワープしてラスボスを撃破するという荒業も行われる。
デバッグルームでゲーム内のフラグを強制的に変更するなど、まるで『チート』であるかのようなイメージがあるが、前述の通り、デバッグルームには実機でゲーム内の操作だけで移動する方法が存在していて、『実機で実現可能』であるので、TASの語義に照らせば、なんら問題のない手順である。
▼当初問題になった動画 |
▼TASVideosのルール上はこの辺がギリギリらしい |
ドラえもん4 TAS(1分04秒)の件について(パスワード利用について)
ドラえもん4はパスワードセーブのゲームで、パスワードさえ知っていればラスボス直前から始めることができる。それを利用したTAS動画がうpされたが、一部のユーザにより『これはTASではない』という書き込みが見られ、動画内などで議論となった。なお、パスワード使用TASは従来より存在している。
この種の動画を作成する場合には動画が荒れる事に配慮して以下の点を心得てほしい。
- TASの定義において、必ずしもパスワード利用を否定しているわけではない。中心的存在であるTASVideosにおいてもパスワード利用TASは存在する。(原則禁止となっている『セーブデータの使用』と混同されることも多い)
- 多くのTASにおいてパスワードの利用は避けられているため一部において『パスワードは使用しないもの』というイメージがあり、上記のような批判が起こりうる。
- 投稿者は説明文にはパスワード利用である旨を明記しておくことが望ましい。
▼参考
TASVideos
2012年現在までにおいてTAS動画が数多く投稿されているサイトとしてTASVideosがある。海外のサイトであり、TAS文化の中心的な存在となっている。動画閲覧サイトの登場と普及によって一般層へと知られるようになってきており、一部のゲームマニアの知るところだけであったTASの知名度が高まる事となった。
競技としてのTAS
TASVideos内ではTASを一種の競技として捉えており、公式ルールが存在する。ニコニコ動画に投稿されるTAS動画もこれに倣う形で投稿される場合が多いが、必ずしも同じ方式とは限らない。
TASVideosにおけるルール
TASVideosにおいては以下のルールが存在する。主に「実機動作に限りなく近い状態で制作・公開される」事を謳っている。
- 電源投入時からタイムを計測する
- セーブデータの使用は原則不可(初期化推奨、隠し要素等を出現させる等の理由で許容されるものもある)
- 正規品に近いゲームソフトを使う(改造品やデータの破損しているソフトは使用不可)
- 米国版のゲームソフトを使う事が推奨されるが、バグや仕様の違いによって他国版も許容される。現在では日本でのTASの普及に伴い日本語版が正式に許容されるようになった。ただし、RPGを中心に文字表示時間の関係で記録は英語版と別扱いとされることが多い。
- 映像方式(PAL/NTSC)の設定を実機同様のものとする
- BIOS(PSなどで使用される)は正しくなければならない
- ムービーは妥協せずに上質なものを作る事
- 隠しコマンドやデバッグコードやアーケードにおけるコンティニューは許容されていない
- ムービー最終入力後に目的(エンディング等)を達成しなければならない
- 動画ファイル(AVI,WMV,MP4等)ではなく入力ファイルを提出する事(TASは再現性がなければならない為)
Vault
TASVideosはエンターテインメント性の高い動画のみを公開してきたが、ゲーム自体がそれにそぐわないもの等の記録を保管するカテゴリとしてVault(日本語訳:保管庫)というものが新たに作られることとなった。TASVideosの敷居はかなり下がってきたと言える。
その他のTAS
TASはPCでの動画視聴環境の各種インフラが整った事から文化として昇華したといえる。各種インフラが整う以前の時代においては、長時間のTAS動画などは制作・公開ともに難しく、リプレイファイルの作成・配布が中心だった(PCゲーム DOOM SpeedRunなど)。
制作者がTASを動画撮影して公開するよりもはるかに小さい容量で公開できるので、ハードディスク容量が余り多くなかった時代では前述の方式が多く用いられた。
TASさん
ニコニコにおいて「TASさん」という呼び名で擬人化して呼ぶことがある(「TASさん」を参照)。これに対して「TASはツール」などのコメントがつくこともお約束となっているが、前述のとおり「Tool-Assisted Speedrun」の略でありTASという名のツールを使用してるわけではないので本来は誤りである。
つまりは、TASという競技として考えるとたとえば徒競走さん、綱引きさんというようなものであり、おかしいような感じがするが、相撲をする人を「おすもうさん」と呼ぶ単語があるため、TASをする人を「TASさん」と呼んでもよいかもしれない。
また、「TASさん」という呼び方自体はネットコミュニティの中で擬人化という一種のユーモアがもたらした産物であり、実在の人物と誤解さえしなければ、一概に間違った呼び方とはいえない。
TASにおける”チート”の定義
TASに批判的、あるいはTASの語義を正しく理解してないユーザにより、『チート』『チートだろこれ』などと書き込まれる場合がある。
チートの語義そのものは調査・詐欺・ズルといったニュアンスを含むものであり、およそ実現の困難な操作をツールの補助によって行うTASが広義の意味でのチートに含まれることは否定できない。しかし、TASコミュニティ内ではプログラム内の特定の数値を強制的に別な数値に書き換える事でゲーム内で本来起こりえない状態を作りだすものを指す。別な言い方に置き換えるとするならば、『実機で実現不可能な挙動を起こさせる処理』といえる。
すなわち、TASでは『理論上実機で実現できる操作の範囲』であればツールを使用してもチートとは呼ばない(実際、RTAでTASの技を使う人もいる)。本来実機で行うスコアアタックやRTAなどでTASによる記録を偽って公表することは重大な不正行為となる。
なお、『特定のチートを使用した状態で行うTAS』という分野も存在する。ニコニコでは『チーTAS』のタグが定着している。
TAS動画における”チート”コメント
ユーザにより『チートw』と書き込まれる際、その意とするところの解釈が他ユーザにより良い方にも悪い方にも解釈され、しばしば動画内コメントで議論となる。状況によっては誹謗中傷合戦となり、多数の視聴者へ不快な思いをさせる事になるので十分な注意が必要である。『チートw』コメントには以下のような意味合いが持たれているとされる。
- 賞賛の意(ゲームシステムを改造して不正に録画したのではないかと思うくらい見事な出来のTAS)
- 中傷の意(こんな動画俺でも作れる。気に食わないので荒らしてやれ)
- 無自覚な荒らし(チートという言葉は聴いた事ある。この動画もそうなんだろう)
- 認識の違い(TAS文化を理解しておらず、クイックセーブ&ロードや減速、メモリの監視といったツールアシストの使用をチートと呼んでいる)
同じ言葉、同じ文字面であるので、コメント投稿者の真意は正確にはわからない。しかし、少なくとも誤解を生むような表現は避けた方が多数の人間にとって利のある行動であるといえる。
またそういったコメントを見た側も、コメントが荒れないようにスルーするなど賢慮が求められる。
TAS動画等を見る際にはNGコメントに「チート」「升」「改造」と言った単語を追加しておくとスル―出来るだろう。
空気を読んだ書き込みを
TAS動画は数百回、数千回の追記、ゲームシステムの調査等、相当の労力を用いて制作されるものである。よく理解してない人間が「チート云々」と書き込む事はその労苦を軽んじる行為であり、制作者にとって不快な言動である。
公共の空間に書き込むという事がどういうことか、どういう結果を生むのか、よく考えた上での書き込みが望まれる(いずれも「ニコニコ動画利用規約/3.禁止行為」に抵触するため)。
TAS動画投稿者へ
TASについてより理解を深めていただくために、動画投稿者の方は是非とも、この大百科へのリンクを書いてくださることをおすすめします。
有志によるニコ割用素材もありますので、是非ともご利用ください。
ニコニコ動画へTAS動画を投稿する際に推奨される行動指針
- 転載元URLと追記回数、制作者名を動画説明文に表記する(動画に表記されている場合はこの限りではない)。
- 投稿者自身で作成した場合は追記回数を表記する。
- 「TAS」タグとゲーム名のタグをロックしておく。
- 作成の事実性を示すため、リプレイファイルへのリンクを貼る。
必ずしも必要ではない場合もあるが、観る側のスムーズな視聴の一助となるため、お奨めする。
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