これはだめかもわからんねとは、先行きがもうない。本当に絶望的な状況に陥った時に用いられる言葉である。
概要
1985年(昭和60年)8月12日に発生した日本航空123便墜落事故で、高濱雅己機長が発した台詞。
事故機は、垂直尾喪失と油圧系の破壊による操舵の制御不能という最悪の状況下で、異常発生から約30分の飛行を続けるも18時56分ごろ高天原山に接触し墜落。乗員乗客524名のうち、520名が犠牲となる未曾有の大事故となった。事故の詳細は日本航空123便墜落事故の項目を参照。
「これはだめかもわからんね」は、墜落の約11分前の18時46分ごろ、山が近づいた際に機長が発した言葉である。
同機長が発した言葉では「どーんといこうや」「はいじゃないが」等も有名。
事故後の報道
事故後、コックピットボイスレコーダー(CVR)の記録が文書で報道機関に公開(CVRの音声は非公開が国際的な原則であるため文書のみでの公開)されたことにより、機長の発した言葉に注目が集まった。
機長の言動に注目が集まった理由として、JAL123便の事故のわずか3年前の1982年、心身症の機長の異常行動が引き起こした日本航空350便墜落事故(通称、逆噴射事故)が強い印象を残していたことが影響している。この事故のCVRに記録された「キャプテン(機長)、止めてください!」や、事故原因となった「逆噴射」は当時の流行語にもなっていた。このことがあり、123便の事故においても機長の言葉は国民に強い印象を残したのである。
多くの報道は懸命な操作を続けた機長たちの苦悩、恐怖を伝えるものであったが、当時事故原因が不明であったこともあり、機長の言葉を諦めや投げやり、錯乱ではないかと疑う者もいた。機長の遺族の元には嫌がらせの電話がかかったり、乗客の遺族から憎まれることもあったと言われている。
のちに運輸省航空事故調査委員会は、事故の原因をボーイング社の修理ミスにより発生した後部圧力隔壁の破損であると発表した。しかし生存者の証言によれば、圧力隔壁の破壊と同時に起きるはずの「急減圧」が起きていないと考えられるなど不自然な点もあり、事故原因には様々な憶測や陰謀説も飛び交った。
音声の公開
前述したとおりCVRの音声は非公開が原則だが、事故から15年後の2000年7月頃、何者かによって音声テープがマスコミにリークされ、同年8月8日にテレビで放送された。音声は文章では伝わらない切迫したコクピットの状況を生々しく伝え、機長たちの言葉は改めて多くの人々の心に刻み込まれることとなった。
ネット上にもCVRの音声報道をまとめたサイトが多数存在している。ネットが普及していない80年代の事故でありながら「これはだめかもわからんね」「どーんといこうや」「はいじゃないが」等がネットスラングとして定着しているのは、インターネットが一般に普及し始めた2000年になって初めて音声が公開され話題となり、ネット上でもまとめられたためであると考えられる。
関連動画
関連項目
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