アンドレア・ドーリア級巡洋艦とは、イタリア海軍が運用していた巡洋艦の艦級である。
概要
1950年代に長距離艦対空ミサイルと複数の哨戒ヘリコプターによる対潜水艦哨戒の2段構えで艦隊防衛の要となる新世代巡洋艦として開発され、『アンドレア・ドーリア』、『カイオ・ドゥイリオ』の2隻が建造・就役した。
その後、1970年代の改装を挟んで1990年代に2隻とも退役した。
本記事では発展型の『ヴィットリオ・ヴェネト』についても扱う。
船体構造
全長149.3m、全幅17.2mの船体は艦首からミサイル発射機、艦橋部、格納庫、飛行甲板のレイアウトになっている。
排水量は当初基準5000t、満載で6500tだったが改装で基準6500t、満載7300tに増量された。
推進方式は蒸気タービン方式で6万馬力、最大速力30kt、航続距離は15ktで6000海里だった。
兵装
航空艤装
本級は格納庫を中心寄りの船体後部に設けその後に縦30m、幅16mのヘリコプター甲板を設けている。
艦載機の予定はSH-3シーキング3機だったが甲板のサイズが小さかったことからUH-1哨戒ヘリ仕様4機に変更された。
なお、『カイオ・ドゥイリオ』は1980年に練習艦に変更された際に従来の格納庫を士官候補生の関連施設に改造しヘリコプター甲板を削減し改めて艦載機を半減した格納庫を新設した。
個艦兵装
本級では艦首にテリア艦対空ミサイル[1]用のMk.10連装発射機を1基設け、更に艦橋両舷にMk.32短魚雷発射管を装備している。
しかし戦後建造されたイタリア軍艦の特徴である『76mm単装速射砲を複数装備する』は本級も最大限の形で持たされている。
具体的にはごく初期型の『MMIアラーガト』(射程18.4km、発射速度60発/分)を艦橋と格納庫の両舷に2門づつ=総計8門と戦後建造された軍艦では珍しい砲装備となった。しかし、この砲門が最大限の力を発揮する機会はなく、中口径砲+射撃レーダーを組み合わせたイタリア式CIWS『ダルド・システム』化される事もなかった。
なお、『カイオ・ドゥイリオ』は前述の練習艦改装の際に格納庫後部にあった76mm砲2門を撤去している。
ヴィットリオ・ヴェネト
1969年から2003年まで運用されていた拡大発展型。2隻建造予定だったが2番艦は軽空母『ジュゼッペ・ガリバルディ』に計画変更され1隻のみとなった。
相違点
| 全長×全幅 | 179.6m×19.6m |
| 排水量 | 基準7500t 満載9550t |
| 速力/航続距離 | 32kt 20kt/6000海里 |
| 航空艤装 | 格納庫は船体内部に変更。 ヘリコプター甲板は全長27.5m、 幅18.5mに拡大。 |
| 艦載機 | SH-3ないしUH-1を運用し 前者なら最大6機、後者なら最大9機を 搭載可能。 |
| ミサイル | MK.10を引き続き運用したがテリアに 加えアスロックも装備し、更にイタリア国産 対艦ミサイル『オトマート』4基も搭載。 |
| 艦砲etc | 76mm砲、Mk.32は変わらず。 40mm連装機関砲3基[2]を追加装備。 |
関連動画
序盤及び後半に退役前のヴィットリオ・ヴェネトが登場。
関連項目
脚注
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