ウラン(Uranium)とは、
1.最初に発見された放射性元素であり、原子番号が最も大きな天然元素である。
2.手塚治虫の漫画鉄腕アトムに登場するアトムの妹。名前の由来は原子力にちなんで1.から。
本項では1.について解説する。
概要
- 原子番号92、元素記号は“U”、アクチノイドに分類される。
- 名前は当時新たに発見された惑星のひとつである天王星(Uranus)に由来する。続くネプツニウム、プルトニウムも同様。
- 発見:1789年、鉄や亜鉛などが主成分と考えられていたピッチブレンド(瀝青ウラン鉱)を分析することで発見された。
- 利用例:核燃料、劣化ウラン弾、原子爆弾など
- 微量のウランを含むガラスをウランガラスといい、紫外線に当てると緑色に光る特徴がある。現在ではほとんど生産されておらず、骨董品として珍重される。
- 天然に産出されるウランの 99.2745% が 238U であり、残りの大部分(0.7204%)が 235U である。
- 利用例故にあまり良いイメージのない元素かもしれないが、地殻や海水中にスズと同程度の量が存在している。これは金や銀よりも多い。実は比較的ありふれた元素である。
ウランの核分裂について
- ウランの同位体 235U について、中性子をぶつけることにより人為的に核分裂を起こすことが出来る。
中性子が衝突し核分裂した235U は、分裂の際に平均2,3個の中性子を放射する。
235U の濃度がある程度高ければ、別の 235U に中性子が衝突し次々と核分裂の連鎖反応が起こる。
この状態を臨界と呼ぶ。 - 一方、238U は中性子を吸収する性質を持つ。238U の濃度が高いと上記の連鎖反応を阻害するため、臨界に達しにくくなる。故に、天然ウランをそのまま核燃料や原子爆弾の材料とすることはできず、235U の比率を高める処理が必要となる。
この処理を濃縮と呼び、濃縮されたウランを濃縮ウランと呼ぶ。 - 原子炉で使われる核燃料は、235U が 3~5% に濃縮された濃縮ウランである。
- 原子爆弾で利用されるウランは、235U をほぼ100%まで濃縮した高濃縮ウランである。
- 濃縮処理の際に235U を取り出されて余った部分は、天然ウランよりも235U の比率が低いウランとなる。これを劣化ウランと呼ぶ。劣化ウランは核燃料や原子爆弾の材料には使えないため、比重の重さを生かして銃弾や航空機の部品として使用する。
関連項目
関連動画
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