チャイロスズメバチとは、ハチ目スズメバチ科に属するスズメバチの一種である。学名はベスパ・ディボウスキー。
概要
名前の通り濃い褐色の甲殻を持つスズメバチで、他の種類のスズメバチとの区別は容易。
生息地は北海道と本州の森林。しかし個体数が少なく、また森の外に出現する事も無いため駆除の対象になりにくく、業者でも「珍しい」と言うほど中々姿を現さない珍しい種。このため県によっては絶滅危惧種に指定されている事も。女王蜂の全長は3cmほど、働き蜂の全長は働き蜂は1.7cm~2.4cmほど。スズメバチの例に漏れず凶暴。特に毒が非常に強力で、痛みを引き起こす成分に関してはオオスズメバチより強く、刺された時が一番痛い。他にも毒液を霧状にして噴出する攻撃方法も使い、目に入って失明したケースも確認されている。よく地面の近くを集団で飛んでいる事が多い。アゴと毒針が発達し、甲殻も硬い脅威の戦闘マシーンであるため、活動時期にあたる5月頃から10月の間は注意が必要である。
チャイロスズメバチが珍しい要因は個体数だけではない。スズメバチの中でも珍しい社会寄生種、つまり他のスズメバチの巣を襲撃して乗っ取る生態を持っているのである。乗っ取りを前提としているため他のスズメバチと比べて孵化・活動時期が少し遅め。女王蜂が巣作りを始める5月頃にチャイロの女王も活動を開始、作られ始めたキイロスズメバチやモンスズメバチの巣を見つけると突撃する。用意周到な事にチャイロの女王は本来の女王と同じ匂いを纏っているため、働き蜂に侵入者と見なされず、まるで自分の家であるかのようにズカズカと奥へ踏み入っていく。そして女王蜂を殺害する事で乗っ取りは完了。新たな巣の支配者となったチャイロの女王は卵を産み、残った働き蜂に子供の世話をさせる。やがて元からいた働き蜂は寿命で全員死に、巣はチャイロで占められるようになる。9月~10月頃になると巣から雄蜂や新たな女王が誕生する。このように一戦交える生態からチャイロスズメバチの戦闘能力は研ぎ澄まされており、時にはオオスズメバチの襲撃すらも退けてしまうほど。しかし当然ながら全てのチャイロが乗っ取りに成功する訳ではなく敗死する個体もいる。ちなみにチャイロ自身にも営巣能力があるので自力で巣作りする場合も。
食性は肉食で自身や幼虫のエサになるクモやバッタを捕食するが、樹液を舐めている事もある。巣や餌場を荒らす者を敵と見なしその凶暴性を遺憾無く発揮、威嚇行動としてスズメバチ共有のアゴをカチカチ鳴らす、対象の周りを飛び回る、滞空しつつ対象に敵意の視線を送る等の行動を取る。一度怒らせると執念深く追跡し、一説によると10m程度追跡してくるんだとか。チャイロの真下は完全に死角となっているため、もし追われた時は背を低くしてゆっくり後ずさると効果的に逃げられる。ただし急に動くとチャイロを刺激してしまうので要注意。
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関連項目
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