ビデオ判定とは、スポーツにおいて審判が判断しづらい微妙な場面をビデオ映像をもとに判定することである。
概要
審判が自らの判断でビデオ判定を行うものと、選手や監督などの要求によって行われるものがある。後者については一般的に「チャレンジ」と呼ばれることが多く、乱発できないようにするため回数に制限がある(成功した=判定が覆った場合は残り回数が減らない)ことがほとんどである。
なお、陸上競技の走種目や競馬、競輪、競艇、オートレースといった公営競技、自転車競走などのゴールラインを通過した順番を競う競技の場合は写真判定で判断する。
審判の判断で行われる競技
大相撲
導入されたのは1969年夏場所と非常に早い。これは春場所の大鵬対戸田の取組結果が物議をかもしたことによる影響が大きい。行司が軍配を上げたのちに審判委員が物言いを唱え、ビデオ映像と土俵に付いた跡なども参照にして軍配通りとするか行司差し違えとするか同体により取り直しとするかを決定する。なお、行司は同体だと思っても必ず一方の勝利として軍配を上げなければならないため、同体取り直しの際はかならずビデオ判定が行われることになる。
サッカー
ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)と呼ばれる、ビデオ判定を担当する副審がいる。VARは主審が下した判定に対しビデオをもとに助言を行う。このシステムが使用されるのは以下の4つのケースに限定されており、なおかつ確実かつ明白な誤審あるいは重大な見逃しがあった場合となっている。
なお、VARはあくまでも副審であり、最終的な決定権は主審にある。助言を受けた主審は助言を受け入れて判定を変更するか、却下してそのままの判定とするか、あるいは自らも映像を確認した上で判定を下すかのいずれかを選択することになる。
2019年現在導入が進められている最中であり、FIFAワールドカップでは2018年ロシア大会で全試合・全会場で採用された。UEFAチャンピオンズリーグでは2018-2019年大会では決勝トーナメントより導入され、2018-2019年大会で正式導入予定。Jリーグでは2019年はルヴァンカップの準々決勝以降とJ1参入決定プレーオフの決定戦で導入される。
なお、このほかにボールがゴールラインを越えたかどうかをセンサーやカメラ映像をもとに判定するゴールライン・テクノロジーというシステムもある。
ラグビー
テレビジョン・マッチ・オフィシャル(TMO)というシステムがある。密集地点でのトライの有無、ゴールキック判定、反則の検証などと言ったことに対して使用されている。
ラグビーワールドカップやスーパーラグビーなどで導入されている。
バスケットボール
審判が必要と判断した場面でビデオ判定が行われる。
ショートトラック
転倒事故があった場合、走路妨害がなかったかどうかを判定するためにビデオ判定が行われる。
選手や監督の要求により行われる競技
野球
導入当初は本塁打の判定に限定されていたが、現在ではチャレンジ方式が採用され、対象となるプレーも拡大している。
メジャーリーグでは映像を分析する担当員がおり、ビデオ判定の要求があった場合に審判がこの担当員と連絡を取って判定を決定する。ビデオ判定の要求は7回までで1回、8回以降で2回の回数制限がある。なお、判定が覆った場合は2回を上限に再度チャレンジできる。
日本プロ野球ではリクエスト制度と呼ばれており、9回までで2回、延長戦に突入した場合は1回ビデオ判定を要求することができる。リクエストが成功した場合は回数は減らない。なお、打球が本塁打か否かの判定に限って審判の判断でビデオ判定が行われる。
ちなみに、延長で1回というのは延長戦に入ったら+1回となるわけではなく、延長戦に入ったら9回までの使用状況はリセットされて1回失敗したら終わりとなっている。2019年5月4日の埼玉西武ライオンズ対東北楽天イーグルス戦の11回裏で、楽天側が先頭打者の中村剛也の一塁の判定にリクエストして失敗した結果、二死二塁での金子侑司の安打で中村が本塁に突入した際の判定に対するリクエストができなかったという事例がある。
テニス
ライン際の判定に対して1セットにつき3回失敗するまでチャレンジできる。
なお、クレーコートの場合は地面に跡が残るため、ビデオ判定ではなく目視で確認する。
レスリング
判定に異議がある場合、セコンドがスポンジを投げ込むことでチャレンジする。チャレンジ失敗は2回までだが、レスリングの場合は失敗した場合さらに1ポイント失うというペナルティもあるため、よほど自信があるか残り時間がわずかでポイントで負けている状況でもないと行われない。
バレーボール
1セットに付き2回失敗するまでビデオ判定を要求できる。審判の判断でビデオ判定を行うこともある。
関連動画
関連項目
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