ミーノータウロス/ミノタウロス (Μινώταυρος, Minotauros) とは、ギリシア神話に登場する頭が牛、体が人の怪物である。
ギリシャ語ではミーノータウロスの様な発音に近くなり、スペインなどではミノタウロスのような発音らしい。
英語では「Minotaur」と表記し、「ミノター」もしくは「i」を「アイ」と発音し「マイノター」のようになる。
ミーノータウロスは「ミーノースの牡牛」の意味で、本名はアステリオス (Ἀστέριος, Asterios) あるいはアステリオーン (Ἀστερίων, Asterion) で、「星・雷光」を意味する。
概要
太陽神ヘーリオスの娘にしてクレータ王ミーノースの后であるパーシパエーと、海神ポセイドーンが海から送り出した牡牛との間に生まれた。
ミーノースは義父アステリオーンの死後、クレータ島の王になることを望んだが、周囲に反対されたため、自分が神々からこの地を授けられたと称した。
海神ポセイドーンに牛を授けられることを祈り、さらにその牛を「神々に捧げる」と誓ったところ、ポセイドーンから白く美しい牡牛が送られてきたため、クレータ王となった。
しかしミーノースはあまりにも見事なその牡牛が惜しくなったため、別の牡牛を神々に捧げてしまった。
約定を破られた事にポセイドーンは怒り、かの牡牛に呪いを送って凶暴な怪物に変える。更にはパーシパエーに呪いをかけ、牡牛に対して欲情の念を抱かせた。
想い募るパーシパエーは名工ダイダロスに命じ、牝牛の模型を作らせる。そしてその中に入り牡牛とまぐわい、想いを遂げた。かくの如く呪われた契りから生まれたのがミーノータウロスである。
ミーノースはダイダロスに命じ、迷宮ラビュリントスを作らせ、ミーノータウロスをその中に閉じ込めた。さらに息子のアンドロゲオースがアッティカで殺されたため、その報復としてアテーナイを攻め、結果として9年ごと(あるいは3年ごと、毎年とも)アテーナイからおのおの7人ずつの少年少女を貢がせ、ミーノータウロスの生贄に捧げるようになった。
第三回目の年、アテーナイ王アイゲウスの息子である英雄テーセウスが決意し、少年少女の中に混じってクレータ島に潜入。
この際アイゲウスはミーノータウロスを倒して無事戻ったら船に白い帆を上げるよう、テーセウスと約束した。
少年少女の中に混じっていたテーセウスに一目惚れしたミーノースの娘アリアドネーは、ダイダロスの知恵を借りて糸玉をテーセウスに与える。テーセウスはこの糸をラビュリントスの扉に結びつけて引きつつ進み、迷宮の奥のミーノータウロスを殺害すると、今度は糸を戻しつつ進んで脱出した。
その後テーセウスとアリアドネーは少年少女と共にクレータ島を脱出。途中ナクソス島に立ちよってアリアドネーを置き去りにし(理由は諸説ある)、その後デーロス島を経てアテーナイに帰還した。
しかしこの際テーセウスはアリアドネーのことを悲しむあまり白い帆を上げることを忘れたため、黒い帆を見たアイゲウスは息子が死んだものと思い、海に身を投げた。それ以来その海はアイガイオンと呼ばれるようになり、今日ではエーゲ海と呼ばれている。
補遺
その後、クレータの牡牛は大英雄ヘーラクレースにより生け捕りにされ「十二の偉業」に数えられた。
ヘーラークレースは牡牛を解き放ち、自由になった牡牛は各地を彷徨った後でアッティカのマラトーンにて暴れまわり、奇しくもミーノータウロスを仕留めたテーセウスにより退治された。
創作作品において
「牛頭人身の怪物」というインパクトのある姿から、上記の神話とはあまり関係無く、様々な異なる設定を持つモンスターとして数多くのファンタジー作品などで登場している。
その場合は「ミノタウロス」という名前で登場していることが多い。そういったキャラクターの例などの詳細は、別記事「ミノタウロス」を参照されたい。
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関連項目
- 神話上の関連用語一覧
- ギリシア神話
- ポセイドン
- クレタ島
- ラビリンス
- イカロス
- テセウスの船
- ミノタウロス
- ミノタウルス(「遊☆戯☆王」に登場するモンスター及びそのカードに関する記事。)
- 牛頭
- モロク
- くだん
- 牡牛座
- 獣人
- モンスター/モンスター娘
- アステリオス(Fate)
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