概要
初期は女性同士の同性愛をメインテーマに、運命的で刹那的、そして破滅的な恋を描く作品が多い(セックス描写も多め)。「愛は、極めねばなりません。極めたら、死なねばなりません。」とは『マラケシュ心中』の文庫版の帯に記された文章だが、同性との恋とセックスに文字通りの意味で命を賭けて破滅へと突き進んでいく、凶器のように過激で過剰な感情の奔流は、ツボにハマると破壊力絶大。
2003年の短編集『ジゴロ』あたりから少し作風が変わっていき(具体的に言うとセックス描写が減る)、作品のジャンルもミステリーだったりノワールだったり近未来SF(!)だったりと広がっている。現在は宝塚歌劇団をテーマにした(恋愛・同性愛要素の薄い)作品がメイン。基本的に寡作で、新作は年に1作出ればいい方なので気長に待とう。
1960年、愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学卒業後、劇団を立ち上げて演劇をしていた。劇団解散後、しばらくしてから小説を書き始め、1993年に王寺ミチルシリーズの第1作『猫背の王子』でデビュー(その前年にはラジオ局主催のショートショートコンテストで受賞したりしている)。1995年、『猫背の王子』の続編の『天使の骨』を第6回朝日新人文学賞に投稿して受賞している。2001年、『白い薔薇の淵まで』で第14回山本周五郎賞を受賞。
記事の作成者は中山可穂を初めて読む人には『弱法師』(文春文庫)と『悲歌 エレジー』(角川文庫)の「現代能楽集」二部作のどちらかをオススメします(元の能楽は別に知らなくてOK)。刺さったら中山可穂作品は全部読もう。作品数も多くないし、品切れ絶版の作品も古書での入手難度は高くないし、だいたい電子書籍でも読めるし。
作品リスト
小説
- 猫背の王子 (1993年、マガジンハウス → 2000年、集英社文庫)
- 天使の骨 (1995年、朝日新聞社 → 2001年、集英社文庫)
- サグラダ・ファミリア 聖家族 (1998年、朝日新聞社 → 2001年、新潮文庫 → 2007年、集英社文庫)
- 感情教育 (2000年、講談社 → 2002年、講談社文庫)
- 深爪 (2000年、朝日新聞社 → 2003年、新潮文庫 → 2008年、集英社文庫)
- 白い薔薇の淵まで (2001年、集英社 → 2003年、集英社文庫 → 2021年、河出文庫)
- 花伽藍 (2002年、新潮社 → 2004年、新潮文庫 → 2010年、角川文庫)
- マラケシュ心中 (2002年、講談社 → 2005年、講談社文庫)
- ジゴロ (2003年、集英社 → 2006年、集英社文庫)
- 弱法師 (2004年、文藝春秋 → 2007年、文春文庫 → 2022年、河出文庫)
- ケッヘル (2006年、文藝春秋、上下巻 → 2009年、文春文庫、上下巻)
- サイゴン・タンゴ・カフェ (2008年、角川書店 → 2010年、角川文庫)
- 悲歌 エレジー (2009年、角川書店 → 2013年、角川文庫)
- 愛の国 (2014年、KADOKAWA → 2016年、角川文庫)
- 男役 (2015年、KADOKAWA → 2018年、角川文庫)
- 娘役 (2016年、KADOKAWA → 2018年、角川文庫)
- ゼロ・アワー (2017年、朝日新聞出版 → 2019年、徳間文庫)
- 銀橋 (2018年、KADOKAWA → 2021年、角川文庫)
- ダンシング玉入れ (2022年、河出書房新社)
紀行文・エッセイ
関連項目
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