予(豫)とは、以下のことを表す。
- 予 - 一人称の人称代名詞。余と同じ。
- 予 - 夏朝の第7代帝
- 予(豫) - 中国の地名。河南省と湖北省北部のあたりのこと。また河南省の別称
- 予 - 伊予国のこと。予州
- 豫 - 六十四卦の一つ。雷地豫。䷏
人名
漢字として
予の旧字は豫で、現在使われている予はこの豫を略したものである。しかしこの略字とは別に予という字がある。ここではその予と豫についてそれぞれ解説する。
予
- 意味
- 機織り機の杼、という意味が本義であるが、与(與)と通じた与える、余と通じた我、の二つの仮借義の方がメジャーである。〔説文解字・巻四〕に「推し予(あた)ふるなり」とある。〔爾雅・釈詁〕に「予、賜ふなり」「予、我なり」とある。
- 字源
- いくつか説がある。甲骨文、金文での使われている例が見つかっていないため、基本的に〔説文〕の小篆体をもとにした説である。
- まず〔説文解字〕は「相ひ予ふるの形に象る」と、互いに与えあうところの象形としている。なにを与え合っているのかについては、手を与え合う説(〔釈例〕)、花を与え合う説(〔古籀篇〕)などがある。
- 輪っかが重なり合っている小篆体の形から、予を幻の反文とする説(〔説文解字注箋〕)、輪っかが延々とつながり合う形とする説(〔文源〕)などがある。
- ほかに杼(ひ、織物の横糸を通す道具)の象形でその初文であるとする説(〔聞載〕)がある。
- 音訓
- 音読みはヨ(漢音、呉音)、訓読みは、われ、あたえる、たまう、ゆるす。
- 規格
- (豫の新字体としての)予は常用漢字であり小学校3年で習う教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 予は説文解字で部首である。予、幻、舒の3字を収める。
- 声符
- 予を声符とする漢字に、伃、序、芧、抒、杼、𣏗、𡱣、𥝱、舒、野、紓、豫、預、がある。
- 語彙
- 予告・予奪
- 異体字
- 〔三体石経〕は舍を予の古文としている。
豫
豫
- Unicode
- U+8C6B
- JIS X 0213
- 1-48-14
- 部首
- 豕部
- 画数
- 16画
- 意味
- あらかじめ、心が安らか、喜び、緩くする、怠る、ぐずぐずする、大きな象、(与(與)と通じて)あずかると。シャと読んで榭に通じる。
- 〔説文解字・巻九〕には「象の大なる者なり」とあり、また賈逵の説として「物において害あらず」としている。ただ経籍に大きな象の意味の用例はない。
- 字源
- 形声。声符は予。象占いが意味に関係しているという説があるが真偽は定かでない。
- 音訓
- 音読みはヨ(漢音、呉音)、訓読みは、あらかじめ、よろこぶ、たのしむ、かねて。名のりに、まさ・やす・やすし、などがある。
- 規格・区分
- 豫は予の旧字として常用漢字表に載っている。JIS X 0213第二水準。
- 声符
- 豫を声符とする漢字に、櫲がある。
- 語彙
- 予感・予期・予後・予告・予測・予知・予定
異体字
- 𠄛は、〔説文(段注本)〕に「古文」とある異体字。〔説文(大徐本)〕の注にも古文とある。
- 𢄮は、〔字彙補〕に「古文豫字」とある異体字。
- 𠄝は、〔説文(大徐本)〕に「古文」とある異体字。
- 忬は預、舒の異体字とされ、さらに豫と通用するという字。
関連項目
六十四卦
坤 | 剝 | 比 | 観 | 豫 | 晋 | 萃 | 否 |
謙 | 艮 | 蹇 | 漸 | 小過 | 旅 | 咸 | 遯 |
師 | 蒙 | 坎 | 渙 | 解 | 未済 | 困 | 訟 |
升 | 蠱 | 井 | 巽 | 恒 | 鼎 | 大過 | 姤 |
復 | 頤 | 屯 | 益 | 震 | 噬嗑 | 隨 | 無妄 |
明夷 | 賁 | 既済 | 家人 | 豊 | 離 | 革 | 同人 |
臨 | 損 | 節 | 中孚 | 帰妹 | 睽 | 兌 | 履 |
泰 | 大畜 | 需 | 小畜 | 大壮 | 大有 | 夬 | 乾 |
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