人生の悲哀を感じますねとは、猿渡哲也の漫画『高校鉄拳伝タフ』内に登場する台詞である。第287話「宴の影で」の中で、登場人物・朝昇により発せられる。
概要
YJホテルでは格闘技大会TDKの選手・関係者パーティーが開かれていた。
緊急で試合が組まれる可能性を考えあまり料理に手を付けていない他の選手を見て、自分もこれ以上食べない方がいいかもしれないと考えるキー坊の横では、すでに敗退した藤田剛三が「料理を持って帰ってもいいじゃない! これだけあるんだからァ」と言ってホテルスタッフを困らせていた。
藤田は笹川エンゾウにボコボコにされ入院中のはず……訝しんだキー坊が声をかけると、「病院を抜けだして来たんだよ」「こんな一流ホテルに泊まれて豪華な料理が食べられるなんてめったにないからね! カカカカカッ」「200憶円の夢は消えちゃったけどせめて恋人のマルガリータに料理だけでもお土産にしようと思ってね」とのこと。
利き腕を骨折しているため不慣れな左手しか使えない藤田の代わりに料理を箱に詰めながら家族のことを尋ねると、「リストラされてからは冷たいんだよね」「母ちゃんはメシも作ってくれないし息子は反抗期だし…」「家にいても私のいる場所なんてないんだよね」と、寂しそうに零す。
料理を詰めてくれたことに礼を言い、キー坊の健闘を祈って藤田は会場を去る。
その寂しそうな背中を見た朝昇は「人生の悲哀を感じますね」とポツリと呟く。
その後、料理が詰められた箱を持って「いいお土産ができたぞっ 喜んでくれるかなァ」と、嬉しそうに廊下を歩く藤田だったが、いきなり現れた大男に顔面を殴られ泣き叫ぶ。
悲鳴を聞きつけたキー坊たちが駆けつけるも、大男はなおも藤田に暴力を振るう。
その男が藤田の実の息子・尚矢だと知り驚愕するキー坊は、藤田を守るため二人の間に入ろうとするも、周りから試合を控えてる身で親子喧嘩に割り込む必要はないと抑えられてしまう。
しかし、オトンの「熹一…お前はそれでええんか?」「お前は何のために灘神影流を習得してきた⁉」という、無言の圧力を受けたキー坊は「親をいたぶってなにがおもろいねん もうやめとけや」と、親子喧嘩の仲裁に入る。
ハイキックで脳を揺らして沈静化させようとするもキャッチされ足一本背負い投げを喰らい頭から廊下に叩きつけられるキー坊だったが、すぐさま三角絞めに移行し尚矢の無力化に成功。
説教を始めようとするキー坊に対し、尚矢は「てめぇに何がわかるっ こ…コイツは最低のクソ親父なんだっ」と叫び、父を強襲した理由を話す。
聞くところによると、藤田はマルガリータという、フィリピンパブで出会ったフィリピン人に入れあげ、仕事もそっちのけで金を貢ぎ、不景気で会社の柔道部が廃止されクビになり無職になってからもサラ金から金を借りまくって莫大な借金を作った結果、尚矢は大学を辞めざるをえなくなり、藤田の妻は心労がたたり入院生活を余儀なくされるなど、家族は滅茶苦茶になってしまったのだという。
思えば藤田はエンゾウとの試合時にも、どうしても優勝賞金の200億円が欲しい理由として「今の女房と離婚して愛人の故郷・フィリピンにある楽園で王様のような生活をするため」とゲスい発言をしていた……[1]
だが、何より尚矢が一番許せないのは息子である自分に対してもおびえて媚びへつらう情けない父の姿だった。
それを聞いたキー坊は三角絞めを解く。尚矢が藤田をボコボコにしたのは親父に強くなってもらいたいからだと察したからだ。尚矢もキー坊同様、父に憧れを抱いていたのである。
「ゆ…許してくれ…尚矢…私は弱い父親だった」と謝罪する藤田に、尚矢は「お袋が待ってる…帰るぞっ親父!!」と、帰宅を促す。
関連動画
関連項目
脚注
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